看護学生の頃に記録を書くのに悩むことがありました。「色々とまとめてるのものがあればっ!」と思っていたのでまとめました。
高血圧症とは名前の通り血圧が高くなる病気です。
どんなことに気をつけて看護をすれば良いのかみていきましょう。
1、高血圧症とは
高血圧症とは安静時の血圧測定で慢性的に高い異常値となる状態です。
静かに落ち着いている時に血圧を測定しても高い数値になります。
常に血圧が高いことなのだ
1).高血圧の指標
- Ⅰ度高血圧:140〜159かつ、または/90〜99
- Ⅱ度高血圧:160〜179かつ、または/100〜109
- Ⅲ度高血圧:180以上かつ、または/110以上
2).種類や原因
高血圧症は2種類あるのだ
本態性高血圧症
血圧が上昇する原因が特定できない高血圧症のことです。
約90%が本態性高血圧症です。
原因がわからない高血圧症のことなのだ
遺伝子因子や環境因子が考えられ生活習慣病と言われています。
- 遺伝子因子
- 動脈硬化
- 運動不足
- 過剰な塩分摂取
- 栄養バランスの悪い食事
- 肥満
- 喫煙
- 飲酒
- ストレス
二次生高血圧症
血圧が上昇する原因が、ある疾患だと特定できる高血圧症のことです。
約10%が二次生高血圧症です。
原因はわかってる高血圧症のことなのだ
- 脳や中枢神経系疾患による高血圧
- 脳卒中
- 脳腫瘍
- 頭蓋内圧亢進
- 脳炎
- 腎実質性高血圧
- 糸球体腎炎
- 虚血性腎症
- 腎血管性高血圧
- 腎動脈の狭窄
- 腎動脈の閉鎖
- 内分泌性高血圧
- クッシング症候群
- 原発性アルドステロン症
- 褐色細胞腫
- 遺伝性高血圧
- 遺伝子異常による先天性血圧異常症
- 薬剤誘発性高血圧
- 非ステロイド性抗炎症薬
2、高血圧症によるリスク
血管がダメージ受けやすいから全身に影響を及ぼすのだ
高血圧症は「血管壁の柔軟性がない」「血管が狭い」などにより血管壁に強い圧力がかかっている状態になります。
1).脳卒中
血管壁に強い圧力が長く続くと血管壁が無理をして結果的にダメージを受けます。
血管壁がダメージを受けると修復しようとするため、血液が塊り血液の流れを悪くします。
さらに血管壁が破れると出血します。
血液の塊を「血栓」といいます。
脳の血管が破れたり、血栓により脳の血管の流れが止まることで脳卒中となります。
脳卒中も種類があるのだ
脳卒中について簡単にまとめてあるのだ
ラクナ梗塞
脳の細い動脈に血栓ができて詰まる状態です。
自覚症状がない事が多く無症状の脳梗塞を無症候性脳梗塞と呼びます。
アテローム血栓性脳梗塞
脳の比較的大きい動脈に血栓ができて詰まる状態です。
動脈硬化などが主な原因です。
心原性脳塞栓症
心臓や心臓から脳に流れる動脈の中で血の塊ができます。
血の塊がはがれて動脈の流れにのり、脳の血管を詰まらせる状態です。
脳出血
何らかの原因により脳の血管が破れて脳の中に出血を起こした状態です。
血液が脳内で塊になることを血腫といいます。
この血腫が脳内にできることで脳に直接ダメージを与えます。
また、血腫が大きくなったり脳浮腫により頭蓋内圧が高くなり脳が圧迫されてダメージを与えます。
くも膜下出血
何らかの原因によりくも膜下腔「くも膜と軟膜の間の空間」に出血を起こした状態です。
80〜90%は脳動脈瘤破裂によるものです。
2).心疾患
高血圧では血管に血液を送るために大きな力が必要になります。
そのため、心臓は強い力で血液を送り出すため負担がかかります。
この負担が心臓の筋肉を厚くしたり疲弊する原因となるため心臓の機能を低下させます。
心臓に負荷がかかるのだ
虚血性心疾患
冠動脈が「狭くなる」「血栓で閉塞する」など、心筋に血液が流れなくなり酸素や栄養が行き届かなくなる状態です。
心不全
心臓の機能が低下することで血液を全身に送り出せない状態です。
高血圧性心疾患
高血圧が原因で起きた心疾患のことです。
3).腎疾患
腎硬化症
腎臓の血管が動脈硬化となる状態です。
他にも色々なリスクがあるのだ
3、症状
- 頭重感
