過去の問題で出題された尿失禁は5種類あり、それぞれの特徴を覚える必要があります。ポイントを覚えて確実に点数アップしていきましょう。
過去の問題ではどのような問題が出題されているのか見ていきます。
1、種類
尿失禁といっても様々な症状があり、大きく別けると、次の4つに分類されます。
(1)腹圧性尿失禁
日本泌尿器科学会
(2)切迫性尿失禁
(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
(4)機能性尿失禁
尿失禁は大きく分けて4種類あるとされていますが、看護師国家試験ではどのような尿失禁が出題されているのでしょうか。
過去の問題を見てみます。
過去問「必修」
努責やくしゃみをしたときに生じる尿失禁はどれか。
- 溢流性尿失禁
- 機能性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 反射性尿失禁
- 腹圧性尿失禁
5.腹圧性尿失禁
ポイントは5種類の尿失禁が出題されていることです。
ここでは5種類の尿失禁のポイントをまとめました。
5種類覚えるのだ
2、溢流性尿失禁
奇異性尿失禁とも言うのだ
溢流性尿失禁が過去の問題の正解答で出題されることは、あまりありませんが選択肢に出てきます。
溢流性尿失禁はなんらかの原因で排尿ができず、膀胱内に尿が溜まり尿が溢れ出る状態のことです。
「尿道閉鎖」「膀胱収縮力低下」「神経障害」などの排尿障害が必ずあります。
男性には前立腺があり肥大することが原因となるため、男性に多いです。
- 尿意:ある
- 膀胱内に尿が溜まり溢れ出る
- 原因:前立腺肥大症、尿道狭窄、直腸癌術後、子宮癌術後、糖尿病
- 男性に多い
3、機能性尿失禁
排尿する機能に異常はなく、「トイレが遠い」「トイレの場所がわからない」などにより尿失禁をする状態のことです。
原因は「身体機能の低下」「認知機能低下」などがあります。
過去の問題を見てみます。
過去問「必修」
機能性尿失禁のある女性高齢者への援助で適切なのはどれか。
- 間欠的導尿を行う。
- 定期的にトイレに誘導する。
- 日中の水分摂取を制限する。
- きつめのガードルの着用を勧める。
2.定期的にトイレに誘導する。
過去問「状況設定」
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らしで、他県に住んでいる長男家族がいる。
腰部脊柱管狭窄症と診断されているが、ゆっくりとした動作であれば日常生活が可能であり、畑で野菜をつくることを趣味としている。
Aさんから尿失禁について外来受診時に相談があった。
最近は尿意を感じてから洋式トイレに座るまでに時間がかかり、尿が少量漏れることがある。
排尿回数は1日7回程度で、残尿感、排尿痛および排尿時不快感はない。
咳、くしゃみ及び農作業の動作で尿が漏れることはない。
Aさんの尿失禁の種類として考えられるのはどれか。
- 溢流性尿失禁
- 機能性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 腹圧性尿失禁
2.機能性尿失禁
ポイントは排尿障害はない、定期的なトイレ誘導をすることです。
- 尿意:ある
- 排尿障害:ない
- トイレ誘導をする
- 身体機能、認知機能の低下によりトイレに間に合わない、わからないために起こる尿失禁
4、切迫性尿失禁
切迫性尿失禁が過去の問題の正解答で出題されることは、あまりありませんが選択肢に出てきます。
切迫性尿失禁は強い尿意とともに尿失禁をする状態のことです。
多くは過活動膀胱が原因ですが脳の障害により排尿中枢が障害されることでも起きます。
- 尿意:強くある
- 原因:多くは過活動膀胱、脳障害
5、反射性尿失禁
反射性尿失禁は脊髄損傷や脳腫瘍などにより脊髄が障害され膀胱に尿が溜まると反射的に排尿が起こる状態のことです。
本人の意思とは関係なく起こります。
