指導方法にコーチングがあります。ある程度、仕事ができる職員の指導に効果的なスキルです。コミュニケーションスキルでもあるため、良好な人間関係を築くことにも役に立ちます。
1、コーチングとは
さまざまな分野で使われる言葉ですが「指導」の意味を指すことが多いです。

指導方法の1つなのだ
学習や成長による行動変容を目的として指導をします。
指導する方法を間違えると、指導したい内容が上手く伝わらないだけでなく「強制」「強要」「説教」「脅迫」などのイメージを与えてしまい人間関係に悪影響を及ぼします。
コーチングは相手の自主性に注目して「目標」「希望」など達成させるための行動が取れるように「指導的」「促進的」に関わるコミュニケーションスキルになります。
1).メリット
自主性に注目して「気付き」を与えるため「思考力」「応用力」「自発性」「再現性」などを高めることができます。
学習
相手が必要な「知識」「スキル」などに気付くことで学習する意欲が高まります。
また、正解を導き出そうするプロセスが良い経験になります。
個別性
相手が自己の考えで行動するため、その人らしさを生かすことができます。
さらに、その人がもともと持っている可能性を引き出すことにつながります。
人間関係
コーチングは「患者」「職員」などの人間関係を良い方向に導くことができます。
1、職員
職場の人間関係が良好な場合、組織としてコミュニケーションを図りやすくなり「職場の活性化」「ヒヤリハットの減少」「職員教育による看護力の向上」などが期待されます。
2、患者
患者と人間関係が良好な場合、信頼関係を築くことができ「病識の獲得」「治療の協力」「行動の具体性」などが期待されます。
2).デメリット

デメリットもあるのだ
時間
「気付き」により自己で学習し行動するため時間がかかります。
誰かに教えてもらう方が早く解決できます。
未熟
基本的な「知識」「経験」「能力」などを持ち合わせていない場合は基礎知識が必要になります。
基礎知識がないと「気付き」を与えようとしても話の内容を理解することが困難になります。
多人数
「新人教育」「集合研修」など多人数を一斉に教育することは困難です。
新人教育の場合は「知識」「経験」などが不足していることも原因ですが、「知識」「経験」「能力」などは個人差があるため多人数を一斉に対応することが困難になります。
2、役割
コーチングをするときは自分の役割を理解している必要があります。
まずは相手に元々できる能力があることを信じます。
その能力を最大限に引き出して、相手が正しい行動を取れるように促します。
コーチングの目的は自主性に注目することで「意欲」「責任感」「可能性」を対象者の力で引き出せるように導き「学習」「成長」を通して自ら行動してもらうことを忘れないようにします。

信じることは大切なのだ
ポイント
- 相手の能力を信じる
- 能力を引き出す手伝いをする
- 自主性に注目する
3、必要なスキル
1).傾聴
傾聴はただ話を聞くのではなく、相手の話を聴いて深く理解をしていることを示すコミュニケーションスキルです。
その特徴として「受容」「共感」があります。
コーチングするためには相手との信頼関係を築く必要があります。
傾聴することで相手が心を開き信頼関係の構築がしやすくなります。
受容
ありのままの相手を受け入れることです。
共感
話を聴いて「その通り」と思うことです。
ポイント
- 相手の話に耳を傾ける
- 相手の表情や仕草を観察する
- 「聴いている」と伝わる姿勢をする
- 頷くなどのあいづちをする
- 否定しない
- 相手の話をさえぎらない
- 言葉で理解していることを示す
- 相手の感情に寄り添う
2).承認
その事実が「正当である」と認めることですが、コミュニケーションにおける承認は相手を尊重することです。
相手を褒めるのではなく、相手が普段していることやできることに対して「いつも◯◯してすごいね」「◯◯できてすごいね」など事実を伝えます。
そのためには相手を観察して「行動」「強み」などを知る必要があります。
相手を承認することで「自信」「意欲」などを感じることができ、喜びから明るくなります。
観察
相手の努力している行動や能力を知る必要があります。
ポイント
- 事実を伝える褒める
- 誰かと比較はしない
- お世辞は言わない
3).質問
質問は「開かれた質問」「閉ざされた質問」とありますが、コーチングの場合は開かれた質問をしていきます。
人は他人からの指摘を素直に受け入れることは苦手でが、自分で気付いたことは抵抗が少なく受け入れやすくなります。
質問により相手に気付いてもらうことで受け入れてもらいます。
開かれた質問
回答が複数あります。
相手の考えにより回答は異なります。
閉ざされた質問
回答は「はい」「いいえ」のみになります。
ポイント
- 「なに」で質問する
- 「なぜ」は使わない
- アドバイスはしない
- 答えは言わない
4、まとめ
コーチングはアドバイスや答えを教えるのではなく、相手に気付いてもらうことが重要になります。
相手の間違った「思考」「行動」などは否定せずに一度受け止めます。

否定はダメなのだ
受け止めたうえでそのままの「思考」「行動」を続けるとどうなるかを質問します。
相手の「思考」「行動」が間違っている場合は結果が良くない方向になることが多いため、良くない結果を回避するためにはどうしたら良いかを質問します。
このように質問を繰り返すことで良い結果となる「思考」「行動」を相手に気付いてもらいます。
実際コーチングによるコミュニケーションを実践すると、とても難しく感じますが何度も実践を繰り返すことで上手くできるようになります。
知識を得るだけではなく何度も実践することが大切になります。
指導をするときは感情に任せて怒ったり説教するのではなく、コーチングによるコミュニケーションで人間関係を良好に保つようにしましょう。

指導の論点を「何をしたら良かったのか」に当てるのだ
コーチングは指導を受ける人がある程度知識やスキルがあることが前提になります。
知識やスキルがない新人を指導するときはティーチングを意識して指導します。

まとめてあるのだ