看護学生の頃に記録を書くのに悩むことがありました。「色々とまとめてるのものがあればっ!」と思っていたのでまとめました。
日本人10人に1人が糖尿病だと言われています。
未治療の人がいるため正確な人数はもっと多いと言われています。

10%以上もいるのだ
1、糖尿病とは
インスリンの分泌量が少ない、分泌がない、インスリンが十分に働かないなどにより血液中の糖が増える病気です。

血液中の糖が増える病気なのだ
糖尿病は2つの型があります。
1).原因
1型糖尿病
主に自己免疫により発症しますが原因不明の場合もあります。
リンパ球により膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞が破壊されることで発症します。
β細胞が破壊されるとインスリンを作ることができなくなるため、血液中の糖を細胞に取り込めなくなります。

インスリンを作ることができなくなるのが1型糖尿病なのだ
血液中の糖が細胞に取り込まれないことで高血糖になり様々な合併症を引き起こします。
2型糖尿病
「体質」「遺伝」「食生活の乱れ」「運動不足」などによりインスリンの分泌量が減少したりインスリンの効果が低下することで発症します。

インスリンは作れるが分泌量が少なくなったりインスリンの効果が弱くなるのが2型糖尿病なのだ
- インスリン分泌量減少
- 膵臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が減少した状態
- インスリン抵抗性
- 肝臓や筋肉などの組織がインスリンに対して鈍感になった状態
2、検査基準値
1).空腹時血糖
10時間以上絶食した状態で血液検査をします。
- 正常値:80〜100mg/dl未満
- 糖尿病境界値:100〜126mg/dl未満
- 糖尿病:126mg/dl以上
2).ブドウ糖負荷試験「GTT」
飲料水「ブドウ糖75g」を飲みます。
飲んだ後「30分後」「1時間後」「2時間後」に血液検査をして血糖値を測定します。
- 2時間後の血糖値
- 正常値:140mg/dl未満
- 糖尿病境界値:140~200mg/dl未満
- 糖尿病:200mg/dl以上

飲料水は三ツ矢サイダーをめっちゃ甘くした感じだったのだ
3).HbA1c「NSGP値」
10時間以上絶食した状態で血液検査をします。
過去1〜2ヶ月の血糖平均値がわかります。
- 正常値:6.0%未満
- 糖尿病境界値:6.0〜6.5%未満
- 糖尿病:6.5%以上

検査する前日にごまかそうとしても無駄なのだ
3、糖尿病によるリスク
1).糖尿病性昏睡
糖尿病性ケトアシドーシスと高血糖高浸透圧症候群のことです。
糖尿病性ケトアシドーシス
ケトン体により血液が酸性に傾いている状態です。

血液は弱アルカリ性でケトン体は弱酸性なのだ
1型糖尿病の急性期で発症しやすいです。
糖を細胞に取り込み分解してエネルギーを作ることができないため、脂肪を分解してエネルギーとなるケトン体を作ります。
ケトン体は細胞のエネルギーになりますが弱酸性であるため血液を酸性に傾けます。
初期症状として
- 強いのどの渇き
- 頻尿
- 体重減少
- 嘔気
- 嘔吐
- 疲労
- 腹痛
などがあります。
呼吸は深く速くなる傾向があり吐く息はマニキュアの除光液のようなフルーツ臭がします。

クスマウル呼吸なのだ
昏睡状態や死に至るリスクが高いです。
高血糖高浸透圧症候群
血液の濃度が異常に濃縮「高浸透圧」している状態です。
血液中に糖が多いと腎臓で濾過しきれなくなり尿と一緒に糖が排出されます。
過剰な糖を排出しようとするため尿の量や回数が増えます。
排尿する量や回数を増やすためには身体の水分を使う必要があるため、身体の水分が減少して重度の脱水状態となり血液が濃縮されます。
症状として
- 意識障害
- 高ナトリウム血症
などのリスクがあります。
糖尿病以外に高齢者や感染症、嘔吐、下痢、ストレス、脳梗塞、心筋梗塞、ストロイド薬、利尿薬、クッシング症候群、バセドウ病などでも発症するリスクがあります。
2).細小血管障害
糖尿病の三大合併症と呼ばれている合併症のことです。

