老年期では加齢に伴う衰えがあります。その衰えを予防するためには身体活動を行う必要があります。どれぐらいの活動量が必要なのでしょうか。
WHOは対象別運動・身体活動の推奨事項があり、高齢者の活動についてのガイドラインがあります。
また、厚生労働省も健康日本21(身体活動・運動)の高齢者における現状と目標があります。
それぞれの身体活動について見ていきます。
1、推奨される活動量
2020年11月25日発表
身体活動および座位行動に関するガイドライン
世界保健機関(WHO)より
WHOが推奨する対象別運動・身体活動の推奨事項は次のようになります。
- 65歳以上
- 1週間で150~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75~150分の高強度の有酸素運動、もしくはその組み合わせで同等の時間・強度となる身体活動を実施する。
- 1週間のうち2日は、中強度以上の負荷をかけた筋力トレーニングを取り入れる。
- 1週間のうち3日は、身体的なバランスや筋力を維持するための複合的な身体活動を行い、転倒を予防する。
- 座位行動は最小限にとどめ、低強度でもいいので身体活動に置き換える。
- 運動強度
- 低強度:1.5~3未満メッツ
- 中強度:3~6未満メッツ
- 高強度:6以上メッツ
メッツ | 活動内容 |
1.0 | 座って安静にしている状態 |
3.0 | 普通歩行 ウェイトトレーニング(軽・中等度) |
3.5 | 体操 |
3.8 | やや速歩(平地、やや速めに=94m/分) |
4.0 | 速歩(平地、95~100m/分程度) 卓球 |
5.0 | かなり速歩(平地、速く=107m/分) |
6.0 | ジョギングと歩行の組み合わせ (ジョギングは10分以下) ウェイトトレーニング(高強度) |
6.5 | エアロビクス |
7.0 | ジョギング |
8.0 | ランニング:134m/分 |
10.0 | ランニング:161m/分 |
また、厚生労働省の健康日本21(身体活動・運動)の高齢者における現状と目標は次のようになります。
健康日本21(身体活動・運動)
厚生労働省より
高齢者の各個人が取り組む目標として、以下のような項目が考えられる。
これらを可能にする環境づくりが重要である。
また、引きこもりがちの生活習慣を持つ人に対しては、積極的な働きかけも有効である。
-高齢者に対する個人目標(例)-
○年齢や能力に応じて以下の社会参加活動のうち一つ以上を行う。
- 能力や体力に応じた仕事(フルタイム、パートタイム)
- 知識や経験を生かした地域活動やボランティア活動
- 知的・文化的学習活動・興味や関心を生かした趣味や稽古ごと
○年齢や能力に応じて以下の運動のうち一つ以上を行う。
- ストレッチングや体操を1日10分程度行う
- 散歩やウォーキングを1日20分程度行う
- 下肢および体幹部の筋力トレーニングを1週間に2回程度行う
- レクレーション活動や軽スポーツを1週間に3回程度行う
2、身体活動による効果
高齢者における身体活動は寝たきりや死亡を減少させる効果があるといわれています。
これらは、恒常性機能や筋力、免疫力などの維持向上があるからだと考えられています。
さらに、転倒や骨粗鬆症、認知機能低下などの予防につながります。
他には生活リズムが規則正しくなる、食欲が出る、腸蠕動運動が良くなる、心肺機能の維持向上、脳機能の活性化などがあります。
3、まとめ
日本は年々、平均寿命が延びています。
平均寿命だけが延びても、健康でなければ楽しみが少なくなり、生きていく希望も薄れていく可能性があります。
平均寿命を長くするだけではなく、健康寿命を延ばすことが大切で、身体活動は健康寿命に比例して延びます。
より良い老後の生活を送るためにはWHOの推奨事項や厚生労働省の目標にある身体活動を生活の中に取り入れることが大切になります。
身体活動は大切なのだ