身体からアルコールが抜ける時間を計算できる方法があることを知っていますか。アルコールは身体でどのように分解されるのでしょうか。
ほとんどの方はお酒を飲むと酔っ払います。
酔った感じが心地よかったり、飲み過ぎて気持ち悪かったり身体の中ではどうなっているのでしょうか。
お酒は20歳からなのだ
1、お酒とは
ビールや日本酒、洋酒、ワインなどたくさんの種類があります。
これらをお酒と呼びますが共通することはアルコールが1%以上入っていることです。
アルコールは「エタノール」で「エチルアルコール」「酒精」とも呼びます。
色々な呼び方があるのだ
2、吸収と分解
1).吸収
他の食品とは違い胃での消化をあまり受けることなく吸収されます。
ほとんど消化されないのだ
胃で約20%、小腸で約80%吸収されたアルコールは肝臓を通り全身の臓器に行き渡ります。
2).分解
アルコールは肝臓で分解されます。
肝臓でアルコール脱水素酵素やミクロゾームエタノール酸化系の2種類によりアセトアルデヒドに分解されます。
アセドアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素により酢酸に分解されます。
酢酸は血液により全身へ運ばれます。
酢酸は心臓や筋肉、各臓器などにより二酸化炭素と水に分解され呼吸や汗、尿などにより体外に排出されます。
摂取したアルコールのごく少量は汗や尿、便などから直接体外に排出されます。
アルコールの分解はややこしく感じるのだ
ビタミンB1
ビタミンB1はアルコールの分解に関わっています。
糖質からエネルギーを作る時にビタミンB1が必要になります。
このエネルギーは心臓や筋肉、各臓器が働くため必要になります。
また、アセドアルデヒドの分解が追いつかない時は違う方法でアルコールを分解します。
この時にもビタミンB1が必要で、アセドアルデヒドをアセトインにて無毒化します。
ビタミンB1も関わっているのだ
簡易チャート
①アルコール
↓
【アルコール脱水素酵素】
【ミクロゾームエタノール酸化系】
↓
②アセドアルデヒド
↓ ↓
↓ 【ビタミンB1】
↓ ↓
↓ ⑤アセトイン
↓
【アルデヒド脱水素酵素】
↓
③酢酸
↓
【各臓器、全身の筋肉】
↓
④水、二酸化炭素
↓
呼吸、汗、尿などにより排泄
3).全身へまわる
アルコールやアセドアルデヒドは1度に全て分解されません。
分解されないアルコールやアセドアルデヒドは血液の流れにのり全身にまわります。
全身を巡ったあと肝臓へ戻り分解されます。
これを何度も繰り返して全て分解されます。
何度も何度も繰り返して分解しているのだ
4).アルコールは強くなる?
お酒を毎日飲むとアルコールに強くなった気がしませんか?
ミクロゾームエタノール酸化系は飲酒量により活性化する特性があります。
これによりお酒に強くなったと感じます。
アルコールの分解量は個人差があり、この活性化も個人差があります。
ミクロゾームエタノール酸化系が活性化しても肝臓にかかる負担は変わらないので分解量はあまり変わりません。
たくさん飲むとお酒に強くなるって思ってたのだ
3、飲酒によるリスク
1).発癌性物質
アセドアルデヒドは発癌性物質の1つで、たばこにも含まれている化学物質です。
知らなかったのだ
- 口腔癌
- 咽頭癌
- 喉頭癌
- 食道癌
- 胃癌
- 大腸癌
など
2).脳神経障害
アルコールが脳に届くと脳を麻痺させて脳細胞の機能を低下させます。
これが酔った状態です。
脳が麻痺なのだ
- 脳萎縮
- 認知症
- 記憶障害
- 末梢神経障害
- うつ病
など
3).毒性
大量のアルコールが長期的に脳に届くと、脳がアルコールを常に欲がる状態になり依存性が出現します。
- アルコール依存症
- アルコール中毒
など
4).ビタミンB1欠乏
ビタミンB1はアルコールの分解に関わっています。
アルコールを大量に摂取するとビタミンB1を大量に消費するためビタミンB1の欠乏になります。
ビタミンB1不足になりやすいのだ
- 脚気
- ウェルニッケコルサコフ症候群
など
5).糖新生抑制
アルコールの酸化により糖新生が抑制されます。