過去の問題を見てみます。
過去問「一般」
尿失禁とその原因の組合せで正しいのはどれか。
- 機能性尿失禁───膀胱容量の減少
- 反射性尿失禁───脊髄障害
- 切迫性尿失禁───膀胱の過伸展
- 真性尿失禁───内分泌障害
2.反射性尿失禁───脊髄障害
過去問「一般」
尿失禁の種類と対応の組合せで正しいのはどれか。
- 溢流性尿失禁───排尿間隔の記録
- 機能性尿失禁───骨盤底筋訓練
- 切迫性尿失禁───下腹部への軽い刺激
- 反射性尿失禁───間欠的自己導尿
4.反射性尿失禁───間欠的自己導尿
ポイントは脊髄障害が原因、間欠的自己導尿が必要ということです。
反射性尿失禁は間欠的自己導尿の治療法があります。
- 原因:脊髄損傷
- 治療法:間欠的自己導尿
- 意思に関係なく排尿がある
選択肢に真性尿失禁があるのだ
真性尿失禁は尿路の異常による尿失禁で尿道外尿失禁とも言うのだ
6、腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁はお腹に力が入ったときに尿失禁をする状態のことです。
骨盤底筋群が「衰える」「損傷する」ことが原因になります。
骨盤底筋群は「加齢」により衰えたり「過重労働」「排便時の強いいきみ」「喘息」「出産」などで損傷します。
特に出産で損傷することがあるため女性に多いです。
過去の問題を見てみます。
過去問「必修」
努責やくしゃみをしたときに生じる尿失禁はどれか。
- 溢流性尿失禁
- 機能性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 反射性尿失禁
- 腹圧性尿失禁
5.腹圧性尿失禁
過去問「必修」
骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。
- 溢流性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 反射性尿失禁
- 腹圧性尿失禁
4.腹圧性尿失禁
過去問「一般」
腹圧性尿失禁のケアとして適切なのはどれか。
2つ選べ。
- 下腹部を保温する。
- 骨盤底筋群訓練を促す。
- 定期的な水分摂取を促す。
- 恥骨上部の圧迫を指導する。
- 尿意を感じたら早めにトイレへ行くことを促す。
2.骨盤底筋群訓練を促す。
5.尿意を感じたら早めにトイレへ行くことを促す。
ポイントは怒責やくしゃみで生じる、骨盤底筋訓練が有効、尿意を感じたらトイレに行くことです。
- 尿意:ある
- 腹圧で尿失禁「怒責、くしゃみ、咳、笑い、重いものを持つ動作」
- 骨盤底筋訓練が有効
- 尿意があればトイレに行く
6、まとめ
日本語は漢字がそのままの意味になっていることが多いため、漢字の意味を考えて覚えることをお勧めします。
- 溢流性尿失禁
- 溢流「あふれ流れる」
- 膀胱から尿が溢れ出て失禁
- 尿意:ある
- 原因:前立腺肥大症、尿道狭窄、直腸癌術後、子宮癌術後、糖尿病
- 男性に多い
- 機能性尿失禁
- 機能「物の働き」
- 身体機能、認知機能の低下で失禁
- 尿意:ある
- 排尿障害:ない
- トイレ誘導をする
- 切迫性尿失禁
- 切迫「非常に差し迫ること」
- 突然、強い尿意があり失禁
- 尿意:強くある
- 原因:多くは過活動膀胱、脳障害
- 反射性尿失禁
- 反射「受けた刺激が大脳を介さないで神経中枢から筋肉などに反応となって伝わること」
- 神経反射により失禁
- 原因:脊髄損傷
- 治療法:間欠的自己導尿
- 意思に関係なく排尿がある
- 腹圧性尿失禁
- 腹圧「腹腔内の圧力」
- お腹に力が入り失禁
- 尿意:ある
- 腹圧:怒責、くしゃみ、咳、笑い、重いものを持つ動作
- 骨盤底筋訓練が有効
- 尿意があればトイレに行く
線を引いた部分を優先的に覚えるのだ
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