臓器の解剖や機能は知る必要があります。看護師に必要な最低限の知識をまとめました。
解剖は基本的な知識になりますが、覚えることも多く、内容も難しく感じます。
とりあえず浅い知識として、覚え欲しい知識をまとめました。
看護師国家試験の問題に使われることもあるため、ここにまとめてある知識は覚えることをお勧めします。

肝臓の役割は重要なのだ
1、肝臓とは
人体において最大の臓器です。
物質の「代謝」「解毒」や「胆汁の生成」をして生体内部の環境を維持をしています。
栄養を蓄える貯蔵庫としての機能があります。
臓器の中で部位による機能分化が少なく再生能力が強いです。
一部損傷があっても症状に現れにくいので自覚症状の少ないです。

沈黙の臓器なのだ
1).解剖
位置
右側上腹部の横隔膜の直下に位置しています。
大きさ
成人で体重の約1/50の重さです。
重さは1000g〜1500gになります。
形
ラグビーボールのような形をしています。
名前
1、右葉「解剖学的区分」
- 肝鎌状間膜で左右に分けられる
- 肝鎌状間膜より右側に位置している
2、右葉「機能的区分」
- カントリー線「胆嚢底と肝背面の下大静脈を結ぶ主分割面」で左右に分けられる
- カントリー線より右側に位置している
3、左葉「解剖学的区分」
- 肝鎌状間膜で左右に分けられる
- 肝鎌状間膜より左側に位置している
4、左葉「機能的区分」
- カントリー線「胆嚢底と肝背面の下大静脈を結ぶ主分割面」で左右に分けられる
- カントリー線より左側に位置している
5、カントリー線
- 胆嚢底と肝背面の下大静脈を結ぶ主分割面のこと
6、肝鎌状間膜
- 右葉と左葉をの間にある境界部「索状物様構造の線」のこと
2、組織
1).肝小葉
肝細胞の集合体で直径1〜2mmの六角柱の形をしています。
肝臓に450〜500万個あります。
中軸部は中心静脈という小静脈が貫いています。
2).グリソン鞘
肝小葉を区切る結合組織のことですが人間のグリソン鞘は発達が悪いため肝小葉の「六角形の角付近」のみに存在しています。
小葉間動脈や小葉間静脈、小葉間胆管、リンパ管などがあります。
3).小葉間胆管
肝細胞で生成された胆汁が流れ込みます。
この小葉間胆管が合流を繰り返して右肝管と左肝管となり最終的に総胆管となります。

最終的に総胆管になるのだ
総胆管を通り胆嚢に貯蔵され濃縮されます。
総胆管は十二指腸のファーター乳頭に開口しています。
3、血管
1).総肝動脈
大動脈から腹腔動脈へ分岐しさらにその先へ分岐した動脈のことです。
「酸素を豊富に含んだ血液」を肝臓に送りこんでいます。
固有肝動脈
総肝動脈から分岐した動脈のことです。
1本の固有肝動脈が肝臓の栄養動脈として肝門で2本に分岐して左右両葉に血液を送りこみます。

2本に分岐するのだ
小葉間動脈
固有間動脈からいくつかの区域動脈に分岐した動脈のことです。
肝小葉に入る前に小葉間静脈と合流して洞様毛細血管に血液を送っています。
2).門脈
門脈は太い静脈のことです。

静脈のことなのだ
消化管や膵臓、脾臓からの血液を受けて「吸収した豊富な栄養分」「解毒すべき成分を含んだ血液」を肝臓に送りこんでいます。
小葉間静脈
門脈からいくつかの区分静脈に分岐した静脈のことです。
肝小葉に入る前に小葉間動脈と合流して洞様毛細血管に血液を送っています。
3).洞様毛細血管
中心静脈の周囲に肝細胞が放射状にブロック塀の様に積み重なり1層の板を形成しています。
その間にある特殊な毛細血管のことです。
小葉間静脈と小葉間動脈が合流して血液が送られます。
合流した血液を肝小葉の中軸部を貫いてる中心静脈に送っています。
4).肝静脈
肝臓で代謝、解毒された血液を下大静脈に送っています。
肝臓の右部、中央部、左部から1本づつ、合計3本の静脈があります。
3本の静脈が合流して肝静脈となります。

