「貧血」について、過去の看護師国家試験でかなり良く出題されています。過去の問題を解いて点数アップしましょう。
1、貧血とは
血液中のヘモグロビン濃度が減少していることです。
ヘモグロビンは酸素を送り届ける働きをしているため、濃度が減少すると全身が酸欠状態になりさまざな症状が出現します。
ヘモグロビン濃度「g/dl」の基準値
4歳以下:11
5〜11歳:11.5
12〜14歳:12
15歳以上「女性」:12、11「妊婦」
15歳以上「男性」:13
2、種類
主な貧血を中心に覚えましょう。
1).鉄欠乏性貧血
原因は大きく3つに分かれます。
- 出血
- 摂取不足
- 吸収障害
出血は鉄欠乏性貧血の原因で一般的で、胃や十二指腸などの消化管に潰瘍や炎症、がんなどができて出血します。
他には月経や婦人科疾患などが原因による出血もあります。
2).再生不良性貧血
原因は骨髄で血液が作られなくなるため、赤血球や白血球、血小板などの全ての血球が減少するために起こる貧血です。
3).巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸が欠乏することによりDNAの合成が上手くできず赤血球が大型化し、異常な赤血球となり正常な働きができないため起こる貧血のことです。
また、「胃切除などにより胃粘膜の内因子の分泌が不十分」「自己免疫機序により内因子を作る胃壁細胞を抗体が攻撃」などが原因でビタミンB12の吸収に障害が起こるものは悪性貧血に分類されています。
ビタミンB12の吸収には胃粘膜の内因子が必要であるため、胃切除などによって胃粘膜の内因子の分泌が減少すると吸収ができなくなります。
3、過去の問題
過去の問題を見てみましょう。
必修
貧血の診断に用いられるのはどれか。
- 血糖値
- 尿酸値
- C反応性蛋白値
- ヘモグロビン濃度
4.ヘモグロビン濃度
必修
貧血を診断する際の指標となる血液検査項目はどれか。
- アルブミン〈Alb〉
- ヘモグロビン〈Hb〉
- フィブリノゲン
- プロトロンビン時間〈PT〉
2.ヘモグロビン〈Hb〉
必修
貧血の定義で正しいのはどれか。
- 血圧が低下すること
- 脈拍が速くなること
- 立ち上がると失神を起こすこと
- ヘモグロビン濃度が減少していること
4.ヘモグロビン濃度が減少していること
必修
巨赤芽球性貧血の原因はどれか。
- ビタミンA欠乏
- ビタミンB12欠乏
- ビタミンC欠乏
- ビタミンE欠乏
- ビタミンK欠乏
2.ビタミンB12欠乏
一般
難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく医療費助成の対象となる疾患はどれか。
- 中皮腫
- C型肝炎
- 慢性腎不全
- 再生不良性貧血
4.再生不良性貧血
一般
【不適切問題】
- 3つの選択肢が正解であるため。
悪性貧血で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 黄疸が生じる。
- 異食症が出現する。
- 小球性の貧血である。
- 胃癌の発症率が高い。
- 自己免疫機序で発症する。
1.黄疸が生じる。
4.胃癌の発症率が高い。
5.自己免疫機序で発症する。
一般
貧血を伴う患者の爪の写真(別冊No.4)を別に示す。
欠乏している栄養素はどれか。
- ビタミンB12
- ビタミンC
- 葉酸
- 鉄
4.鉄
状況設定
Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳)と2人暮らし。
2年前に悪性胸膜中皮腫と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。
2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。
バイタルサイン:体温36.0°C、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86〜90%(roomair)。
身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される。
血液所見:赤血球370万/μL、Hb8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。
動脈血液ガス分析(roomair):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉40Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉63Torr。
胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。
肺虚脱なし。
Aさんの呼吸困難の原因で考えられるのはどれか。
2つ選べ。
- 胸水
- 気胸
- 貧血
- CO2ナルコーシス
- 呼吸性アルカローシス
1.胸水
3.貧血
状況設定
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。
障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。
腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。
入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。
看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。
身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。
体温36.8°C、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。
意識レベル清明。
検査所見:Hb6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、ASTGOT45IU/LU/L、ALTGPT60IU/LU/L、Na130mEq/L、K4.2mEq/L。
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。
看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。
2つ選べ。
- 貧血
- 腹水貯留
- 肝機能低下
- 低酸素血症
- 低カリウム血症
1.貧血
2.腹水貯留
状況設定
Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。
事務の仕事をしている。
身長157cm、非妊時体重54kg。
妊娠24週4日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。
血圧128/88mmHg。
尿蛋白(±)、尿糖(−)。
浮腫(±)。
Hb10g/dL、Ht30%。
子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。
非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。
Aさんの妊婦健康診査時のアセスメントで適切なのはどれか。
- 妊娠性貧血
- 腟カンジダ症
- 胎児発育不全〈FGR〉
- 妊娠高血圧症候群〈HDP〉
1.妊娠性貧血
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