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【下痢】看護師が覚える定義と分類!看護師国家試験で出題された問題!

下痢についての看護師国家試験の過去問を集めました。下痢に分類があるのをご存知ですか。定義や分類についてまとめました。


 
 

1、定義

24時間以内に3回以上の軟便か水様便が繰り返し排出されることです。

  • 急性:14日未満
  • 持続性:30日未満
  • 慢性:30日以上

 

2、分類

1).浸透圧性下痢

腸から水分が吸収されないことで起こる下痢のことです。

食べ物の浸透圧が高いと腸から水分吸収がされにくく、そのまま排泄されるため下痢となります。

「乳糖不耐症という体質の人が牛乳を飲む」「人工甘味料の摂り過ぎ」「アルコール飲料の刺激による消化不良」などによるものと考えられています。

2).分泌性下痢

腸液の分泌量が増えることで起こる下痢のことです。

口腔から侵入した「ウイルス」「細菌」「寄生虫」などの影響により腸液が増えると考えられています。

症状として腹痛や嘔吐、発熱、血便などを伴うこともあります。

海外旅行などで訪れた地域の衛生環境が良くない場合は、感染するリスクが高くなります。

3).蠕動運動性下痢

腸への通過時間が短くなることで起こる下痢のことです。

食べ物に通過時間が短くなるのは「腸の蠕動運動活発化」によるものと考えられています。

過敏性腸症候群やバセドウ病などにより腸の蠕動運動が活発化すると食べた物の移動が早く十分な吸収がされないまま排泄するため下痢になります。

4).滲出性下痢

腸の炎症により滲出液が増えることで起こる下痢のことです。

「クローン病」「潰瘍性大腸炎」などにより腸が炎症を起こしていると血液成分や細胞液が出るため下痢になると考えられています。

さらに、腸の炎症により水分の吸収力が低下していることも原因だと考えられています。

5).薬剤性下痢

治療をするために使用した薬剤により「腸粘膜の炎症」「腸粘膜の損傷」「腸蠕動運動亢進」「腸内細菌の乱れ」などにより起こる下痢のことです。

「抗がん剤」「抗菌剤」「免疫抑制剤」などは重度の下痢となるリスクがあります。


 

3、過去の看護師国家試験

下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。

  1. 低カリウム血症
  2. 高カルシウム血症
  3. 高ナトリウム血症
  4. 低マグネシウム血症

1.低カリウム血症

潰瘍性大腸炎によって生じるのはどれか。

  1. 滲出性下痢
  2. 分泌性下痢
  3. 脂肪性下痢
  4. 浸透圧性下痢

1.滲出性下痢

Aさん(90歳、女性)は、認知症で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。Aさんへの対応で適切なのはどれか。

  1. 腹部マッサージを行う
  2. 経口補水液の摂取を促す
  3. 食物繊維を多く含む食事にする
  4. 石けんを使って肛門周囲を洗う

2.経口補水液の摂取を促す

Aさん(37歳、女性、会社員)は、1人暮らし。11月に経理部へ異動となった。新しい人間関係と慣れない仕事で帰宅後も緊張が取れず、眠れない日が続いていた。異動から3週目の朝、会社のエレベーターに乗ると、息苦しさ、動悸からパニック発作を起こした。その後も不眠とパニック発作が出現したため、異動から2か月後、精神科クリニックを受診し、パニック障害と診断された。主治医からは、短時間型の睡眠薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>が処方された。また、職場の協力を得て仕事量の調整をしてもらうことになった。受診から5日後、Aさんから「昨日の朝から気分が悪くなり、下痢をするようになった」と電話があった。受診後のAさんの状況に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。

  1. ストレスの増大
  2. うつ症状の悪化
  3. 睡眠薬の持ち越し効果
  4. SSRIの副作用<有害事象>

4.SSRIの副作用<有害事象>

Aさん(55歳、男性)。胃癌のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(鼻カニューラ2L/分 酸素投与下)。Hb13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。現状で最も考えられるのはどれか。

  1. 術後せん妄
  2. 乳糖不耐症
  3. 偽膜性大腸炎
  4. ダンピング症候群

4.ダンピング症候群

Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所<ショートステイ>を利用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎が疑われてトイレ付きの個室に移動した。
Aさんは下痢と嘔吐の症状が続き、発症当日の夜から、集中力の低下と頻脈とがみられた。口渇はない。翌朝は症状が軽減したものの、午後になり見当識障害も現れた。Aさんに起きている状態として最も考えられるのはどれか。

  1. 脱水
  2. 硬膜下血腫
  3. 認知症の中核症状
  4. 隔離による拘禁症状

1.脱水

Aさん(40歳、男性)。入院時体重65kg。既往歴に特記すべきことはなく、全身状態は良好である。胃癌のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は450mLで輸血はされなかった。術後1日、体温37.5℃、呼吸数24/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg。Hb14.8g/dL。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(酸素吸入3L/分)。尿量50mL/時。創部のドレーンからは少量の淡血性排液がある。硬膜外持続鎮痛法が行われているが、創痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。下痢の回数は減り、摂食も良好で、術後3週で退院が決定した。Aさんへの退院指導で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 炭水化物を中心にした食事を勧める
  2. 下痢は1か月程度でおさまると説明する
  3. 食事は分割して少量ずつ摂取するよう勧める
  4. 食後に冷汗が出たら水分を摂るよう説明する
  5. ビタミンB12が吸収されにくくなると説明する

3.食事は分割して少量ずつ摂取するよう勧める

5.ビタミンB12が吸収されにくくなると説明する