有名な合併症なのだ
糖尿病性腎症
糸球体にある毛細血管の網目が破れる、詰まるなどにより老廃物がろ過することができなくなった状態です。
高血糖が長期間続くと血管が脆くなり破壊されます。
腎臓にある糸球体は毛細血管の集まりで細かい血管が高血糖により破壊されます。
詳しい原因はまだはっきり解明されていません。
糖尿病性網膜症
目の奥にある網膜は多くの毛細血管が広がっています。
高血糖により血液がドロドロになり血管への負担が大きくなり詰まりやすくなります。
網膜の毛細血管が瘤のようなる、毛細血管から血液が漏れて血液中のたんぱく質や脂質の成分が網膜に沈着、詰まった血管から新しい血管が作られ出血「新しい血管は破れやすい」する、などにより網膜症となります。
失明するリスクがあります。
糖尿病性神経障害
なんらかの原因で神経が障害された状態です。
高血糖が長期間続くと体内に余分なブドウ糖があるため細胞の活動メカニズムが狂います。
細胞の活動メカニズムが狂うことで神経細胞の中にソルビトールという物質が蓄積「ポリオール代謝異常」され神経が障害されます。
高血糖により細い血管の血流が悪くなり、神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなります。
神経に酸素や栄養が行き渡らなくなることでも障害されますが、詳しい原因はまだはっきり解明されていません。
3).大血管障害
高血糖により動脈硬化が起こりさまざまな合併症を起こします。

高血糖により血液がドロドロになるのだ
脳梗塞
何らかの原因により脳の動脈が詰まります。
動脈硬化などにより動脈が詰まることで血液に含まれる栄養や酸素などが行き渡らなくなり脳細胞が壊死する状態です。
心筋梗塞
何らかの原因により心臓の冠動脈が詰まります。
動脈硬化などにより冠動脈が詰まることで血液に含まれる栄養や酸素などが行き渡らなくなり心臓の細胞が壊死する状態です。
抹消動脈疾患
足の血管に動脈硬化が起こり十分な血液が足に流れなくなる状態です。
症状として足の
- しびれ
- 疼痛
- 冷感
などがあります。
病気の進行により「歩けなくなる」「じっとしていても足が痛い」「潰瘍」「壊死」などがあります。
「狭心症」「心筋梗塞」「脳卒中」などのリスクがあります。
4).その他
歯周病
歯や歯茎などに細菌感染が起こる状態です。
高血糖は細菌感染を起こしやすいため、歯と歯茎の間に細菌が感染します。
歯が抜けるリスクがあります。
また、歯茎の中で作られる炎症性物質によりインスリンの働きはさらに低下します。
炎症性物質を作る原因である歯周病を予防することで糖尿病の改善につながります。
感染症
病原体が身体の中に入った状態です。
高血糖により白血球の働きや免疫反応が低下して感染症を起こしやすくします。
高血糖により細い血管の流れが悪くなり酸素や栄養が細胞に行き渡らなくなり、細胞の働きが低下します。
細胞の働きが低下すると感染部位に白血球が到達しづらくなります。
抗生剤などの治療薬も感染部位に到達しづらいため効果が弱まります。
4、症状
- 疲労感
- 皮膚乾燥
- 体重減少
- 手足の感覚低下
- 手足の痛み「チクチク」
- 頻尿
- 多尿
- 多汗
- 目のかすみ
- ED
- 空腹感
- 喉の渇き
- 易感染症
- 傷が治りにくい
- 意識障害
5、検査
合併症を調べるなどで、状態に合わせて色々な検査をします。
- 尿検査
- 血液検査
- 簡易血糖測定
- BS
- HbA1c
- ブドウ糖負荷試験
- Cペプチド
- GAD抗体
- 眼底検査
- 心電図
- 胸部XーP
- 超音波検査
- CT
- MRI

低血糖症状が出現したら簡易血糖測定をしてすぐに対処することが大切なのだ
6、治療
- 運動療法
- 食事療法
- 薬物療法
Next page
7、看護ポイント
8、看護計画
9、看護計画の見本