「糖尿病」は看護師国家試験で良く出題されます。毎年出題されるぐらい出題頻度は高いです。必修問題から状況設定問題まで幅広く出題されます。
出題範囲が広すぎて、何をどこまで覚えれば良いかわからなくなりますが、過去の問題から要点を中心に覚えます。
ただ、要点だけでもかなりの量があるため時間をかけてしっかりと覚えます。
1、種類
糖尿病は大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病に分けることができます。
1).1型糖尿病
主に自己免疫により発症しますが原因不明の場合もあります。
リンパ球により膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞が破壊されることで発症します。
β細胞が破壊されるとインスリンを作ることができなくなるため、血液中の糖を細胞に取り込めなくなります。
血液中の糖が細胞に取り込まれないことで高血糖になり様々な合併症を引き起こします。
つまり、自己免疫や原因不明により膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンの分泌ができなくなった状態になります。
2).2型糖尿病
「体質」「遺伝」「食生活の乱れ」「運動不足」などによりインスリンの分泌量が減少したりインスリンの効果が低下することで発症します。
- インスリン分泌量減少
- 膵臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が減少した状態
- インスリン抵抗性
- 肝臓や筋肉などの組織がインスリンに対して鈍感になった状態
つまり、インスリンは作れるが生活習慣や遺伝などにより、インスリンの分泌量減少や効果低下となる状態になります。
運動療法や食事療法が大切で、食事療法における1日のエネルギー摂取量の算出は標準体重から計算します。
2、健康日本21
国民の健康づくりの指針の中に糖尿病について目標項目があります。
健康日本21(第二次) 目標項目一覧(3)糖尿病
①合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少
②治療継続者の割合の増加
③血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少(HbA1cがJDS値8.0%(NGSP 値8.4%)以上の者の割合の減少)
④糖尿病有病者の増加の抑制
⑤メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少
⑥特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上
厚生労働省より
ここで覚えるのは、「①合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少」と「③血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少
(HbA1cがJDS値8.0%(NGSP 値8.4%)以上の者の割合の減少)」の2項目です。
特にマーカー部分が大切になります。
他の項目は一読するぐらいはしましょう。
3、検査
糖尿病の検査項目を覚えます。
できれば基準値も覚えましょう。
1).尿検査
糖尿病の方の尿検査では、糖だけではなくケトン体も陽性になることがあります。
2).空腹時血糖
10時間以上絶食した状態で血液検査をします。
- 正常値:80〜100mg/dl未満
- 糖尿病境界値:100〜126mg/dl未満
- 糖尿病:126mg/dl以上
3).ブドウ糖負荷試験「GTT」
飲料水「ブドウ糖75g」を飲みます。
飲んだ後「30分後」「1時間後」「2時間後」に血液検査をして血糖値を測定します。
- 2時間後の血糖値
- 正常値:140mg/dl未満
- 糖尿病境界値:140~200mg/dl未満
- 糖尿病:200mg/dl以上
4).HbA1c「NSGP値」
10時間以上絶食した状態で血液検査をします。
過去1〜2ヶ月の血糖平均値がわかります。
- 正常値:6.0%未満
- 糖尿病境界値:6.0〜6.5%未満
- 糖尿病:6.5%以上
HbA1cは、複数あるグリコヘモグロビンの中の1つなのだ
4、三大合併症「細小血管障害」
1).糖尿病性腎症
糸球体にある毛細血管の網目が破れる、詰まるなどにより老廃物がろ過することができなくなった状態です。
高血糖が長期間続くと血管が脆くなり破壊されます。
腎臓にある糸球体は毛細血管の集まりで細かい血管が高血糖により破壊されます。
詳しい原因はまだはっきり解明されていません。
食事療法は塩分とタンパク質を制限します。
2).糖尿病性網膜症
目の奥にある網膜は多くの毛細血管が広がっています。
高血糖により血液がドロドロになり血管への負担が大きくなり詰まりやすくなります。
網膜の毛細血管が瘤のようなる、毛細血管から血液が漏れて血液中のたんぱく質や脂質の成分が網膜に沈着、詰まった血管から新しい血管が作られ出血「新しい血管は破れやすい」する、などにより網膜症となります。
失明するリスクがあるため、眼底検査で早期発見をします。
3).糖尿病性神経障害
なんらかの原因で神経が障害された状態です。
高血糖が長期間続くと体内に余分なブドウ糖があるため細胞の活動メカニズムが狂います。
細胞の活動メカニズムが狂うことで神経細胞の中にソルビトールという物質が蓄積「ポリオール代謝異常」され神経が障害されます。
高血糖により細い血管の血流が悪くなり、神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなります。
