精神科病院では隔離室という部屋があります。隔離の基本的な知識をまとめました。
隔離室はどのような時に使うのでしょうか。
隔離について正しい知識を簡単に説明します。
隔離が必要な場合を知っておくのだ
1、隔離とは
隔離を辞書で調べると「へだてること」などの意味になります。
今回の「隔離」は精神科病院などにある隔離室を使い、患者さんを隔離することについて説明します。
1).目的
危険を最小限に減らして患者さんの医療や保護を図ることです。
2).適用
患者さんの症状により、本人や周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く隔離以外の方法でその危険を回避することが困難であると判断する場合に適用となります。
「制裁」「懲罰」「見せしめ」などを目的とした隔離はダメなのだ
2、判断
1).医師の診断
隔離と判断するのは医師になりますが、隔離できる時間は12時間未満になります。
12時間以上の隔離と判断できるのは精神保健指定医になります。
12時間未満:医師
12時間以上:精神保健指定医
2).本人の希望
患者さんが隔離室を希望する場合があります。
患者さんの希望で隔離室に入る場合は隔離にはなりません。
本人の意思による入室であることの書面を得なければならないのだ
3、対象者
隔離以外に良い代替方法がないことが前提なのだ
1).悪影響
患者さんの言動が「人間関係を著しく損なう」など病状の経過や予後に著しく悪影響となる場合です。
2).自傷
自殺企図や自傷行為が切迫している場合です。
3).他害
他の人に対する暴力行為や著しい迷惑行為、器物破損行為があり隔離以外の方法で防ぎきれない場合です。
4).急性精神興奮
不穏、多動、爆発性などが目立ち一般の精神病床で医療や保護を図ることが著しく困難である場合です。
5).身体合併症
処置や検査などのために隔離が必要となる場合です。
絶食しないといけないのに認知で理解力低下があり絶食できない時などの隔離なのだ
4、遵守事項
1).閉鎖的環境
隔離室に2人以上の患者さんを入室させることはできません。
2).告知
隔離をする場合は対象の患者さんに隔離となる理由を知らせるように努めなければいけません。
診療録に隔離となる理由、開始した日時、解除した日時を記録します。
記録はとても大切なのだ
3).適切な医療
隔離としている間は定期的な会話などによる臨床的観察や適切な医療、適切な保護の確保をしなければいけません。
4).衛生面
隔離としている間は洗面、入浴、掃除など患者さんや部屋の衛生についての確保に配慮しなければいけません。
5).診察
医師が1日1回の診察をする必要があります。
漫然と隔離をしてはダメなのだ