看護学生の頃に記録を書くのに悩むことがありました。「色々とまとめてるのものがあればっ!」と思っていたのでまとめました。
1、パーキンソン病とは
中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞がなんらかの原因で破壊されることで、ドーパミンの作る量が減少して不足している状態です。
1).原因
タンパク質の塊であるレビー小体が黒質にあるドーパミンを作る神経細胞にできます。
レビー小体の主な成分はアルファ・シヌクレインというタンパク質であり、このタンパク質が神経細胞にダメージを与えることで神経細胞が減少します。
そのためレビー小体やアルファ・シヌクレインが原因と考えられていますが、詳しい原因はまだ解明されていません。
他にも家族性パーキンソニズムの原因となる遺伝子異常や環境因子が影響すると考えられています。
2).ドーパミン
アドレナリンやノルアドレナリンの前駆体です。
「運動の調節」「ホルモンの調節」「快の感情」「意欲」「学習」などに関わっています。
ドーパミンの分泌低下は「無快楽」「意欲低下」などの原因と考えられています。
ドーパミンは黒質で産生されて線条体で使われます。
ドーパミン産生が低下することで線条体への作用が減り、相対的にアセチルコリンの働きが優位になるため運動が円滑にできなくなると考えられています。

線条体について簡単に書いてあるのだ
2、重症度分類
1).ホーエン・ヤール「Hoehn-Yahr」重症度分類
Ⅰ度
- 一側性パーキンソニズム
体の左右どちらか片側だけに振戦や固縮がある状態です。
機能的障害はないか、あっても軽微になります。
ほとんど不自由なく日常生活を送ることができます。
Ⅱ度
- 両側性パーキンソニズム
両側の手足に振戦や固縮、無動がある状態です。
姿勢反射障害はなく日常生活や仕事は多少の障害はあるが行うことができます。
Ⅲ度
- 軽〜中等度パーキンソニズム、姿勢反射障害あり、日常生活に介助不要
姿勢反射障害や歩行障害がある状態です。
活動はある程度制限され、機能障害は軽度〜中等度あるが1人での生活を送ることができます。
仕事は職種や職場環境により続けることができます。
Ⅳ度
- 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
日常生活動作の低下が著しく日常生活では介助が必要になります。
自力での生活は困難になりますが、支えられずに立つことや歩くことは、どうにかできます。
仕事を続けることが困難な状態です。
Ⅴ度
- 介助なしにはベッド又は車椅子生活
1人では立つことが難しく介助なしでは日常生活を送ることができない状態です。
2).生活機能障害度
Ⅰ度
- 日常生活、通院にほとんど介助を要しない
Ⅱ度
- 日常生活、通院に部分的介助を要する
Ⅲ度
- 日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能
3).分類まとめ
Hoehn-Yahr重症度分類 | 生活機能障害度 |
Ⅰ度 一側性パーキンソニズム | Ⅰ度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない |
Ⅱ度 両側性パーキンソニズム | 同上 |
Ⅲ度 軽〜中等度パーキンソニズム、姿勢反射障害あり、日常生活に介助不要 | Ⅱ度 日常生活、通院に部分的介助を要する |
Ⅳ度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能 | 同上 |
Ⅴ度 介助なしにはベッド又は車椅子生活 | Ⅲ度 日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能 |
3、パーキンソン病によるリスク
1).転倒
パーキンソン病は転倒しやすい内的要因が症状としてあります。
さらに外的要因があると転倒リスクは高くなるため、転倒による外傷、寝たきりのきっかけなど今後の影響が大きくなります。
内的要因
加齢や疾患、薬物などにより身体になんらかの変化あるためリスクが高くなる要因のことです。
内的要因となる原因は個別性が強く様々な要因があるため、ここに記載している以外にも多くあります。
1、加齢
- 筋肉量減少
- 持続力低下
- 反応・反射速度低下
- 巧緻性低下
- 平衡感覚低下
- 姿勢保持困難
など
2、疾患
- 循環器系
- 神経系
- 筋骨格系
など
3、薬物
- 睡眠薬
- 抗精神病薬
- 降圧剤
- 強心薬
- 抗パーキンソン病薬
など
外的要因
履物やズボンなど身につけているものや床に置いてある荷物や段差など、転倒しやすい環境によりリスクが高くなる要因のことです。
2).レビー小体型認知症
タンパク質の塊であるレビー小体が大脳皮質や脳幹部に生じることで脳神経細胞が破壊されて発症する認知症のことです。
詳しい原因は解明されていません。
3).廃用症候群
長期に渡りベッドに臥床して過ごすことで心身の機能が低下する状態です。
4).誤嚥性肺炎
気管や肺に誤って唾液や飲み物、食べ物などが入り込むことを誤嚥と言います。
細菌なども一緒に入り込みます。
感染や異物により肺が炎症を起こすと誤嚥性肺炎になります。
4、症状
1).四大症状
安静時振戦
パーキンソン病の振戦は、安静時や静止時に手足や顎、唇などの部位が自分の意思とは関係なく振える状態です。
意識的に身体を動かす動作や睡眠の時は振戦が抑えられます。
寡動・無動
筋肉の低下や麻痺などがないのに、動作が遅くなる状態です。「寡動」
動作の開始が遅い、動きが少ない、歩く速度が遅い、小さな動きになる、表情が乏しいなどがあります。
寡動が進行すると、動くことができない状態になります。「無動」
精神状態により動きの速度に変化があり、例えば気持ちが高ぶっているときに素早く動くことができることがあります。
- すくみ現象
- 小刻み歩行
- 仮面様顔貌
- 小字症
- 小声症
- 嚥下障害
など
固縮「強剛」
筋の緊張が亢進している状態です。
他動運動による屈伸をするとスムーズに動かすことができず抵抗を感じます。
- 歯車様固縮:ガクガクと断続的な抵抗
- 鉛管様固縮:持続的な抵抗
姿勢反射障害
体が傾いた時に「重心を移動」「足を踏み出す」など、転倒しないようにバランスをとる動作が障害された状態です。
倒れそうになっても姿勢を直すことができない、歩き出すと止まれない、姿勢が斜めに傾くなどがあります。
2).身体症状
歩行障害
脳や神経、筋肉などが一連の動作を行い歩行をすることができます。
なんらかの障害により一連の動作が障害された状態です。
- 小刻み歩行
- すり足
- すくみ足
- 突進歩行
など
嚥下障害
食べ物や飲み物など、上手く飲み込めない状態です。