神経に酸素や栄養が行き渡らなくなることでも障害されますが、詳しい原因はまだはっきり解明されていません。
特にフットケアが大切で、両足の観察や足浴、サイズのあった靴を履くなどをして、足の外傷を予防して早期発見することが大切になります。
足浴の対策なのだ
5、糖尿病性昏睡
糖尿病性ケトアシドーシスと高血糖高浸透圧症候群のことです。
1).糖尿病性ケトアシドーシス
ケトン体により血液が酸性に傾いている状態です。
1型糖尿病の急性期で発症しやすいです。
糖を細胞に取り込み分解してエネルギーを作ることができないため、脂肪を分解してエネルギーとなるケトン体を作ります。
ケトン体は細胞のエネルギーになりますが弱酸性であるため血液を酸性に傾けます。
初期症状として、強いのどの渇きや頻尿、体重減少、嘔気、嘔吐、疲労、腹痛などがあります。
呼吸は深く速くなる傾向があり吐く息はマニキュアの除光液のようなフルーツ臭がします。
2).高血糖高浸透圧症候群
血液の濃度が異常に濃縮「高浸透圧」している状態です。
血液中に糖が多いと腎臓で濾過しきれなくなり尿と一緒に糖が排出されます。
過剰な糖を排出しようとするため尿の量や回数が増えます。
排尿する量や回数を増やすためには身体の水分を使う必要があるため、身体の水分が減少して重度の脱水状態となり血液が濃縮されます。
症状として、意識障害や高ナトリウム血症などがあります。
6、低血糖
血糖値が70mg/dl以下になると身体の中の糖が不足した状態になります。
血糖値が70mg/dl以下になっても症状が出現しなかったり、70mg/dl以下にならなくても血糖が急激に下がることで症状が出現することがあります。
1).交感神経症状「自律神経症状」
血糖値が70mg/dl以下になると出現する症状です。
- 空腹感
- 冷汗
- 不安
- 動悸
- 振戦
- 顔面蒼白
2).中枢神経症状
血糖値が50mg/dl以下になると出現する症状です。
- 頭痛
- めまい
- 目のかすみ
- 集中力低下
- あくび
- 眠気
- 疲労感
- 動作緩慢
- 意識障害
- 異常行動
- けいれん
- 昏睡
7、過去の問題
過去の問題を見てみます。
過去問の量はかなり多いのだ
過去問「必修」
糖尿病の血糖コントロールの指標となる検査値はどれか。
- 総ビリルビン
- 総コレステロール
- グリコヘモグロビン
- クレアチニンクリアランス
3.グリコヘモグロビン
過去問「必修」
尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
- 肝硬変
- 糖尿病
- 尿路感染症
- ネフローゼ症候群
2.糖尿病
過去問「一般」
糖尿病と診断された人への説明で適切なのはどれか。
- 自己血糖測定の試験紙の費用は医療保険の対象外である。
- 食事が摂取できないときはインスリン注射を中止する。
- 低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。
- 運動は朝食前が効果的である。
3.低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。
過去問「一般」
糖尿病末梢神経障害による感覚障害のある患者へのフットケア指導で適切なのはどれか。
2つ選べ。
- 両足部を観察する。
- 熱めの湯をかけて洗う。
- 靴ずれしない靴を選ぶ。
- なるべく素足で過ごす。
- 爪は足趾の先端よりも短く切る。
1.両足部を観察する。
3.靴ずれしない靴を選ぶ。
過去問「一般」
眼底検査が必要なのはどれか。2つ選べ。
- 中耳炎
- 糖尿病
- 麦粒腫
- 高血圧症
- 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
2.糖尿病
4.高血圧症
過去問「一般」
糖尿病性腎症の食事療法で制限するのはどれか。
2つ選べ。
- 脂質
- 塩分
- 蛋白質
- 炭水化物
- ビタミン
2.塩分
3.蛋白質
過去問「一般」
Aさん(59歳、男性)は、糖尿病で内服治療中、血糖コントロールの悪化を契機に膵癌と診断され手術予定である。HbA1c7.0%のため、手術の7日前に入院し、食事療法、内服薬およびインスリンの皮下注射で血糖をコントロールしている。Aさんは、空腹感とインスリンを使うことの不安とで、怒りやすくなっている。
Aさんに対する説明で適切なのはどれか。
- 「手術によって糖尿病は軽快します」
- 「術後はインスリンを使用しません」
- 「少量であれば間食をしても大丈夫です」
- 「血糖のコントロールは術後の合併症を予防するために必要です」
4.「血糖のコントロールは術後の合併症を予防するために必要です」
過去問「一般」
糖尿病の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれるのはどれか。
- 腎症
- 感染症
- 網膜症
- 神経障害
- 血行障害
1.腎症
過去問「一般」
【不適切問題】
- 設問文が不明瞭で複数の選択肢が正解と考えられるため。
Aさん(75歳、男性)は、2型糖尿病で超速効型インスリンによる治療を行っている。
災害に備えてAさんに指導する必要があるのはどれか。
- 開封したインスリンは1年間使用できる。
- 使用しているインスリンの名称を正確に覚える。
- 消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。
- 平常時と同じように非常時もインスリン注射は食前に行う。
