看護学生の頃に記録を書くのに悩むことがありました。「色々とまとめてるのものがあればっ!」と思っていたのでまとめました。
なんらかの原因で椎体に圧力がかかり壊れて変形する骨折で、骨粗鬆症など骨の脆弱性が背景にある高齢者に多いです。
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治療しないと死亡率が高くなるのだ
1、腰椎圧迫骨折とは
人の背中には「体幹の支持」「脊髄、神経の保護」などの役割をしている脊椎があります。
脊椎は「頚椎」「胸椎」「腰椎」などに分類されています。
腰椎圧迫骨折は「腰椎」の椎体が壊れて変形した状態のことです。
1).脊椎
24個ある椎骨が椎間板と靭帯でつなげられている骨のことです。
頭部に近い方から頚椎、胸椎、腰椎と分けられています。
頚椎
頚椎は7個の椎骨があり「前弯」しています。
頭部側から「第1頚椎」「第2頚椎」と呼び「第7頚椎」まであります。
英語で「Cervical spine」と呼ぶため頭文字をとり「C1」「C2」と略して表現することがあります。
胸椎
胸椎は12個の椎骨があり「後弯」しています。
頚椎から続き腰椎につながっています。
頚椎側から「第1胸椎」「第2胸椎」と呼び「第12胸椎」まであります。
英語で「Thoracic」と呼ぶため頭文字をとり「T1」「T2」と略して表現することがあります。
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「Th1」「Th2」と表現するときもあるのだ
腰椎
腰椎は5個の椎骨があり「前弯」しています。
胸椎から続き仙骨につながっています。
胸椎側から「第1腰椎」「第2腰椎」と呼び「第5腰椎」まであります。
英語で「Lumbar」と呼ぶため頭文字をとり「L1」「L2」と略して表現することがあります。
2).椎体
椎骨の円柱状の部分のことです。
圧迫骨折はこの椎体が破壊、変形するなどの骨折がある状態です。
3).原因
骨粗鬆症
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高齢者は骨粗鬆症による圧迫骨折が多いのだ
骨の密度が低下して骨折が起こりやすい状態のことです。
高齢者、閉経後の女性などで骨が弱くなっている場合、「中腰の姿勢」「重い物を持つ」「しりもちをつく」など、少しの力でも骨折の原因になります。
悪性骨腫瘍
圧迫骨折は転移性が原因であることが多いです。
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転移性が圧迫骨折は関わりが深いのだ
腫瘍により「腫脹」「疼痛が長期に続く」「骨が脆くなる」などの症状がある状態です。
- 原発性
- 原因不明であることが多い
- 膝、肩、股関節などの付近に出現しやすい
- 転移性
- 肺がん、乳がんなどから転移する
- 脊椎に出現しやすい
外傷性圧迫骨折
「交通事故」「高所からの落下」などにより脊椎に圧力がかかり骨折します。
2、腰椎圧迫骨折によるリスク
1).廃用症候群
疼痛などにより長期に渡りベッドに臥床する状態が続くことで心身の機能が低下する状態です。
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年齢に関係なくあるのだ
2).認知症の進行
認知症は1度獲得した記憶や認識、判断、学習などが低下し周囲の状況や判断が正しくできず日常生活に支障をきたしやすい状態のことです。
入院による「環境の変化」「活動性の低下」などにより認知症が進行することがあります。
3).椎体遅発性神経麻痺
圧迫骨折により骨の変形が進むと神経を圧迫するようになります。
神経の圧迫により「下肢のしびれ」「歩行障害」などの症状が出現します。
4).深部静脈血栓症
怪我をした後や手術中、術後に体を動かさずに臥床ばかりしていると下肢の静脈の流れが悪くなり血液の塊「血栓」できるリスクが高くなります。
この血栓が下肢にできた状態のことです。
深部静脈血栓症により血液の流れが悪くなりふくらはぎを中心に腫脹、疼痛などを感じます。
肺血栓塞栓症
深部静脈血栓症の血栓が血流にのり肺動脈を詰まらせることが多いです。
血液の流れで血栓が飛び血管を詰まらせる血栓塞栓症のリスクがあります。
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エコノミー症候群もこれと同じなのだ
5).せん妄
