看護学生の頃、ホルモンの役割が「箇条書きで一覧にしてあれば便利だな」と思っていました。
ホルモンは人の恒常性を維持するのに欠かせないものです。
ホルモンの名前とその役割はどのようなものでしょうか。
1、ホルモンとは
ホルモンは内分泌器官から分泌します。
その分泌量は微量で特定の細胞「標的細胞」に作用します。
ホルモンは血液に直接分泌され標的細胞に届けられます。
竜
ホルモンを受け取る細胞があるのだ
血液に直接分泌されずに作用する物質を「生理活性物質」「サイトカイン」「ホルモン様物質」と呼びます。
1).内分泌器官の場所
- 視床下部
- 下垂体
- 松果体
- 甲状腺
- 副甲状腺
- 副腎
- 膵臓
- 精巣
- 卵巣
- 胎盤
など
2).ホルモンの種類
ホルモンは大きく3種類に分けることができます。
竜
種類があるのだ
ペプチドホルモン
原料はアミノ酸です。
- 成長ホルモン
- オキシトシン
- インスリン
- グルカゴン
- 抗利尿ホルモン
など
ステロイドホルモン
原料はコレステロールです。
- 副腎皮質ホルモン
- 性腺ホルモン
- ビタミンD
など
アミン
原料はアミノ酸誘導体です。
- 副腎髄質ホルモン
- 甲状腺ホルモン
など
2、甲状腺
T3とT4の作用は似ています。
マーカー部分を優先的に覚えます。
1).トリヨードサイロニン「T3」
- 甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制「ネガティブフィードバック」
- ヨウ素は3個
- 脳の発達
- 器官成長
- 発育作用
- 酸素消費量増加による熱産生
- 基礎代謝亢進
- 血糖値上昇
- 脂肪酸合成と消費の促進
- 心臓機能亢進
- 交感神経増強作用
2).サイロキシン「T4」
- 甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制「ネガティブフィードバック」
- ヨウ素は4個
- 脳の発達
- 器官成長
- 発育作用
- 酸素消費量増加による熱産生
- 基礎代謝亢進
- 血糖値上昇
- 脂肪酸合成と消費の促進
- 心臓機能亢進
- 交感神経増強作用
3).甲状腺傍濾胞細胞
カルシトニン
- C細胞などから分泌
- 骨からカルシウム放出を抑制
- 骨にカルシウムの沈着を促進
- 骨にリン酸の沈着を促進
- カルシウムの排泄を促進
- リン酸の排泄を促進
- 破骨細胞の形成を抑制
3、副甲状腺
マーカー部分を優先的に覚えます。
1).パラトルモン「PTH」
- 別名パラソルモン
- 骨代謝亢進
- 血中カルシウム濃度増加
- ビタミンDを活性型ビタミンDに変える
- 腎臓でリンの再吸収を抑制
- 腎臓でカルシウムの再吸収を促進
4、腎臓
全て覚えることをお勧めします。
1).レニン
- タンパク質分解酵素の1種
- 厳密にはホルモンではない
- アンジオテンシノーゲンを分解してアンジオテンシンⅠを合成
- 血圧上昇に関与
2).プロスタグランジン
- 血管の拡張
- 血圧低下
3).活性化ビタミンD3
- 腸からカルシウムの吸収を促進
- カルシウム排泄の抑制
- 骨から血中へカルシウムの放出を促進
- カルシウム血中濃度が上昇
4).エリスロポエチン
- 骨髄で赤血球の産生を促進
5、副腎
マーカー部分を優先的に覚えます。
1).皮質
アルドステロン
- 鉱質コルチコイド
- 腎臓でナトリウムの再吸収を促進
- 腎臓で水分の再吸収を促進
- カリウムの排出促進