2.使用しているインスリンの名称を正確に覚える。
3.消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。
過去問「状況設定」①
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。
2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。
その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。
外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「2人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。
Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのはどれか。
- 「お店に着いたらすぐに注射を打ちましょう」
- 「インスリンを常温で持ち運ぶことはできません」
- 「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
- 「普段よりもインスリン量を増やす必要があります」
3.「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。
そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。
訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか。
2つ選べ。
- 絆創膏は足趾全体を覆うように貼る。
- 浸出液の臭いの変化に注意する。
- 泡立てた石けんで足を洗う。
- 足浴には42℃の湯を使う。
- 大きいサイズの靴を履く。
2.浸出液の臭いの変化に注意する。
3.泡立てた石けんで足を洗う。
過去問「状況設定」
Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。
40歳時の会社の健康診断で2型糖尿病と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。
50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。
しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。
1年前から、足のしびれが出現するようになった。
Aさんの現在の状況のアセスメントで適切なのはどれか。
- 緑内障が疑われる。
- 運動療法が必要である。
- 糖尿病性神経障害が疑われる。
- 高蛋白質の食事摂取が必要である。
3.糖尿病性神経障害が疑われる。
過去問「状況設定」①
A君(8歳、男児、小学3年生)は、父親(40歳、会社員)と母親(38歳、主婦)との3人暮らし。
多飲と夜尿を主訴に小児科を受診した。
尿糖4+のため、1型糖尿病の疑いで病院に紹介され、精密検査を目的に入院した。
A君は身長123cm、体重27.5kg(1か月前の体重は29.5kg)。
入院時のバイタルサインは、体温36.9°C、脈拍100/分、血圧98/42mmHg。
随時血糖300mg/dL、HbA1c9.3%、抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ〈GAD〉抗体陽性。
尿糖4+、尿ケトン体3+。
血液ガス分析pH7.02であった。
入院時に確認する症状はどれか。
2つ選べ。
- 咳嗽
- 腹痛
- 浮腫
- 発疹
- 意識レベル
2.腹痛
5.意識レベル
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
入院後、インスリンの持続点滴静脈内注射が開始された。
入院後3日に血糖値が安定し、インスリンの持続点滴静脈内注射が中止された。
ペン型注射器によるインスリン療法が開始され、看護師は母親とA君に自己血糖測定とインスリン自己注射について説明した。
A君は「自分で注射するなんてできない」と言ってインスリン自己注射の練習が進まない。
A君への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- インスリン自己注射の必要性を繰り返し説明する。
- A君が納得するまで母親にインスリン注射をしてもらう。
- インスリン自己注射ができるようになったら退院できると話す。
- インスリン自己注射をしている同年代の糖尿病患児と話す機会を作る。
4.インスリン自己注射をしている同年代の糖尿病患児と話す機会を作る。
過去問「状況設定」③
(上記②の続きの問題)
A君と母親は、自己血糖測定とインスリン自己注射に関する手技を身につけて退院し、外来通院となった。
退院後2か月、A君と母親が定期受診で来院した際、看護師がA君に生活の様子を尋ねたところ「学校では血糖測定もインスリン注射もやっているよ。給食は楽しみで好き嫌いなく食べているよ」と話した。
母親は「帰宅時に時々手の震えや空腹感を訴え、血糖を測定すると60mg/dL台のことがあり、自分で補食を選んで食べています。なぜ日によって低血糖になることがあるのでしょうか」と話している。
看護師がA君の低血糖の原因をアセスメントする際に優先して収集すべき情報はどれか。
- インスリン自己注射に対するA君の認識
- 学校内でインスリン自己注射を行う場所
- 学校での運動量
- 給食の摂取量
3.学校での運動量
過去問「状況設定」①
Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。
Aさんは5年前に2型糖尿病と診断された。
1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。
炊事は主にAさんが担当している。
Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。
定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。
Aさんのバイタルサインは、体温36.4°C、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。
身長154cm、体重68kgである。
このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのはどれか。
- 糖質を含まない水分を摂取する。
- 労作後は食事摂取量を増やす。
- 決まった食事時間を設定する。
- 空腹感に応じて食事を摂る。
3.決まった食事時間を設定する。
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
1か月後、Aさんと一緒に外来を訪れた長女は「今までインスリンの治療は母に任せてきましたが、母は眼が見えにくく、インスリンの量が多い日があったようです。母が自己注射を続けられるように、私も手伝えればと思います」と外来看護師に話した。
外来受診時、Aさんに末梢神経障害の症状は認められず、手指の動きに問題はなかった。
Aさんがインスリン自己注射を行う上で、外来看護師が行う長女への助言で適切なのはどれか。
- 「インスリンの量は娘さんが一緒に確認しましょう」
- 「血糖測定は娘さんが代わりに行いましょう」
- 「注射の針はつけたままにしましょう」
- 「注射の部位は上腕を選びましょう」
1.「インスリンの量は娘さんが一緒に確認しましょう」
過去問「状況設定」③
(上記②の続きの問題)
6か月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。
Aさんは黙って話を聞いていた。
前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。
Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。
外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのはどれか。
- 「糖尿病食の作り方を覚えましょう」
- 「厳しいことを言わないようにしましょう」
- 「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」
- 「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」
4.「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」
過去問「状況設定」①
Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。
血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb13.9g/dL、Ht44%、白血球9,500/μL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na141mEq/L、K4.8mEq/L、Cl94mEq/L、随時血糖900mg/dL。
動脈血ガス分析は、pH7.21、BEー12.3、HCO3‾10.9mEq/L。
尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。
Aちゃんは1型糖尿病の疑いで入院した。
入院時のバイタルサインは、体温37.3°C、呼吸数20/分、脈拍120/分、整、血圧110/68mmHgであり、点滴静脈内注射が開始された。
入院時のAちゃんの状態で注意すべき所見はどれか。2つ選べ。
- 冷汗
- 浮腫
- 悪寒
- 意識障害
- 皮膚の弾力性の低下
4.意識障害
5.皮膚の弾力性の低下
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
Aちゃんは、インスリンの持続的な注入を開始し、3日後、血糖値が安定した。1型糖尿病と診断が確定しインスリン自己注射を始めることになった。ペン型注入器を用いて、毎食前に超速効型インスリンの皮下注射、21時に持効型溶解インスリンの皮下注射を行うという指示が出ている。
Aちゃんと両親に対するインスリン自己注射の指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。
- 超速効型インスリンは単位数を変更せずに注射する。
- 食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。
- 血糖値が100mg/dL以下のときは持効型溶解インスリンの注射を中止する。
- インスリンの注射をした後は針を刺した場所をよくもむ。
1.インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。
3.食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。
過去問「状況設定」③