3本の静脈が合流して肝静脈になるのだ
4、機能
1).代謝機能
三大栄養素は肝臓で全て代謝します。
糖質
消化管で分解されてグルコースとなり肝細胞でグリコーゲンとして貯蔵されます。
血液中のグルコースが少なくなるとグルコーゲンを分解してグルコースを作りエネルギー源とします。
タンパク質
消化管で分解されてアミノ酸となり肝細胞に吸収されます。
必須アミノ酸から非必須アミノ酸を合成します。
これらのアミノ酸は全身に送られ各組織の細胞が組織固有タンパク質を合成します。
肝細胞も血漿タンパク質を合成します。
脂質
糖やタンパク質からも合成されます。
消化管で分解されて中性脂質やコレステロール、リン脂質などになり肝細胞内でリポタンパク質に加工されます。
リポタンパク質は全身の脂肪細胞へ送られ中性脂肪として貯蓄されます。
グルコースが作れないときに脂肪酸からケトン体を合成してエネルギー源とします。
肝細胞によりコレステロールを合成します。
コレステロールは副腎皮質ホルモンや性ホルモンの原料となります。
胆汁酸はコレステロールの代謝産物です。
ビタミンA
体内の50〜80%は肝臓の「肝星細胞」に貯蔵されています。
ビタミンD3
活性化ビタミンD3に代謝しています。
ホルモン
エストロゲンやバソプレシン、インスリンなど、多くのホルモンを代謝しています。
2).解毒機能
人体に有毒となる物を分解して毒性を低くします。
アンモニア
タンパク質をアミノ酸に分解し再利用して生じたアンモニアを尿素にします。
アルコール
アルコールは肝臓で分解されます。
肝臓でアルコール脱水素酵素やミクロゾームエタノール酸化系によりアセトアルデヒドに分解されます。
アセドアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素により酢酸に分解されます。
酢酸は血液により全身へ運ばれます。
心臓や筋肉、各臓器などで酢酸は二酸化炭素と水に分解され呼吸や汗、尿などにより体外に排出されます。
摂取したアルコールのごく少量は汗や尿、便などから直接体外に排出されます。

