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【呼吸困難】ヒュー・ジョーンズの呼吸困難度と酸塩基平衡!看護師国家試験で出題された問題!

「呼吸困難」について、過去の看護師国家試験でかなり良く出題されています。過去の問題を解いて点数アップしましょう。


 
 

1、ヒュー・ジョーンズの呼吸困難度

1、Ⅰ度「正常」

  • 同年齢の健常者と同様の労作ができる

2、Ⅱ度「軽度」

  • 平地では同年齢の健常者と同様に歩行はできるが坂道や階段では息切れする

3、Ⅲ度「中度」

  • 平地歩行も健常者並みにできないが自分のペースならば1.6km以上歩ける

4、Ⅳ度「高度」

  • 平地も休み休みでなければ50m以上歩けない

5、Ⅴ度「極めて高度」

  • 会話や衣類の着脱など身の回りのことをするにも息切れを自覚する
  • 息切れのため外出もできないの

 

2、酸塩基平衡

1).pH

基準値:7.35〜7.45

  • 基準値より高い=アルカローシス
  • 基準値より低い=アシドーシス

アシドーシス<7.35〜7.45<アルカローシス

2).PaCO2

基準値:35〜45mmHg

  • 基準値より高い=呼吸性アシドーシス
  • 基準値より低い=呼吸性アルカローシス

呼吸性アルカローシス<35〜45<呼吸性アシドーシス

竜

1mmHg=1Torrなのだ

3).HCO3-

基準値:24mEq/L

  • 基準値より高い=代謝性アルカローシス
  • 基準値より低い=代謝性アシドーシス

代謝性アシドーシス<24<代謝性アルカローシス

4).判断

pH7.30
PaCO2 55Torr
HCO3- 25mEq/L

基準値から
pH7.30→アシドーシス
PaCO2 55Torr→呼吸性アシドーシス
HCO3- 25mEq/L→代謝性アルカローシス

pHからアシドーシスであるため、呼吸性アシドーシスとなります。


 

3、呼吸不全

動脈血酸素分圧「PaO2」が60mmHg以下の状態になります。

この状態は酸素療法の適応の基準にもなります。

呼吸不全は「Ⅰ型呼吸不全」「Ⅱ型呼吸不全」に分類されます。

1).Ⅰ型呼吸不全

呼吸不全で動脈血二酸化炭素分圧「PaCO2」が45mmHg以下の状態になります。

状態はガス交換障害で、呼吸をして肺胞に空気が入ってきても血液中に酸素を上手く取り込めない状態です。

2).Ⅱ型呼吸不全

呼吸不全で動脈血二酸化炭素分圧「PaCO2」が45mmHg以上の状態になります。

状態は換気障害で、呼吸による肺胞内に出入りするガスの量が少なく、二酸化炭素の排出や酸素を取り込むことが難しい状態です。


4、過去の問題

過去の問題をみてみます。

一般

呼吸不全respiratory failureについて正しいのはどれか。

  1. asthma息の重積発作によって慢性呼吸不全chronic respiratory failureになる。
  2. 動脈血酸素分圧〈PaO2〉で2つの型に分類される。
  3. 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が60mmHg以下をいう。
  4. Hugh-Jones〈ヒュー・ジョーンズ〉分類は呼吸困難の程度を表す。

4.Hugh-Jones〈ヒュー・ジョーンズ〉分類は呼吸困難の程度を表す。

一般

Aさん(24歳、男性)は、突然出現した胸痛と呼吸困難があり、外来を受診した。意識は清明。身長180cm、体重51kg、胸郭は扁平である。20歳から40本/日の喫煙をしている。バイタルサインは、体温36.2°C、呼吸数20/分(浅い)、脈拍84/分、血圧122/64mmHg である。

胸部エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。

Aさんの所見から考えられるのはどれか。

  1. 抗菌薬の投与が必要である。
  2. 胸腔ドレナージは禁忌である。
  3. 右肺野の呼吸音は減弱している。
  4. 胸腔内は腫瘍で占められている。

3.右肺野の呼吸音は減弱している。

一般

Aさん(34歳、女性)は、気管支喘息bronchial asthmaで定期的に通院をしている。朝から喘息発作があり呼吸困難が生じたため、救急外来を受診した

経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%、動脈血液ガス分析(room air)で動脈血酸素分圧〈PaO2〉90Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉55Torr、pH7.30、HCO3-25mEq/Lであった。

Aさんの状態で考えられるのはどれか。

  1. 呼吸性アシドーシス
  2. 呼吸性アルカローシス
  3. 代謝性アシドーシス
  4. 代謝性アルカローシス

1.呼吸性アシドーシス

状況設定

Aさん(­50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症と診断され内服治療を受けている。

本日明け方から胸部に圧迫感があった。

出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。

救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8°C、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%­(酸素2L/分)。