意識と認知の障害を特徴とするものです。
急性、一過性、可逆性に「見当識障害」「錯覚」「幻覚」などにより精神運動興奮をきたした状態です。
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高齢者に多いイメージ…
高齢者じゃなくても認知機能低下や手術後でも起こるリスクはあるのだ
夜間せん妄
夜間に症状が出現する状態です。
環境の変化などで起こるリスクがあります。
6).誤嚥性肺炎
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ベッドで安静に過ごしているだけで身体の機能が低下するのだ
大腿骨頚部骨折はほとんどが高齢者だから誤嚥性肺炎のリスクも高くなるのだ
気管や肺に誤って唾液や飲み物、食べ物などが入り込むことを誤嚥と言います。
細菌なども一緒に入り込みます。
感染や異物により肺が炎症を起こすと誤嚥性肺炎になります。
7).術後感染症
手術部位に菌が入ると化膿します。
感染は術後1年まで起こるといわれています。
抗生剤の点滴を行い感染予防をしたり血液検査で感染の有無を調べます。
手術部位の疼痛や腫脹など感染の兆候を観察します。
8).多発性圧迫骨折
椎体の圧迫骨折が複数ある状態です。
圧迫骨折は胸腰椎移行部に多いです。
多発性圧迫骨折により「体幹の支持」が保持できなくなり「老人性円背」「脊柱後弯症」「身長低下」などがあります。
さらに円背、身長低下などによる「逆流性食道炎」「歩行障害」などがあります。
9).睡眠障害
疼痛により眠れなくなることがあります。
3、症状
- 安静時疼痛
- 体動時疼痛
- 姿勢保持困難
- 歩行困難
- 老人性円背
- 脊柱後弯症
- 身長低下
- 無症状
4、検査
- XーP
- CT
- MRI
5、治療
1).安静療法
リハビリをしても差し支えない状態になるまでは基本的に安静に過ごします。
2).コルセット固定
安静を図るために医療用コルセットを作ります。
コルセットで脊椎にかかる負担を軽減することにより「疼痛」「骨変形」などのリスクを軽減できます。
3).手術療法
観血的手術になります。
観血的とは出血を伴うということです。
逆に非観血的は出血を伴わないことです。
椎体形成術
「PVP」「BKP」などの手術のことです。
保存療法だけでは日常生活を過ごすことが困難な疼痛や神経障害がある方が手術を受けることがあります。
4).運動器リハビリテーション療法
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リハビリはとても大事なのだ
運動療法や物理療法、巧緻動作、食事、更衣といった日常生活動作、装具療法などを行うリハビリのことです。
運動療法
立ち上がりや歩行、階段の昇降など日常生活動作の獲得や社会生活、スポーツ活動へ復帰などするための治療です。
物理療法
温熱療法、電気療法、超音波療法などのことです。
痛みを軽減させ筋力や関節の動きの改善を図る治療です。
5).薬物療法
消炎鎮痛剤
疼痛のコントロールをしてストレスを軽減します。
状態により疼痛のコントロールをしてリハビリを始めます。
消炎鎮痛剤を内服してでもリハビリをした方が良いと言われる時代ですが安静と活動などの治療方針は主治医の指示に従います。
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痛みを抑えてでもリハビリした方が良い場合があるのだ
骨粗鬆症治療薬
骨粗鬆症を治療することで骨折するリスクが減少します。
6、看護ポイント
1).転倒予防
歩行の状態などを観察して転倒のリスクを考えます。
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転倒したらまた骨折しちゃうのだ
リハビリが開始され歩行練習すると歩行に対して自信を持ち「手すりを使わない」「福祉用具を使わない」「単独歩行の許可がないのに単独歩行をする」など転倒のリスクが高くなります。
転倒すると再骨折のリスクがあるため転倒予防策はとても重要です。
転倒に対してのリスクと転倒をしないためにどのようにしたら良いのかを指導する必要があります。
2).禁忌肢位
術後ベッドで安静にして過ごす時や日常生活動作の中で動いていけない動きがあります。
腰部の回旋や過屈曲、過伸展が禁忌肢位になります。
この動作をすると骨折部が増悪するリスクがあります。
3).食事療法
