「ストーマ」の問題は看護師国家試験で比較的多く出題されています。ほとんどが一般問題として出題されています。ポイントを覚えて点数アップを図りましょう。
1、ストーマとは
ストーマはストマとも呼びます。
消化管や尿路などの疾患により、自己で排泄できない人が腹部に増設する排泄口のことです。
大きく次の2つに分かれます。
1).尿路ストーマ
人工膀胱のことで、「ウロストミー」のことです。
回腸導管や尿管皮膚瘻などがあります。
2).消化管ストーマ
人工肛門のことで、回腸から排泄するために作られるものを「イレオストミー」、結腸から排泄するために作られるものを「コロストミー」があります。
一般的にイレオストミーは右腹部に、コロストミーは左腹部に増設されます。
2、ストーマ増設部位による便の性状
- 水様便:回腸、上行結腸
- 泥状便:横行結腸、下行結腸
- 固形便:S状結腸
- 硬便:直腸
3、ストーマの注意点
ストーマを増設した患者はパウチと呼ばれる袋を装着します。
パウチを交換するときは清潔操作で良く無菌操作の必要はありません。
また、パウチの面板が皮膚に密着していなければ面板を温めると粘着します。
パウチの袋に排泄物を溜めて生活するため、装着部位からの漏れがないか、皮膚のトラブルはないか観察が必要になります。
- 観察のポイント
- パウチの皮膚保護材の溶解が5〜8mm程度で交換
- パウチをはがしたときは皮膚保護材の溶解の程度を観察
- パウチを装着するときはストーマより2〜3mm大きくカット
- パウチを装着するときは腹壁のしわを伸ばす
入浴をするときはパウチを装着したままでも取り外しても入浴はできますが、それぞれ注意点があります。
- パウチ装着で入浴
- パウチの袋内の排泄物を処理
- 入浴が長時間になると皮膚保護材がふやけたり溶けたりするため、防水テープで対応
- パウチの袋が浮かんで気になる場合はコンパクトにたたみテープで固定
- パウチを外して入浴
- ストーマが火傷しないように、お湯の温度は40度前後
- 腸蠕動運動が亢進する食後2時間以内は避ける
- 排泄パターンがわかる場合、排泄の多い時間帯は避ける
- 公衆浴場は避ける
「公衆浴場はパウチをつけて入浴する」
4、過去の問題
過去の問題を見てみます。
過去問「一般」
訪問看護師が人工肛門を造設して退院した在宅療養者を訪問すると「便が漏れるため外出ができない」と相談を受けた。
観察すると、ストーマパウチの面板が皮膚に密着していない。
看護師の対応で適切なのはどれか。
- 無菌操作で交換する。
- 頻回に交換するよう説明する。
- 面板を温めて皮膚に貼付する。
- 面板を人工肛門より小さめに切る。
- 腹壁の皮膚を寄せて面板を貼付する。
3.面板を温めて皮膚に貼付する。
過去問「一般」
膀胱癌のため尿路ストーマを造設する予定の患者への説明で適切なのはどれか。
- 「尿道の一部を体外に出して排泄口を造ります」
- 「尿意を感じたらトイレで尿を捨てます」
- 「ストーマの装具は毎日貼り替えます」
- 「ストーマに装具を付けて入浴します」
- 「水分の摂りすぎに注意が必要です」
4.「ストーマに装具を付けて入浴します」
過去問「一般」
生後1か月の男児。
Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病と診断され、生後6日、回腸部にストーマ造設術を行った。
術後の経過は良好であり、退院に向けてス
トーマケアに関する指導を行うことになった。
母親に対する指導として適切なのはどれか。
- 「面板をはがした部位はタオルで拭いてください」
- 「ストーマ装具の交換は授乳直後に行ってください」
- 「ストーマから水様の便が出る時は受診してください」
- 「ストーマ装具の交換は滅菌手袋を装着して行ってください」
- 「ストーマ装具は便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ってください」
5.「ストーマ装具は便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ってください」
過去問「一般」
Aさん(80歳、男性)は、20年前に大腸癌でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。
訪問看護師は、訪問時にAさんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。
Aさんのバイタルサインは、体温36.4°C、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60mmHgである。
訪問看護師がAさんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。
- 排便の有無
- 身体活動量
- 食物の摂取状況
- ストーマ周囲の皮膚の状態
1.排便の有無
過去問「一般」
人工肛門を造設した患者へのストーマケアの指導内容で適切なのはどれか。
2つ選べ。
- 装具の交換は便が漏れない限り不要である。
- 装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。
- 洗浄後のストーマはドライヤーで乾かす。
- 装具の穴はストーマと同じ大きさにする。
- 装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。
2.装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。
5.装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。
過去問「一般」
Aさん(68歳、男性)は妻(68歳)と2人暮らし。
膀胱癌で尿路ストーマを造設している。
Aさんはストーマ装具の交換に慣れてきたため、妻と日帰りで近くの温泉地を旅行する計画を立てており、外来看護師に助言を求めた。
外来看護師がAさんに助言する内容で適切なのはどれか。
- 装具の交換に必要な物品一式を2回分持参する。
- 旅行中の水分摂取は1日1,000mL以内に控える。
- 他の入浴客がいなければ装具を外して入浴できる。
- オストメイト対応のトイレがなければ旅行先を変更する。
1.装具の交換に必要な物品一式を2回分持参する。
看護師国家試験で出題されるストーマの問題は、手術や原因疾患などではなく、ケアの方法や日常生活の注意点、特に入浴の問題がよく出題されています。
過去の看護師国家試験で出題された内容を中心に覚えましょう。
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