人の浸透圧は2種類あります。看護師が覚える知識についてまとめました。
浸透圧について知っていますか。
看護をするうえでとても重要になります。
人体ではどのように浸透圧を調節しているのでしょうか。
1、浸透圧とは
1個の容器を半透膜で2部屋に分ます。
半透膜で隔てられた2部屋に、濃度の異なる水を入れるとお互い同じ濃度になろうとします。
この時に濃度の低い方から濃度の高い方に水が移動するため、濃度が同じになります。
この水が移動する力を浸透圧といいます。
濃度の低い方から高い方に移動するのだ
1).半透膜
一定の大きさ以下の分子やイオンを通す膜のことです。
- 細胞膜
- 血管壁
など
タンパク質などの大きい物は通過できませんがナトリウムなどの小さい物は通過できます。
2).血漿の浸透圧
人の血漿浸透圧は285±5mOsm/Lに保持されています。
これと同じぐらいの浸透圧であれば等張液、低ければ低張液、高ければ高張液となります。
等張液、低張液、高張液があるのだ
3).種類
- 血漿浸透圧
- 電解質により維持しています。
- 膠質浸透圧
- アルブミンにより維持しています。
アルブミンはタンパク質のことなのだ
2、浸透圧の調節
1).血漿浸透圧
身体の中の水分量を調節しています。
主に腎臓で水とナトリウムの再吸収により調節しています。
血漿浸透圧が低いと鉱質コルチコイドの分泌が促進され腎臓でナトリウムの再吸収を促進します。
ナトリウムが再吸収されると血液中のナトリウムが増加し血漿浸透圧は高くなります。
血漿浸透圧が高いとバソプレシンの分泌が促進され腎臓で水の再吸収を促進します。
水が再吸収されると尿量は減少し血漿浸透圧は低くなります。
鉱質コルチコイドが作用している下でバソプレシンが作用してるのだ
浸透圧が高い | 浸透圧が低い |
バソプレシン分泌 ↓ 水の再吸収促進 ↓ 浸透圧は低くなる | 鉱質コルチコイド分泌 ↓ ナトリウムの再吸収促進 ↓ 浸透圧は高くなる |
2).膠質浸透圧
主に肝臓で作られるアルブミンにより血管内の水分保持や間質液の取り込みなどを調節しています。
血液は間質液よりアルブミンを多く含むため膠質浸透圧は高いです。
逆に間質液は血液より膠質浸透圧は低いです。
膠質浸透圧により血管内の水分を保持しています。
アルブミンが血管内の水分保持をしているのだ
毛細血管では血管が細くなり血圧が高くなります。
また血管には孔が無数に開いています。
毛細血管の動脈では膠質浸透圧より血圧が高いため水分とともに栄養などが間質液へ押し出されます。
毛細血管の静脈では膠質浸透圧より血圧が低いため膠質浸透圧により間質液の水分とともに老廃物などが血管内に取り込まれます。
- 膠質浸透圧
- 約25mmHg
- 毛細血管
- 動脈圧:約30mmHg
- 静脈圧:約15mmHg
膠質浸透圧<動脈圧 | 膠質浸透圧>静脈圧 |
間質液に栄養が移動 | 毛細血管に間質液や老廃物が移動 |
毛細血管の圧力を利用しているのだ
3、覚えるポイント
ポイント
1、移動
- 浸透は濃度の低い方から高い方へ移動
2、浸透圧
- 等張液=285±5mOsm/L
- 生理食塩水など
- 低張液=等張液より低い
- 蒸留水など
- 高張液=等張液より高い
- 20%ブドウ糖液など
3、アルブミン
- アルブミン=タンパク質
4、血漿浸透圧
- 主にナトリウムにより調節
- 浸透圧が低いと鉱質コルチコイドの分泌を促進
- 鉱質コルチコイドはナトリウムの再吸収を促進
- 浸透圧高いとバソプレシンの分泌を促進
- バソプレシンは水の再吸収を促進
- 浸透圧調節のおおもとは鉱質コルチコイド
- 鉱質コルチコイドが作用している下でバソプレシンが作用するためそれぞれ単独での分泌はない
5、膠質浸透圧
- アルブミンにより調節
- 血液は間質液より浸透圧が高い
- 毛細血管の動脈圧は膠質浸透圧より高いため水分や栄養を間質液へ押し出している
- 毛細血管の静脈圧は膠質浸透圧より低いため水分や老廃物を血管へ回収している