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食べることは生きる力なのだ
術後の回復を促すためにバランスの良い食事が必要となります。
栄養バランスを考えた食事を指導することで骨粗鬆症の予防につながります。
4).運動療法
病棟で歩行訓練などをします。
活動と休息のバランスを指導していく必要があります。
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体力に合った運動量を観察するのだ
5).歩行状態
歩行状態を観察します。
ふらついて転倒のリスクが高い時は介助する必要があります。
介助が必要な場合、トイレなどで移動したいときはNSコールを使うように指導します。
6).病識
病気に対してどこまで理解しているか観察します。
コルセットの装着
コルセットを装着する必要性を指導します。
コルセットを装着して過ごせているか、自己の状態を軽視していないかを観察します。
福祉用具の使用
使っている歩行器や杖などを確認します。
福祉用具の正しい使い方を指導します。
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正しく使えないと転倒するリスクも高くなるのだ
7).バイタルサイン
術後感染や誤嚥性肺炎など感染症の兆候を観察します。
8).せん妄
精神運動興奮や発言などから精神症状の観察をします。
9).認知症の進行
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骨折をきっかけに認知症が進むことがあるのだ
中核症状や周辺症状を観察します。
必要であれば認知機能検査をします。
中核症状
- 記憶の障害
- 判断力の障害
- 問題解決能力の障害
- 実行機能の障害
- 見当識の障害
- 失行
- 失認
- 失語
周辺症状
- せん妄
- 幻覚
- 妄想
- 睡眠障害
- 不安
- 焦燥
- 抑うつ
- 心気
- 暴言
- 暴力
- 多弁
- 多動
- 依存
- 異食
- 過食
- 不潔行為
- 徘徊
- 介護拒否
- 仮性作業
10).深部静脈血栓症
ふくらはぎを中心に観察します。
- 腫脹
- 疼痛
- 皮膚色
- 左右差
- 浮腫
- ホーマンズ兆候
- ローエンベルグ兆候
- 表在静脈の怒張
- 呼吸困難
- 胸痛
7、看護計画
下記の項目から対象者を当てはめ、必要な項目を詳しく考えていきます。
1).O-P
身体症状
- 体温
- 脈拍
- 血圧
- 呼吸
- 術後の経過
- 疼痛の有無
- 腰部の状態
- ADL
- 歩行状態
- 安静時の姿勢
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精神症状
- 中核症状の有無
- 周辺症状の有無
- 発言内容
- 病識の有無
生理的状態
- 排尿
- 排便
生活因子の状態
- 食事摂取量
- 水分摂取量
- 補食の有無
- 喫煙の有無
- 飲酒の有無
- 睡眠状況
- 活動と休息のバランス
- 福祉用具の有無
治療に関すること
- 治療方法の効果
- 診察や検査結果からの変化
- 治療や検査など患者「家族」の思い
- 治療に対する意欲
- 術後感染症
- 薬剤による副作用
2).T-P
日常生活の援助
自分でできる方であれば日常生活の援助はあまり必要ありませんが「身体的理由」「精神的理由」「病識欠如」「意欲低下」などの理由でできない方は援助をしていきます。
- 洗面
- 口腔ケア
- 整容
- 食事
- 排泄
- 入浴
- 清拭
- 更衣
疼痛コントロール
- 安楽な体位
- 消炎鎮痛剤
- 疼痛のスケール
安静療法
- コルセットの装着
- 安静保持ができているか
転倒予防
- 身体状態
- 精神状態
- 薬剤による副作用
- 衣類調節
- 環境調節
- 歩行介助
- 歩行見守り
3).E-P
- 正しい姿勢
- 禁忌肢位
- 退院後の生活
- 骨粗鬆症の治療
- 疼痛コントロール
- 転倒
- 運動療法
- 病識の獲得
4).ポイント
- 合併症の予防や早期発見できる観察
- 実践可能な立案
- 個別性な立案
- 生活習慣に合わせた指導内容
- 薬剤の副作用に合わせた指導内容
- 原因となる因子の排除に向けた計画内容
- 自立に向けた援助や指導内容
- 退院後の生活における社会資源の活用
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高齢者に多いのだ