- 水素イオンの排出促進
- 血圧上昇
コルチゾール
- 糖質コルチコイド
- 肝臓の糖新生を促進
- 四肢などの脂肪の分解を促進
- 背部や頸部、顔面などの脂肪の合成を促進
- タンパク質の分解を促進
- 骨形成抑制
- 腸管のカルシウムの吸収を抑制
- カルシウム排泄を促進
- 抗炎症作用
- 免疫抑制作用
- 血糖上昇
- リン脂質の合成に関与
副腎アンドロゲン
- 複数ある男性ホルモンの総称
- 男性
- 生殖器の発達
- 生殖機能の維持
- 変声
- 体毛増加
- 筋肉増強
- 性欲亢進
- 脱毛
- 女性
- 恥毛発生
- 腋毛発生
2).髄質
赤い囲みの部分は無理して覚える必要はありません。
マーカー部分を優先的に覚えます。
アドレナリン
- 別名エピネフリン
- 交感神経の刺激
- 心臓機能の亢進
- 心拍出量増加
- 心拍数増加
- 抹消血管抵抗減少
- 心臓や肝臓、筋骨格の血管拡張
- 気管支拡張
- 消化管蠕動運動抑制
- 消化液分泌抑制
- 肝臓の糖新生、グリコーゲン分解を促進
- 脂肪の分解を促進
- 血糖値上昇
- 血圧上昇
結合:受容体α「1、2」とβ「1、2、3」
- 瞳孔散大筋:収縮【瞳孔散大】「α1」
- 毛様体筋:弛緩「β2」
- 洞房結節:心拍数増加「β1」
- 房室結節:伝導速度増加「β1」
- 心筋:収縮力増大「β1」
- 冠血管:収縮「α1」弛緩「β2優位」
- 皮膚粘膜の血管:収縮「α1」弛緩「β2優位」
- 腹部内臓の血管:収縮「α1」弛緩「β2優位」
- 骨格筋の血管:収縮「α1」弛緩「β2優位」
- 腎臓の血管:収縮「α1優位」弛緩「β2」
- 気管支平滑筋:弛緩「β2」
- 気管支分泌:増加「β2」
- 胃腸平滑筋:弛緩「α2、β2」
- 消化管括約筋:収縮「α1」
- 排尿筋:弛緩「β3」
- 膀胱三角部:収縮「α1」
- 膀胱括約筋:収縮「α1」
- 肝臓代謝:糖新生とグリコーゲン分解「β2」
- 脂肪細胞代謝:脂肪分解「β2」
- 腎臓代謝:レニン遊離促進「β1」
- 膵臓小葉代謝:分泌抑制「α1、2」
- ランゲルハンス島β細胞:分泌抑制「α2」分泌促進「β2優位」
- 唾液腺:カリウムと水分泌促進「α1」
- 唾液腺:アミラーゼ分泌促進「β1、2、3」
- 皮膚汗腺:分泌促進「α1」
- 皮膚立毛筋:収縮「α1」
ノルアドレナリン
- 交感神経の刺激
- 心拍出量減少
- 心拍数減少
- 抹消血管抵抗増加
- 消化管蠕動運動抑制
- 消化液分泌抑制
- 血糖上昇
- 血圧上昇
結合:受容体α「1、2」とβ「1、3」
- 瞳孔散大筋:収縮【瞳孔散大】「α1」
- 洞房結節:心拍数増加「β1」
- 房室結節:伝導速度増加「β1」
- 心筋:収縮力増大「β1」
- 冠血管:収縮「α1」
- 皮膚粘膜の血管:収縮「α1」
- 腹部内臓の血管:収縮「α1」
- 骨格筋の血管:収縮「α1」
- 腎臓の血管:収縮「α1」
- 胃腸平滑筋:弛緩「α2」
- 消化管括約筋:収縮「α1」
- 排尿筋:弛緩「β3」
- 膀胱三角部:収縮「α1」
- 膀胱括約筋:収縮「α1」
- 脂肪細胞代謝:脂肪分解「β3」
- 腎臓代謝:レニン遊離促進「β1」
- 膵臓小葉代謝:分泌抑制「α1、2」
- ランゲルハンス島β細胞:分泌抑制「α2」
- 唾液腺:カリウムと水分泌促進「α1」
- 唾液腺:アミラーゼ分泌促進「β1、3」
- 皮膚汗腺:分泌促進「α1」
- 皮膚立毛筋:収縮「α1」
竜
ホルモンはとても大切なのだ