アルコールの飲み過ぎによりインスリン抵抗性の出現と食欲が増進されます。
- 低血糖
- 2型糖尿病
など
6).脂肪酸と中性脂肪合成の亢進
アルコールの酸化により脂肪酸と中性脂肪の合成を亢進します。
肝臓を始め体内に脂肪を溜め込みます。
お腹の周りにお肉がつくのだ
- 脂肪肝
- メタボリックシンドローム
- 高脂血症
など
7).交感神経刺激
血管拡張作用や交感神経刺激作用があります。
頭痛や吐き気、動悸、顔が赤くなるなどの症状が出現します。
血圧は一時的に低下しますが長期的にアルコールを飲むと交感神経刺激により血圧は高くなります。
- 高血圧症
- 2型糖尿病
- 不眠症
など
8). 膵腺房細胞への有害作用
アルコールは膵腺房細胞に対し多くの有害作用があり膵臓を傷つけます。
どの様に膵臓を傷つけているのかは詳しく解明されていないようです。
- 膵炎
など
9).尿酸増加
体内で尿酸の産生を増やしたり尿酸の排泄を阻害して体内に尿酸をとどめます。
アルコールの利尿作用により尿酸が濃縮されます。
- 高尿酸血症
- 痛風
など
10).肝細胞破壊
アルコールの有害作用により肝細胞を傷つけます。
肝臓は解毒してくれる臓器なのだ
- アルコール性肝炎
- 肝硬変
など
11).カルシウム減少
アルコールによりカルシウムの吸収率が悪くなります。
利尿作用によりカルシウムが多く排出され体内のカルシウムの量が減少します。
- 骨粗鬆症
など
12).刺激性
アルコールは刺激性があり粘膜を傷つけます。
粘膜が傷つくことで炎症や潰瘍になります。
- 咽頭炎
- 食道炎
- 食道静脈瘤
- マロリーワイス症候群
- 胃炎
- 胃潰瘍
- 胃静脈瘤
など
13).心臓負荷
心臓の動きが亢進し脈拍が早くなります。
心臓や血管に負荷がかかります。
- 高血圧症
- 不整脈
- 心筋症
など
4、アルコールの基準
厚生労働省は節度あるを定義しています。
通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である。
厚生労働省
純アルコール換算はお酒の中に入っているアルコールだけの量のことなのだ
体型や代謝量に大きく個人差があるのであくまで目安になります。
女性は男性よりもアルコールの分解が遅いためさらに少なくなります。
純アルコール換算
- 男性20g/日以下
- 女性約13g/日以下
1).飲める量
アルコール摂取量の1単位は純アルコールで20gになります。
- 1単位
- ビール「5%」500ml
- 缶チューハイ「5%」500ml
- 日本酒「15%」180ml「1合」
3).純アルコールの計算方法
計算式
- 純アルコール量g=アルコール摂取量ml×アルコール%(または度数÷100)×0.8
例:ビール500ml
500ml×5%×0.8=20g
「×0.8」はアルコールの比重なのだ
4).アルコールが抜ける時間
計算式
- 純アルコール量g÷体重×10=抜ける時間
例:体重60kg、純アルコール量20g
20÷60×10=3.33…
約3.3時間
一般的な飲酒量の計算になります。
過剰に飲酒する場合は該当しません。
体型や代謝量に大きく個人差があるのであくまで目安になります。
あくまで目安なのだ
5、まとめ
適度に飲酒した場合、食欲の増進や血行促進、ストレス減少により心臓疾患や動脈硬化、2型糖尿病などのリスクが減少します。
社会生活において人間関係はとても大切です。
お酒の付き合いをすることで人間関係が円滑になりやすいですが、お酒の失敗で人間関係がギクシャクすることも考えられます。
お酒が好きな人であれば、美味しくお酒を味わえるのでそれだけで飲む価値はあると思います。
ただ、飲酒量は適度な量をお勧めします。
飲酒をしない場合、飲酒によるリスクはなくなります。
さらにお金や時間を節約できます。
お酒を付き合わないということで人間関係が崩れることもありますが、そんなことで崩れる人間関係はどうなんだろうと個人的に思います。
健康やお金、時間のことを考えるとお酒を飲まない方が総合的に良い気がします。
1週間に1日で良いから休肝日を作るのだ