「摂食障害」について、過去の看護師国家試験で良く出題されています。神経性無食欲症や神経性過食症の問題になります。
過去の問題
過去の問題を見てみます。
過去問「一般」
神経性無食欲症で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 過食と嘔吐を繰り返す。
- 腸管で吸収不全がある。
- 男性では性欲が亢進する。
- ボディイメージの歪みがある。
- 第二次性徴の発現前に発症すると初経は遅れる。
4.ボディイメージの歪みがある。
5.第二次性徴の発現前に発症すると初経は遅れる。
過去問「状況設定」①
Aさん(23歳、女性)は大学を卒業後、会社に就職して1人暮らしを始めた。入社後に「会社の制服が似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にるいそうが目立つようになった。
「太るのが怖い」と言って食事を拒否するようになり、体重は1年間で10kg減少した。
しかし、本人は「まだ太っているから、痩せないといけない」と話していた。
久しぶりにAさんと会った母親が、過度のるいそうを心配して、内科受診を勧めた。
内科ではるいそう以外に大きな異常を認めず、精神科受診を勧められた。
精神科では神経性無食欲症と診断され、外来通院を開始した。
その後、低血糖によるふらつきのため職場で頻回に転倒するようになった。
それでも食事を十分に摂らないため、精神科病棟へ入院した。
入院時、身長166cm、体重36kgであった。
入院後、食事のほかに点滴による栄養補給が始まった。
治療開始早期に看護師が最も注意すべき観察項目はどれか。
- 脱毛
- 浮腫
- 抑うつ
- 嚥下障害
2.浮腫
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
入院後2週が経過した。
食事のときにAさんは食べ物を細かく刻み、1時間以上時間をかけるが、摂取量は全体の25%程度である。
時間があるとベッド上でいつもストレッチを行っている。
Aさんと話し合ったところ「私はこの病棟で太っているほうだから少しでも痩せなきゃ」と話した。
看護師の関わりとして適切なのはどれか。
- 体重測定の回数を増やす。
- 鏡でAさんの全身を映して見せる。
- 痩せたいと思う気持ちについて話し合う。
- Aさんは他の患者よりも痩せていると伝える。
3.痩せたいと思う気持ちについて話し合う。
過去問「状況設定」③
(上記②の続きの問題)
入院後3か月が経過した。
Aさんは体重が41kgまで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。
看護師に対して、Aさんは「退院後はすぐに仕事をしたい」と話したが、母親は「ゆっくり自宅で休養してほしい」と話した。
母親の面会時に、今後の仕事や生活に関する話題が出ると、Aさんはイライラして母親と口論になることが多くなった。
父親は仕事が忙しいことを理由に、面会に来たのは一度のみであった。
今後導入する必要性が最も高いのはどれか。
- 家族療法
- 作業療法
- 自律訓練法
- 精神分析療法
1.家族療法
過去問「状況設定」①
Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。
入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。
母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。
心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害と診断され、開放病棟へ入院した。
入院時、身長160cm、体重37kgであった。
入院から1週間の期間に観察すべき項目はどれか。
2つ選べ。
- 浮腫の程度
- 過食の有無
- 活動量の低下
- 嚥下障害の有無
- 振戦せん妄の有無
1.浮腫の程度
2.過食の有無
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
入院後2週が経過した。
Aさんは食事の時間に食べ物を細かく刻み、1時間以上時間をかけるが、摂取量はスプーン1杯ほどである。
ベッド上でストレッチを2時間行っている。
Aさんと話し合ったところ「私はこの病棟で一番太っているから少しでも痩せなきゃ」と話した。
看護師の関わりとして適切なのはどれか。
- 体重測定の回数を増やす。
- 鏡でAさんの全身を映して見せる。
- 痩せたいという気持ちについて話し合う。
- Aさんは看護師よりも痩せていると伝える。
3.痩せたいという気持ちについて話し合う。
過去問「状況設定」③
(上記②の続きの問題)
入院後3か月が経過した。
Aさんは体重が43kgまで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。
退院の話題が出ると、Aさんと母親は口論することが多くなった。
父親は出張が多く、面会に来たのは一度のみであった。
退院に向けてAさんと家族に勧めることとして最も適切なのはどれか。
- 栄養指導
- 作業療法
- 家族療法
- 単身生活の開始
3.家族療法
過去問「状況設定」①
Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。
慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。
医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。
入院当日、Aさんに対する看護師の関わりで適切なのはどれか。
- 短期間の入院となることを伝える。
- 母親と関係修復をするように促す。
- リストカットをしないように説得する。
- Aさんの心身を心配していることを伝える。
4.Aさんの心身を心配していることを伝える。
過去問「状況設定」②
(上記①の続きの問題)
入院翌日、母親が面会に来たが、Aさんに要求されるままお菓子を大量に持参した。
Aさんは、面会室でお菓子をすべて食べた直後に、トイレにこもり、嘔吐していたところを看護師が発見した。
Aさんは泣きながら「食べると止まらなくなる。太りたくない」と訴えた。
主治医は、Aさんが右第2指を使って嘔吐していた痕跡を認めたこと、Aさんが「中学の時から過食と嘔吐を繰り返していた」と話したことから、神経性過食症と診断した。
入院時の身体所見:身長155cm、体重48kg。
入院時の検査所見:赤血球400万/μL、Hb15g/dL、白血球6,300/μL。Na135mEq/L、K7mEq/L、Cl98mEq/L、AST30U/L、ALT35U/L、γ-GTP32U/L。
Aさんの状態をアセスメントするために優先度が高い検査はどれか。
- 心電図
- 頭部CT
- 腹部超音波
- 上部消化管内視鏡
1.心電図
過去問「状況設定」③
(上記②の続きの問題)
入院後3週、Aさんの精神状態は落ち着き、職場に早く戻りたいと意欲があったため、退院に向けての準備をすることになった。
自傷行為は、入院前の1回のみだった。
Aさんは「また過食をしないか心配だ」と看護師に訴えた。
そのため主治医はAさんと話し合い認知行動療法が開始となった。
Aさんの退院に向けて、医師、看護師のチームと連携するメンバーで最も適切なのはどれか。
- 栄養士
- 薬剤師
- 臨床心理士
- ゲートキーパー
- 精神保健福祉相談員
3.臨床心理士
次のことは覚えましょう。
- 神経性無食欲症正しいのは:「ボディイメージの歪みがある。」「第二次性徴の発現前に発症すると初経は遅れる。」
- 体重は1年間で10kg減少、食事を十分に摂らない、治療開始早期に看護師が最も注意すべき観察項目は:浮腫
状況設定問題は「傾聴」「家族療法」「浮腫」などが焦点であるため、これらのことを考えて解答しましょう。
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