転倒で出題される問題は環境を整えることや疾患、薬の副作用によるリスクまで沢山あります。ポイントを覚えて確実に点数アップしていきましょう。
転倒は問題にしやすく過去の問題を見ても良く出題されています。
転倒の問題は良く出題されるのだ
転倒をする要因は「外的要因」「内的要因」「行動要因」の3つに分けることができます。
1、外的要因
外的要因は、転倒の原因が環境による要因のことです。
環境について転倒を予防できることやリスクが高いことなど、過去の問題から出題されやすい内容を覚えます。
過去の問題を見てみます。
過去問「必修」
転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。
- 夜間はおむつを使用する。
- 履物はスリッパを使用する。
- 離床センサーの使用は控える。
- 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
4.端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
過去問「一般」
左片麻痺のある高齢者の転倒・転落の防止対策で適切なのはどれか。
- オーバーテーブルにつかまって立ち上がるよう指導する。
- ベッド柵は外れないように全柵を固定する。
- ポータブルトイレは高齢者の左側に置く。
- 車椅子を止めている時はフットレストから足を床に下ろす。
4.車椅子を止めている時はフットレストから足を床に下ろす。
過去問「一般」
在宅療養者の生活において転倒するリスクが最も高いのはどれか。
- 深い浴槽
- 段差のない敷居
- 左右に開閉するドア
- ベッドに設置した移乗用手すり
1.深い浴槽
過去問「一般」
筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒するリスクが最も高いのはどれか。
- 深い浴槽
- 段差がない床
- 整理整頓された部屋
- 足元灯を設置した廊下
1.深い浴槽
過去問「状況設定」
65歳の女性。
身長157cm、体重56kg。
長女夫婦と2人の孫と2階家屋一戸建てに住んでいる。
本人の部屋は2階にある。
長女夫婦が共働きのため、孫の幼稚園の送迎や世話などで毎日忙しく過ごしている。
1か月前の市の健康診査で骨密度の検査を受けたところ精査を勧められ、近医で骨粗鬆症と診断され、ビスホスホネート製剤の内服を開始した。
転倒予防のための環境調整で優先度が高いのはどれか。
- 玄関の段差にスロープをつける。
- 廊下の中央に厚いじゅうたんを敷く。
- トイレと風呂場に手すりを設置する。
- 階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
4.階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
ポイントは状況設定で出題された問題です。
選択肢の中を見てみます。
- 玄関の段差にスロープをつける。
- 廊下の中央に厚いじゅうたんを敷く。
- トイレと風呂場に手すりを設置する。
- 階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
「2」は転倒のリスクが高くなるため除外するとして「1」「3」「4」は転倒のリスクを減らすために有効な方法と考えられます。
この問題で問われているのは患者の状態に合わせた対応になります。
問題文を見てみると日常生活は普通に送れていてADLに問題はないと考えられます。
優先度を考えると次のようになります。
- 玄関の段差にスロープをつける。
- 下肢筋力の低下や歩行障害がないため優先度は低い
- 廊下の中央に厚いじゅうたんを敷く。
- 厚い絨毯は足が深く沈むため転倒のリスクが高い
- トイレと風呂場に手すりを設置する。
- 下肢筋力低下や立ち上がり動作に問題がないため優先度は低い
- 階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
- 夜間足元が見えにくいと足を引っ掛けて転倒のリスクが高いため優先度は高い
患者の状態をアセスメントするのだ
転倒のリスクを下げるために環境を整える知識は、看護師になった後でも必要です。
過去の問題から転倒について「正しい対応」「リスクが高い環境」を覚えます。
- 正しい対応
- 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
- 車椅子を止めている時はフットレストから足を床に下ろす。
- 階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
- リスクが高い環境
- 深い浴槽
他にも転倒の外的要因で問題にされやすいと考えられることをまとめました。
- 正しい対策
- かかとのある履き物
- 離床センサーの使用
- 床に荷物を置かない
- 整理整頓
- 手すりの使用
- スロープを作り段差をなくす「バリアフリー」
- リスクが高い環境
- 段差のある場所
- 滑りやすい床
- 暗い場所
- 厚い絨毯
- コード
2、内的要因
内的要因は、転倒の原因が身体による要因のことです。
加齢や疾患、内服している薬などにより身体に起こる変化が転倒のリスクに影響していることを、過去の問題から出題されやすい内容を覚えます。
過去の問題を見てみます。
過去問「必修」
転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。
- 降圧薬
- 抗凝固薬
- 気管支拡張薬
- 副腎皮質ステロイド薬
1.降圧薬
過去問「必修」
転倒・転落するリスクの高い薬はどれか。
- 去痰薬
- 降圧薬
- 抗菌薬
- 消化酵素薬
2.降圧薬
過去問「一般」
Aさん(82歳、女性)は、要支援2である。
Aさんの屋内での転倒予防と自立の促進のため、自宅で介護する家族への指導で適切なのはどれか。
- 車椅子での移動とする。
- 移動時にスリッパを使用する。
- 手すりがない場所での歩行を避ける。
- 移動の前に立ちくらみの有無を確認する。
4.移動の前に立ちくらみの有無を確認する。
過去問「状況設定」
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。
障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。
腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。