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 耳鳴り
- 不眠
- 倦怠感
- 手足のしびれ
- 悪心
- 嘔吐
- 食欲不振
- 顔面紅潮
4、検査
- 尿検査
- 血液検査
- 胸部XーP
- 心電図
- 心臓超音波検査「心エコー」
- 眼底検査
5、治療
1).薬物療法
血圧は薬剤でコントロールできるのだ
副作用には注意が必要なのだ
- 血管拡張薬
- カルシウム拮抗薬
- アンジオテンシン変換酵素阻害薬
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
- 中枢性交感神経抑制薬
- 抹消性交感神経抑制薬
- 受容体遮断薬
2).食事療法
1日の塩分を6g以下に制限します。
野菜や果物、魚を積極的に摂取しコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えます。
塩分の過剰摂取は浸透圧により血液中の水分が増えるのだ
その結果として血管壁に負荷がかかり血圧が高くなるのだ
3).運動療法
運動をすると一時的に血圧は高くなるのだ
重度の高血圧症、労作性狭心症など運動が危ない疾患もあるから主治医に確認するのだ
脈がやや速くなるぐらいの有酸素運動にストレッチ運動やレジスタンス運動を組み合わせます。
筋肉に負荷をかけた運動をレジスタンス運動といいます。
運動することで全身の筋肉に血液を運ぶために血管が広がるのだ
交感神経も緊張が緩和されて血圧が下がるのだ
6、看護のポイント
1).血圧測定
血圧の推移を観察するのはとても大切なことなのだ
血圧を測定する時はなるべく「同じ時間」「同じ姿勢」など、同じ状態で測定して血圧の推移をみます。
1日1回だけではなく日内変動を観察するために複数回測定します。
2).症状の観察
自覚している症状を問診したり客観的に観察できる症状を観察します。
治療方法の効果や薬剤の副作用の観察もします。
特に降圧剤は転倒のリスクが高くなります。
無症状もあるのだ
3).原因や誘引の有無
本態性か二次性かを確認します。
二次生であれば原因となる疾患の治療をします。
高血圧症の原因があれば治療することで高血圧も緩和することがあるのだ
生理的・生活因子
- 年齢
- 性別
- 体格
- 肥満度
- ストレスの有無
- 生活習慣
- 喫煙の有無
- 家族歴
4).便秘
排便によるいきみは血圧を上昇させます。
排便コントロールやいきみをしないような指導をします。
普段何気なくしていることでも血圧を高くしていることがあるので注意なのだ
5).環境
冬などで寒いと血圧が上昇します。
環境により身体が順応しようとして血圧が高くなるのだ
寒い場合は暖房などを使用して環境を調節します。
トイレや脱衣所、浴室などあらかじめ暖房で部屋を温めると血圧の急激な上昇を防ぐことができます。
入浴する温度は38℃〜42℃ぐらいにして5〜10分ぐらいを目安に入浴します。
サウナや冷水浴はしないように指導します。
温度差がある日常生活動作は血圧を上げる原因となるのだ
6).体重
適性体重を維持します。
肥満である場合は食事や運動療法などで減量をし適性体重を目指します。BMIでは25未満を目指します。
体重を減量するのはとても大変なのだ
実現しやすい目標を立てて少しずつ減量するのだ
7).お酒
目標は純アルコール換算で男性20g/日以下、女性は約13g/日以下に制限します。
アルコール摂取量の1単位としては純アルコールで20gになります。
アルコール1単位
- ビール「5%」500ml
- 缶チューハイ「5%」500ml
- 日本酒「15%」180ml「1合」
お酒について詳しくまとめてあるのだ
8).たばこ
たばこを吸うと有害物質のニコチンが吸収され血管を収縮をさせます。
血圧上昇の原因となるため禁煙をします。
たばこについて詳しくまとめてあるのだ
9).ストレス
ストレスを受けると情報伝達物質としてノルアドレナリンが放出されます。これにより交感神経が活動します。
交感神経活動により副腎髄質はアドレナリンやノルアドレナリンを分泌し血圧を上昇させます。
