消化器に関係している基本的なことをまとめました。腸蠕動音など良ければ参考にして下さい。
腹部には胃や腸といった消化器、膀胱や腎臓といった泌尿器、また生殖器など様々な器官があります。
消化器ってほとんどの臓器が絡んでいるのだ
1、構造
1).消化器
口、口腔、咽頭、食道、胃、腸、肛門など、全長約9mに及ぶ一本の管です。
付属器に膵臓、肝臓、胆嚢などが含まれます。
9mもあるのだ
2).泌尿器
腎臓、尿管、膀胱、尿道などがあります。
腎臓は背部に近く右と左で位置が違います。
右側は肝臓があるため左側より1〜2cm低いです。
腎臓の高さは違うのだ
3).腹部の血管
腹部大動脈があります。
大きな血管なのだ
上腹部より少し左側にあります。
へその約2cm下で総腸骨動脈へ左右に分かれます。
4).区分
縦の線は脊椎、横の線はへそから区切ります。
それぞれの領域を右上腹部、左上腹部、右下腹部、左下腹部と呼びます。
見落としなくアセスメントする方法として順番に領域を見ていくことが重要です。
例として右上腹部→左上腹部→右下腹部→左下腹部という順番です。
ふむふむ…
5).フィジカルイグザミネーションの順番
腹部は触ることで腸を刺激し腸蠕動を亢進する可能性があります。
腹部のフィジカルイグザミネーションの順番は他の部位とは違うので注意しましょう。
視診、聴診、打診、触診の順番でしましょう。
腹部に刺激が少ない順番なのだ
2、問診のポイント
1).栄養状態
- 食欲の有無
- 食事摂取量
- 体重の増減
など
2).食事の習慣
- 1日の食事回数
- 食事内容
- 1回の食事量
など
3).症状の有無
- 嘔吐の有無
- 嘔吐の回数、性状、色、量
- 悪心の有無
など
4).疼痛の有無
- いつからあるのか
- 疼痛の部位
- 疼痛の性質「鈍い、鋭い、ずきずき、きりきり」
- どんな時に疼痛が出現するか「空腹時、満腹時、食べ始めた時」
など
5).服薬している薬剤
薬剤は消化器に影響を与えるものがあります。
- 消炎鎮痛剤
- ステロイド
- アスピリン
- 抗生剤
など
薬飲んでお腹痛くなったことあるのだ
6).排尿習慣
- 排尿回数
- 色
- におい
- 排尿時痛の有無
- 排尿困難の有無
- 尿失禁の有無
など
7).排便習慣
- 排便回数
- 色
- におい
- 排便時痛の有無
- 下痢、便秘の有無
- 排便時出血の有無
- 下剤や浣腸の使用の有無
など
8).妊娠、分娩の既往
- 妊娠回数
- 分娩回数
- 中絶経験の有無
など
9).既往歴
- 消化器疾患の有無
- 泌尿器疾患の有無
- 生殖器疾患の有無
- 肛門疾患の有無
- 手術既往の有無
など
3、観察項目
1).バイタルサイン
目次から「8、排尿量」「9、排便量」をみて欲しいのだ
2).皮膚の異常
暗紫色の線条があればクッシング症候群を疑います。
- 発疹や線条の有無
- 皮膚の色
線条があっても暗紫色がポイントなのだ
線条
皮膚表面がわずかに陥没した線状の皮膚萎縮のことです。
妊娠や成長、急な体重の増加などで皮膚が過剰に伸展、成長することで出現します。
ステロイド内服でも出現することがあります。
主に下腹部や大腿に多くみられます。
3).静脈の異常
怒張や隆起があれば下大静脈閉塞や肝硬変を疑います。
- 静脈の怒張や隆起の有無
4).腹部の輪郭や全体の外形
上、横から観察して異常がある場合、腹部の左右非対称や膨隆、腫瘤、不自然な凹凸、陥没がみられます。
- 正常:左右対称
5).腹部表面の動き
腸蠕動による過剰な膨隆や振動は腸閉塞の可能性があります。
腹部大動脈の過剰な拍動は腹部大動脈瘤の可能性があります。
6).腸蠕動音
聴診器は膜型を使うのだ
正常は「グルグル、ゴボゴボ」などの高めの不規則な音です。
1分間に5〜30回ぐらいが正常ですが年齢や性別などにより個人差が大きいです。
腸蠕動音の亢進があれば下痢やイレウスの初期症状です。
減弱や消失があれば腹膜炎や麻痺性イレウスの可能性があります。
イレウスは本当に注意なのだ
7).血流音
血液雑音が聴取できる場合は門脈圧亢進や静脈瘤などによる血管狭窄の可能性があります。
- 正常:聞こえない
8).打診
手首のスナップなのだ
正常は腹部の大部分で鼓音「空気がある音」となります。
肝臓や脾臓、尿が充満している膀胱の上では濁音となります。
便塊がある部位では濁音となります。
鼓音が聴こえる部位で濁音が聴こえれば腹水の可能性があります。
肝臓の大きさをみる時にも打診を使います。
肝臓の大きさ
右鎖骨中央線上を乳頭付近から足部の方に少しずつ移動しながら打診すると濁音に変化する場所があります。これが肝臓辺縁「上縁」になります。
右鎖骨中央線上をへそから頭部の方に少しずつ移動しながら打診すると濁音に変化する場所があります。これが肝臓下縁になります。
この間が肝臓となります。
正常は男性10cm程度で女性は7cm程度になります。
12cm以上で肝肥大の可能性があります。
肝臓の大きさも測れるのだ
9).触診
刺激を少ない順番で触診するのだ
最初は浅く触診し最後は深く触診します。
浅く触診した時に疼痛がある場合は腹膜炎の可能性があります。
深く触診した時に激しい疼痛がある場合は腫瘤や筋性防御の可能性があります。
反動痛は腹壁を垂直に押して素早く離す触診法です。
反動痛がある場合は腹膜炎の可能性があります。ブルンベルグ徴候ともいいます。
ブルンベルグ徴候は国試にでるのだ
腹水が非常に多くある場合は波動により確認できます。
波動での確認方法
2人以上で行います。
へそあたりの正中線上に手の尺側でしっかりと腹部を押さえて右腹部に手を添えて左腹部をたたくと右腹部に添えた手に波動を感じます。
手はチョップの形でおかなを押さえるのだ
脂肪やガスでは波動は感じません。
自分や友達の腹部の音を聞いてみるのだ