(上記②の続きの問題)
Aちゃん及び両親は、1型糖尿病の療養生活に必要な知識や手技を順調に獲得した。血糖値が良好にコントロールされたため、退院に向けてAちゃんと両親、主治医、担当看護師および学校の関係者との間でこれからの学校生活について話し合った。
医療者から学校の関係者に伝える内容で最も適切なのはどれか。
- 「長距離走や水泳の授業は見学させてください」
- 「宿泊を伴う校外活動は保護者の同伴が必要です」
- 「教室内にインスリン注射を行う場所を設けてください」
- 「家庭科の調理実習は同級生と違う献立にしてください」
- 「手指の震えや強い空腹感があるときはブドウ糖の補食が必要です」
5.「手指の震えや強い空腹感があるときはブドウ糖の補食が必要です」
ポイントは、状況設定問題が多く状態をアセスメントできないと正解答を導き出せないことです。
アセスメントするためには糖尿病について色々学ぶ必要がありますが、覚える内容はそこまで深くないと思います。
8、まとめ
- 種類
- 1型糖尿病
- 自己免疫や原因不明により膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンの分泌ができなくなった状態
- 2型糖尿病
- インスリンは作れるが生活習慣や遺伝などにより、インスリンの分泌量減少や効果低下となる状態
- 運動療法や食事療法が大切
- 食事療法における1日のエネルギー摂取量の算出は標準体重から計算
- 1型糖尿病
- 健康日本21
- 国民の健康づくりの指針の目標項目
- ①合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少
- ③血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少(HbA1cがJDS値8.0%(NGSP 値8.4%)以上の者の割合の減少)
- 国民の健康づくりの指針の目標項目
- 検査
- 尿検査
- 糖尿病の方の尿検査では、糖だけではなくケトン体も陽性になる
- 空腹時血糖
- 正常値:80〜100mg/dl未満
- 糖尿病境界値:100〜126mg/dl未満
- 糖尿病:126mg/dl以上
- ブドウ糖負荷試験「GTT」
- 飲料水「ブドウ糖75g」を飲む
- 「30分後」「1時間後」「2時間後」に血糖値を測定
- 2時間後の血糖値
- 正常値:140mg/dl未満
- 糖尿病境界値:140~200mg/dl未満
- 糖尿病:200mg/dl以上
- HbA1c「NSGP値」
- 過去1〜2ヶ月の血糖平均値
- 正常値:6.0%未満
- 糖尿病境界値:6.0〜6.5%未満
- 糖尿病:6.5%以上
- 尿検査
- 三大合併症「細小血管障害」
- 糖尿病性腎症
- 食事療法
- 塩分制限
- タンパク質制限
- 糖尿病性網膜症
- 失明するリスクがある
- 眼底検査で早期発見
- 糖尿病性神経障害
- フットケアが大切
- 両足観察
- 足浴
- サイズのあった靴を履く
- 足の外傷を予防して早期発見することが大切
- フットケアが大切
- 糖尿病性昏睡
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 血液が酸性に傾いている状態
- 1型糖尿病の急性期で発症しやすい
- 体重減少
- 腹痛
- 吐く息はフルーツ臭
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 高血糖高浸透圧症候群
- 重度の脱水状態
- 意識障害
- 高ナトリウム血症
- 低血糖
- 身体の中の糖が不足した状態
- 交感神経症状「自律神経症状」
- 血糖値が70mg/dl以下
- 冷汗
- 振戦
- 中枢神経症状
- 血糖値が50mg/dl以下
- あくび
- 過去問
- 糖尿病の血糖コントロールの指標となる検査値は「グリコヘモグロビン」
- 尿ケトン体が陽性になる疾患は「糖尿病」
- 糖尿病と診断された人への説明で適切なのは「低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。」
- 糖尿病末梢神経障害による感覚障害のある患者へのフットケア指導で適切なのは「両足部を観察する。」「靴ずれしない靴を選ぶ。」
- 眼底検査が必要なのは「糖尿病高血圧症」
- 糖尿病性腎症の食事療法で制限するのは「塩分」「蛋白質」
- Aさん(59歳、男性)は、糖尿病で内服治療中、膵癌と診断され手術予定である。HbA1c7.0%のため、手術の7日前に入院し、食事療法、内服薬およびインスリンの皮下注射で血糖をコントロールしている。空腹感とインスリンを使うことの不安とで、怒りやすくなっているAさんに対する説明で適切なのは「血糖のコントロールは術後の合併症を予防するために必要です」
- 糖尿病の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれるのは「腎症」
- Aさん(75歳、男性)は、2型糖尿病で超速効型インスリンによる治療を行っている。災害に備えてAさんに指導する必要があるのは「使用しているインスリンの名称を正確に覚える。」「消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。」
- Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「2人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのは「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