アルコールについて詳しくまとめてあるのだ
3).胆汁分泌
脾臓でヘムを分解すると間接ビリルビンという分解物がでます。
グルクロン酸抱合により直接ビリルビンとなり胆汁として分泌されます。
4).ホルモン
ペプシジン
肝臓で産生されるペプチドホルモンのことです。
腸から鉄の過剰な吸収を抑制します。
アンジオテンシノゲン
アンジオテンシンの原料を産生します。
エストロゲンの分解
エストロゲンを分解して量をコントロールをしています。
男性の場合はエストロゲンを取り除いています。
5、これだけは覚えよう
- 重量:1000g〜1500g
- 成人で体重の約1/50の重さ
- 解剖学的区分:肝鎌状間膜で左右に分ける
- 右葉:肝鎌状間膜より右側に位置
- 左葉:肝鎌状間膜より左側に位置している
- 肝鎌状間膜:右葉と左葉をの間にある境界部「索状物様構造の線」
- 機能的区分:カントリー線で左右に分ける
- 右葉:カントリー線より右側に位置
- 左葉:カントリー線より左側に位置
- カントリー線:胆嚢底と肝背面の下大静脈を結ぶ主分割面
- 肝小葉
- 肝細胞の集合体
- 直径1〜2mm
- 形:六角柱
- 肝臓に450〜500万個ある
- 中軸部は中心静脈という小静脈が貫いている
- グリソン鞘
- 肝小葉を区切る結合組織
- 肝小葉の六角形の角付近のみに存在
- 小葉間動脈や小葉間静脈、小葉間胆管、リンパ管などがある
- 小葉間胆管
- 肝細胞で生成された胆汁が流れ込む
- 小葉間胆管が合流を繰り返して右肝管と左肝管となり最終的に総胆管となる
- 総胆管を通り胆嚢に貯蔵され濃縮
- 総胆管は十二指腸のファーター乳頭に開口
- 総肝動脈
- 大動脈から腹腔動脈へ分岐しさらにその先へ分岐した動脈
- 固有肝動脈
- 総肝動脈から分岐した動脈
- 1本の固有肝動脈が肝臓の栄養動脈として肝門で2本に分岐
- 左右両葉に血液を送る
- 小葉間動脈
- 固有間動脈からいくつかの区域動脈に分岐した動脈
- 肝小葉に入る前に小葉間静脈と合流して洞様毛細血管に血液を送る
- 門脈
- 太い静脈
- 消化管や膵臓、脾臓からの血液を受けて「吸収した豊富な栄養分」「解毒すべき成分を含んだ血液」を肝臓に送る
- 小葉間静脈
- 門脈からいくつかの区分静脈に分岐した静脈
- 肝小葉に入る前に小葉間動脈と合流して洞様毛細血管に血液を送る
- 洞様毛細血管
- 中心静脈の周囲に肝細胞が放射状にブロック塀の様に積み重なり1層の板を形成、その間にある特殊な毛細血管
- 小葉間静脈と小葉間動脈が合流して血液を送る
- 合流した血液を肝小葉の中軸部を貫いてる中心静脈に送る
- 肝静脈
- 肝臓で代謝、解毒された血液を下大静脈に送る
- 肝臓の右部、中央部、左部から1本づつ、合計3本の静脈がある
- 3本の静脈が合流して肝静脈となる
- 代謝機能
- 糖質
- 肝細胞でグリコーゲンを貯蔵
- 血液中のグルコースが少なくなるとグルコーゲンを分解してグルコースを作りエネルギー源にする
- タンパク質
- アミノ酸を肝細胞で吸収
- 必須アミノ酸から非必須アミノ酸を合成
- アミノ酸は全身に送られ各組織の細胞が組織固有タンパク質を合成
- 肝細胞も血漿タンパク質を合成
- 脂質
- 糖やタンパク質からも合成
- 中性脂質やコレステロール、リン脂質などが肝細胞内でリポタンパク質に加工
- リポタンパク質は全身の脂肪細胞へ送られ中性脂肪として貯蓄
- グルコースが作れないときに脂肪酸からケトン体を合成してエネルギー源にする
- 肝細胞によりコレステロールを合成
- コレステロールは副腎皮質ホルモンや性ホルモンの原料
- 胆汁酸はコレステロールの代謝産物
- ビタミンA
- 体内の50〜80%は肝臓の「肝星細胞」に貯蔵
- ビタミンD3
- 活性化ビタミンD3に代謝
- 糖質
- 解毒機能
- アンモニア
- タンパク質をアミノ酸に分解し再利用して生じたアンモニアを尿素にする
- アルコール
- アルコールは肝臓で分解
- 肝臓でアルコール脱水素酵素やミクロゾームエタノール酸化系によりアセトアルデヒドに分解
- アセドアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素により酢酸に分解
- 酢酸は血液により全身へ運ばれ心臓や筋肉、各臓器などで酢酸は二酸化炭素と水に分解され呼吸や汗、尿などにより体外に排出
- 摂取したアルコールのごく少量は汗や尿、便などから直接体外に排出
- 胆汁分泌
- 脾臓でヘムを分解すると間接ビリルビンという分解物ができる
- グルクロン酸抱合により直接ビリルビンとなり胆汁として分泌
- アンモニア
- ホルモン
- ペプシジン
- 肝臓で産生されるペプチドホルモン
- 腸から鉄の過剰な吸収を抑制
- アンジオテンシノゲン
- アンジオテンシンの原料を産生
- エストロゲンの分解
- エストロゲンの量をコントロール
- 男性の場合はエストロゲンを取り除く
- ペプシジン

代謝機能と解毒機能は覚えておくのだ