入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。
看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。
身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。意識レベル清明。
検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST〈GOT〉45IU/L〈U/L〉、ALT〈GPT〉60IU/L〈U/L〉、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。
看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。
2つ選べ。
- 貧血
- 腹水貯留
- 肝機能低下
- 低酸素血症
- 低カリウム血症
1.貧血
2.腹水貯留
過去問「状況設定」
Aさん(75歳、女性)。
1人暮らし。
脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。
最近、夜間に中途覚醒することが多い。
昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。
転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。
エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。
Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。
退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
- 家の中で過ごす。
- 歩幅を小さくして歩く。
- 足関節の底背屈運動をする。
- 就寝前に睡眠薬を内服する。
3.足関節の底背屈運動をする。
過去問「状況設定」
Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。
10年前まで会社を経営していた。
プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。
Parkinson〈パーキンソン〉病で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージII。
両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。
食事は自分の居室に運んでもらって食べている。
身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため1日中室内で過ごしている。
【不適切問題】
- 複数の正解があるため。
有料老人ホームの看護師はAさんに病気の進行を予防するために運動を勧めたが、Aさんは「この病気は進行性だからいつかは動けなくなる。今、転ぶと骨折して動けなくなるかもしれない。だから運動するのは嫌だ」と言う。
AさんはParkinson〈パーキンソン〉病に関する情報を入手しており、病状の理解ができている。
薬物は自己管理できている。
かかりつけ医に自分から病状の説明を求めることもある。
Aさんの転倒の不安を軽減するために看護師とAさんが一緒に実施することで、最も適切なのはどれか。
- 車椅子で外出する。
- 転倒予防教室への参加を検討する。
- 廃用症候群に関する情報を収集する。
- 運動の効果と転倒のリスクとを比較する。
2.転倒予防教室への参加を検討する。
4.運動の効果と転倒のリスクとを比較する。
身体の変化により転倒に影響することを覚えます。
- リスクが高い薬剤
- 降圧薬
- リスクが高い身体の変化
- 立ちくらみ
- 貧血
- 腹水貯留
- 麻痺
- パーキンソン病
- 転倒予防策
- 足関節の底背屈運動をする。
- 転倒予防教室への参加を検討する。
- 運動の効果と転倒のリスクとを比較する。
他にも転倒の内的要因で問題にされやすいと考えられることをまとめました。
- リスクが高い薬剤
- 血管拡張薬
- 睡眠薬
- 抗精神病薬
- 抗不安薬
- リスクが高い身体の変化
- 筋力の低下
- 反応、反射の低下
- 巧緻性の低下
- 平衡感覚の低下
- 不整脈
- 低血圧症
- 高血圧症
- 心臓疾患
- 脳血管障害
- てんかん
- 認知症
- リウマチ
- 骨折
- 白内障
- 緑内障
他にもまだまだあるのだ
3、行動要因
行動要因は、転倒の原因が「患者の行動欲求」「介助者の希望的欲求」による要因のことです。
行動要因が問題として出題されることは少ないですが、それぞれの行動要因は覚えます。
- 患者の行動欲求
- 動きたい
- 歩きたい
- トイレに行きたい
- 介助者の希望的欲求
- たぶんできるだろう
- 1人で歩いて欲しい
- 歩くときは呼んで欲しい
4、まとめ
1).外的要因
- 正しい対応
- 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
- 車椅子を止めている時はフットレストから足を床に下ろす。
- 階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
- かかとのある履き物
- 離床センサーの使用
- 床に荷物を置かない
- 整理整頓
- 手すりの使用スロープを作り段差をなくす「バリアフリー」
- リスクが高い環境
- 深い浴槽
- 段差のある場所
- 滑りやすい床
- 暗い場所
- 厚い絨毯
- コード
2).内的要因
- リスクが高い薬剤
- 降圧薬
- 血管拡張薬
- 睡眠薬
- 抗精神病薬
- 抗不安薬
- リスクが高い身体の変化
- 立ちくらみ
- 貧血
- 腹水貯留
- 麻痺
- パーキンソン病
- 筋力の低下
- 反応、反射の低下
- 巧緻性の低下
- 平衡感覚の低下
- 不整脈
- 低血圧症
- 高血圧症
- 心臓疾患
- 脳血管障害
- てんかん
- 認知症
- リウマチ
- 骨折
- 白内障
- 緑内障
- 転倒予防策
- 足関節の底背屈運動をする。
- 転倒予防教室への参加を検討する。
- 運動の効果と転倒のリスクとを比較する。
3).行動要因
- 患者の行動欲求
- 動きたい
- 歩きたい
- トイレに行きたい
- 介助者の希望的欲求
- たぶんできるだろう
- 1人で歩いて欲しい
- 歩くときは呼んで欲しい
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