詳しくまとめてあるのだ
構音障害
言葉の意味を理解できて伝えたいことがはっきりしているのに、正しく発音できない状態です。
無表情
表情の変化に乏しい状態です。
自律神経障害
- 便秘
- 排尿障害
- 起立性低血圧
- 発汗障害
など
しびれ
皮膚の感覚が低下している状態です。
- 感覚が鈍い
- 温度が感じにくい
- 痛みが感じにくい
- ジンジンする
- ピリピリする
- 針で刺されている感覚
- 力が入りにくい
など
疼痛
四大症状や身体症状、精神症状などから痛みがある状態です。
- 姿勢反射障害により脊椎のずれなどによる神経圧迫痛
- 運動による筋肉痛
- 固縮による肩こり
- 睡眠不足による頭痛
など
3).精神症状
幻覚
対象なき知覚のことです。
外界からの情報がないのに知覚してしまう状態です。


幻覚についてまとめてあるのだ
妄想
根拠がほとんどないのに「非現実的」なことを確信している状態です。
自分で「妄想」と認識することが難しく病識は乏しくなります。


妄想についてまとめてあるのだ
抑うつ状態
抑うつ気分とは「憂うつ」「気分の落ち込み」などがある状態のことです。
この状態が強くなることを「抑うつ状態」と言います。
認知機能障害
理解や判断、論理などの知的機能が障害された状態です。
衝動制御障害
自分や他人に「危害を与える」という内的欲求を抑えることができない状態です。
- 自殺
- 自傷
- 暴力
- 攻撃性
- 反社会性
など
4).その他の症状
睡眠障害
睡眠に関係することが障害されている状態です。
- 日中過眠「日中の眠気」
- 突発的睡眠「突発的に睡眠してすぐ目覚める」
- 睡眠時無呼吸症候群
- レストレスレッグス症候群
- 睡眠時随伴障害
- 不眠症
など


不眠症についてまとめてあるのだ
嗅覚障害
匂いを正常に感じることができない状態です。
アパシー
意欲が障害されている状態です。
- 無気力
- 無関心
など
5、検査
- 尿検査
- 血液検査
- CT
- MRI
- MIBG心筋シンチグラフィー
- ドパミントランスポーターシンチグラフィー「Dat Scan」
6、治療
- 薬剤療法
- 経腸療法
- リハビリテーション療法
- 手術療法
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