意識は清明。

12誘導心電図はV1〜V4でST上昇、II、III、aVFでST低下がみられた。

心臓カテーテル検査の結果、Aさんは急性心筋梗塞と診断された。心係数2.4L/分/m2、肺動脈楔入圧20mmHgでForrester〈フォレスター〉分類II群であった。

身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の粗い断続性副雑音が聴取される。

心エコー検査:左室駆出率〈LVEF〉58%

胸部エックス線検査:心胸郭比〈CTR〉48%

このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。

  1. 心拡大が認められる。
  2. 肺うっ血が起きている。
  3. 末梢循環不全が起きている。
  4. 左心室の収縮力が低下している。

2.肺うっ血が起きている。

状況設定①

Aさん­(60歳、男性、元建設業)は、妻­(57歳)と2人暮らし。

2年前に悪性胸膜中皮腫と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。

2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。

バイタルサイン:体温36.0°C、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、

経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86〜90%­(roomair)。

身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される。

血液所見:赤血球370万/μL、Hb8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。

動脈血液ガス分析­(roomair):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉40Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉63Torr。

胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。

肺虚脱なし。

Aさんの呼吸困難の原因で考えられるのはどれか。

2つ選べ。

  1. 胸水
  2. 気胸
  3. 貧血
  4. CO2ナルコーシス
  5. 呼吸性アルカローシス

1.胸水

3.貧血

状況設定②
(上記①の続きの問題)

入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法2L/分が開始された。

経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は95%前後で維持されるようになったが、Aさんは夜間の息苦しさを訴えている。

Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか。

  1. 半腹臥位
  2. 右側臥位
  3. 左側臥位
  4. セミファウラー位

4.セミファウラー位

状況設定①

Aさん­(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。

喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。

長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。

Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。

今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。

入院後は酸素療法­(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。

Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。

病棟看護師がAさんに行う在宅酸素療法に関する指導で適切なのはどれか。

2つ選べ。

  1. 電磁調理器の使用を勧める。
  2. 外出時にデマンドバルブの作動を確認する。
  3. 在宅酸素療法の機材が介護保険で給付される。
  4. 酸素濃縮器は日当たりのよいところに設置する。
  5. 呼吸困難時にAさんの判断で酸素流量を変更してよい。

1.電磁調理器の使用を勧める。

2.外出時にデマンドバルブの作動を確認する。

状況設定②
(上記①の続きの問題)

退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。

Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作ADLについては入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。

また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。

カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。

  1. 電動ベッドの導入
  2. 娘の居宅への転居
  3. 急性増悪時の対応方法
  4. 介護予防短期入所生活介護の利用

3.急性増悪時の対応方法

状況設定③
(上記②の続きの問題)

Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。

退院後2週。

訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。

この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。

  1. 1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。
  2. 買い物を兼ねた外出の頻度を減らす。
  3. 食事の準備は訪問介護員に任せる。
  4. 食後すぐに排泄をする。

1.1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。

状況設定①

Aさん­(62歳、男性)。

1人暮らし。

1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。

胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症idiopathic pulmonary fibrosisによる間質性肺炎interstitial pneumoniaと診断され入院した。

既往歴:42歳で糖尿病diabetes mellitusと診断された。59歳と61歳で肺炎pneumoniaに罹患した。

生活歴:3年前から禁煙している­(20〜59歳は20本/日)。

身体所見:BMI17.6。体温38.8°C、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。

検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧PaCO238Torr、動脈血酸素分圧PaO256Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。

入院時のAさんの身体状況のアセスメントで適切なのはどれか。

  1. 水様性の気道分泌物が貯留している。
  2. 呼吸性アシドーシスである。
  3. 栄養状態は良好である。
  4. I型呼吸不全である。

4.I型呼吸不全である。

状況設定②
(上記①の続きの問題)

Aさんは入院後に呼吸機能検査を受けることになった。

換気障害の分類を図に示す。

Aさんの呼吸機能検査の結果で考えられるのはどれか。

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

1.A

状況設定③
(上記②の続きの問題)

入院後18日。

Aさんは2日後に自宅へ退院することとなった。

Aさんは「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と言う。

Aさんが症状を自己管理できるように指導する内容で適切なのはどれか。

  1. 習慣的に腹式呼吸をする。
  2. 入浴時は肩まで湯に浸かる。
  3. 動作時は前傾姿勢を保持する。
  4. 息苦しくなったら仰臥位を保持する。

1.習慣的に腹式呼吸をする。

呼吸器で他に知りたい方はこちらをどうぞ。


5、追加問題

112回

室内空気下での呼吸で、成人の一般的な酸素療法の適応の基準はどれか。

  1. 動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr以上
  2. 動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr未満
  3. 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉60Torr以上
  4. 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉60Torr未満

2.動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr未満


竜

勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