- 10.続き)インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのは「浸出液の臭いの変化に注意する。」「泡立てた石けんで足を洗う。」
- Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で2型糖尿病と診断されたが仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。Aさんの現在の状況のアセスメントで適切なのは「糖尿病性神経障害が疑われる。」
- A君(8歳、男児、小学3年生)は、父親(40歳、会社員)と母親(38歳、主婦)との3人暮らし。尿糖4+のため、1型糖尿病の疑いで病院に紹介され、精密検査を目的に入院した。A君は身長123cm、体重27.5kg(1か月前の体重は29.5kg)。入院時のバイタルサインは、体温36.9°C、脈拍100/分、血圧98/42mmHg。随時血糖300mg/dL、HbA1c9.3%、抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ〈GAD〉抗体陽性。尿糖4+、尿ケトン体3+。血液ガス分析pH7.02であった。入院時に確認する症状は「腹痛」「意識レベル」
- 13.続き)入院後、インスリンの持続点滴静脈内注射が開始された。ペン型注射器によるインスリン療法が開始され、看護師は母親とA君に自己血糖測定とインスリン自己注射について説明した。A君は「自分で注射するなんてできない」と言ってインスリン自己注射の練習が進まない。A君への看護師の対応で最も適切なのは「インスリン自己注射をしている同年代の糖尿病患児と話す機会を作る。」
- 14.続き)退院後2か月、A君と母親が定期受診で来院した際、看護師がA君に生活の様子を尋ねたところ「学校では血糖測定もインスリン注射もやっているよ。給食は楽しみで好き嫌いなく食べているよ」と話した。母親は「帰宅時に時々手の震えや空腹感を訴え、血糖を測定すると60mg/dL台のことがあり、自分で補食を選んで食べています。なぜ日によって低血糖になることがあるのでしょうか」と話している。看護師がA君の低血糖の原因をアセスメントする際に優先して収集すべき情報は「学校での運動量」
- Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのは「決まった食事時間を設定する。」
- 16.続き)1か月後、Aさんと一緒に外来を訪れた長女は「今までインスリンの治療は母に任せてきましたが、母は眼が見えにくく、インスリンの量が多い日があったようです。母が自己注射を続けられるように、私も手伝えればと思います」と外来看護師に話した。外来受診時、Aさんに末梢神経障害の症状は認められず、手指の動きに問題はなかった。Aさんがインスリン自己注射を行う上で、外来看護師が行う長女への助言で適切なのは「インスリンの量は娘さんが一緒に確認しましょう」
- 17.の続き)6か月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのは「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」
- Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb13.9g/dL、Ht44%、白血球9,500/μL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na141mEq/L、K4.8mEq/L、Cl94mEq/L、随時血糖900mg/dL。動脈血ガス分析は、pH7.21、BEー12.3、HCO3‾10.9mEq/L。尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。Aちゃんは1型糖尿病の疑いで入院した。入院時のバイタルサインは、体温37.3°C、呼吸数20/分、脈拍120/分、整、血圧110/68mmHgであり、点滴静脈内注射が開始された。入院時のAちゃんの状態で注意すべき所見は「意識障害」「皮膚の弾力性の低下」
- 19.続き)Aちゃんは、インスリンの持続的な注入を開始し、3日後、血糖値が安定した。1型糖尿病と診断が確定しインスリン自己注射を始めることになった。ペン型注入器を用いて、毎食前に超速効型インスリンの皮下注射、21時に持効型溶解インスリンの皮下注射を行うという指示が出ている。Aちゃんと両親に対するインスリン自己注射の指導で適切なのは「インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。」「食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。」
- 20.続き)Aちゃん及び両親は、1型糖尿病の療養生活に必要な知識や手技を順調に獲得した。血糖値が良好にコントロールされたため、退院に向けてAちゃんと両親、主治医、担当看護師および学校の関係者との間でこれからの学校生活について話し合った。医療者から学校の関係者に伝える内容で最も適切なのは「手指の震えや強い空腹感があるときはブドウ糖の補食が必要です」
9、追加問題
112回
糖尿病の急性合併症はどれか。
- 足壊疽
- 脳血管疾患
- 糖尿病網膜症
- ケトアシドーシス昏睡
4.ケトアシドーシス昏睡
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