ストレス軽減をするためにリラクゼーションやバイオフィードバック療法などがあります。
リラクゼーションについてまとめてあるのだ
7、看護計画
下記の項目から対象者を当てはめ、必要な項目を詳しく考えていきます。
1).O-P
身体症状
- 体温
- 脈拍
- 血圧
- 呼吸
- 高血圧症の症状やその変化
- 頭重感
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 耳鳴り
- 不眠
- 倦怠感
- 手足のしびれ
- 悪心
- 嘔吐
- 食欲不振
- 顔面紅潮
- 原因や誘引の有無
精神症状
- 発言内容
- 異常行動
生理的状態
- 排尿
- 排便
生活因子の状態
- 食事摂取量
- 水分摂取量
- 補食の有無
- 喫煙の有無
- 飲酒の有無
- 睡眠状況
- 活動と休息のバランス
治療に関すること
- 薬剤の副作用
- 治療方法の効果
- 診察や検査結果からの変化
- 治療や検査など患者「家族」の思い
2).T-P
日常生活の援助
自分でできる方であれば日常生活の援助はあまり必要ありませんが「身体的理由」「精神的理由」「病識欠如」「意欲低下」などの理由でできない方は援助をしていきます。
- 洗面
- 口腔ケア
- 整容
- 食事
- 排泄
- 入浴
- 清拭
- 更衣
その他の援助
- ストレスの発散方法
- 環境の調節
- 排便コントロール
- 排便習慣の確立
- 服薬状況の管理
- 転倒のリスクの対策
3).E-P
- 食事療法
- 適性体重
- 運動療法
- 節酒や断酒
- 禁煙
- 規則正しい生活習慣
- 排便時のいきみ
- 薬物療法
- 高血圧症の症状の報告をしてもらう
- 退院後の生活
4).ポイント
- 合併症の予防や早期発見できる観察
- 実践可能な立案
- 個別性な立案
- 生活習慣に合わせた指導内容
- ストレス軽減になる思考方法や解消方法の確立
- 食事や嗜好品の制限の確立
- 薬剤の副作用に合わせた指導内容
本態性なら生活習慣を見直すのだ
二次生なら原因疾患の治療をするのだ
8、看護計画の見本
ざっくり書いてあるため、個別性を出すと良いです。
目標はできるだけ1つのことについて書くことがポイントになります。
- 看護目標
- 自己が高血圧症であると認識して治療を受け入れることができる
- 自己で血圧を測定して、血圧の変動を記録することができる
- 食事療法を継続して続けることができる
- 運動療法を継続して続けることができる
- 栄養指導に参加することができる
- O-P
- 体温、脈拍、血圧、呼吸の測定
- ストレスの有無
- 排泄の状況を観察
- 高血圧症の症状の有無
- 頭重感
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 耳鳴り
- 不眠
- 倦怠感
- 手足のしびれ
- 悪心
- 嘔吐
- 食欲不振
- 顔面紅潮
- 内服の確認
- 薬剤による作用と副作用の確認
- 体重測定「BMIは適正値であるか」
- 嗜好品の確認
- 水分、食事摂取量
- 活動と休息のバランス
- 睡眠時間
- 検査データの確認
- 病識の有無
- 治療への意欲
- 入浴や運動前後の血圧測定
- 入浴や運動の時間
- 家族の理解度
- T-P
- 運動療法の参加を促す
- 食事は治療食を促す
- 酢や香辛料で食事を工夫する
- 栄養指導の参加を促す
- 高血圧症についての理解を深めることを促す
- 禁煙を促す
- 禁酒を促す
- 排便コントロールをする
- 日常生活に援助
- E-P
- 高血圧症のリスクについて説明する
- 服薬療法や食事療法、運動療法の必要性について説明する
- 禁煙や禁酒の必要性について説明する
- 排便コントロールの必要性や排便時のいきみのリスクについて説明する
- 本人と家族へ継続的に規則正しい生活や食生活の必要性について説明する
- 気温や脱衣所の室温、入浴の温度など、温度差についてのリスクを説明する
- 血圧計の使い方を説明する
- 自己で血圧測定をして記録する必要性を説明する