怒りにより社会生活に支障がでることがあります。怒りをコントロールすることは円滑に社会生活を過ごすために必要なスキルになります。
1、アンガーマネジメントとは
アンガー「anger」とは怒りや憤慨などの意味になります。
マネジメント「management」とは経営や管理などの意味になります。
つまり「怒りの管理」という意味になります。
怒りを上手く分散させることで怒りを管理します。
怒りの管理ができるということは怒りを制御することができるため、怒りによるリスクを小さくすることができます。
1).目的
怒りに対して感じなくすることではなく、怒りを上手く表現したり、不必要な怒りを認識できるなどがアンガーマネジメントの目的になります。
2、怒りとは
怒りは防衛機制です。
人が怒りを感じることは自然なことであるため決して悪いことではありません。
しかし複雑に入り組んだ人間社会において怒りの感情を抑えずに闇雲に放出し続けると社会生活に支障がでるリスクが高くなるため怒りを制御する必要があります。
1).原因
自分の生命や家族、信条、価値観など大切なものを守ろうとするために現れる感情になります。
同じようなことでも人により怒りの感情が「生まれる」「生まれない」があるため怒りは個別性があります。
アンガーマネジメントをするためには自分が怒る「怒りの傾向」を知る必要があります。
第一感情
怒りの感情が生まれる前にある感情ことです。
ネガティブな感情であることが多いです。
- 不安
- 心配
- 苦痛
- 疲労
- 絶望
- 悲しい
- 寂しい
- 虚しい
- 悔しい
- 弱い
など
第二感情
第一感情を受けて生まれる感情のことです。
- 怒り
2).リスク
怒りは「衝動性」「攻撃性」など普段では行動しないような行動をするリスクが高くなります。
- 暴言
- 暴力
- 器物破損
- 人間関係の悪化
- 生産性の低下
- 生理的反応による身体や精神への影響
など
3).欠陥性爆発性障害
怒りを上手く制御できないときは病気の可能性があります。
詳しくまとめてあるのだ
3、コントロール方法
基本的なステップは「衝動」「思考」「行動」で、これらを制御することで怒りを制御します。
1).衝動
ステップ1になります。
怒りによる感情的発言や衝動的行動を我慢します。
怒りは我慢して時間が経過しても無くなることはありませんが、怒りに身を任せて行動をしないことが重要になります。
6秒ルール
怒りは最初の6秒間がピークだと考えられています。
感情的発言や衝動的行動は、この6秒間に生まれやすいため怒りを感じたら次のことをします。
- 心の中で6秒数える
- 深呼吸をする
- 思考を停止する
- 怒りの場所から離れる
2).思考
ステップ2になります。
怒りを感じる言動を客観的に評価します。
許容範囲の拡大
怒りを「許せる」「許せない」を考えます。
さらに「どちらかというと許せる」を作ります。
イラっとくることでも客観的に考えると「許せる」か「どちらかというと許せる」ことが多くあります。
怒りを許せるのあれば怒ることなく自分の思いを伝えることができます。
3).行動
ステップ3になります。
ステップ2で「許せない」と感じた言動に対して、重要なのか、変えれることができるのかを考えます。
怒りの整理
怒りのもとになることの重要度が高いか低いかを考えます。
その次に変えれることか変えれないことなのかを考えます。
重要度 | 変更 | 内容 |
高 | 可 | 出来事や物事を優先的に変えて怒りの要因を取り除きます。 |
高 | 不可 | 出来事や物事を認めて受け入れて現実可能な選択肢を考えます。 |
低 | 可 | 出来事や物事を時間がある時に変えて怒りの要因を取り除きます。 |
低 | 不可 | 自分に怒りが生まれること自体が無意味なことだと認識します。 |
4).まとめ
怒りを感じたらステップ1〜3を実践してみてください。
- ステップ1:6秒我慢
- ステップ2:「許せる」「許せない」を考える
- ステップ3:「重要度が高い」「重要度が低い」を考える
4、治療方法
学校や病院などで行われる方法や療法を紹介します。
1).倫理療法
理性感情行動療法とも呼ばれます。
感情は心理的問題や生理的反応は出来事をどのように受け取ったかという「認知」により生じます。
出来事の受け取り方を変容させることで認知が変わり感情を適切なものに近づける療法です。
ABC理論やABCDE理論があります。
- A:Activating event「出来事」
- B:Belief「受け取り方・信念」
- C:Consequence「結果・感情」
- D:Dispute「Bに対する反論」
- E:Effect「Dによる効果」
出来事「A」があり受け取り方「B」によって感情「C」があります。
受け取り方「B」が不適切である場合、出来事「A」は誤った解釈になり不適切な感情「C」となります。
受け取り方「B」を修正したり、反論「D」をすることで適切な感情「C」に近づけます。
2).アンガージャーナル
自分が怒りを感じるときにメモや日記などを使用して記録をします。
日時や場所、出来事、自分の思い、怒り強さ「1〜10」などを記録します。
記録を振り返ることで自分の怒りの傾向を知ることができます。
怒りの傾向を理解することで客観的に考えることができるようになり、怒りによる感情的発言や衝動的行動を抑えることができます。
3).認知行動療法
思考理論上の誤りに修正をすることを目的とする療法のことです。
ここでの認知行動療法は「認知療法」「行動療法」を含めた広義の意味で使用しています。
認知療法
認知とは精神医学的には「理解」「判断」「論理」など知能に類似した意味で、心理学では「知覚」「判断」「想像」「推論」「決定」「記憶」「言語理解」といったさまざまな意味があります。
つまり「その人の考え方」のことです。
物事の捉え方や受け取り方はその人の考え方によって違います。
その人の考え方は「感情」「行動」は密接に関係しています。
その人の考え方を柔軟にすることで「感情」「行動」を変えてストレスを軽減していく療法です。
4).マインドフルネス認知療法
過去の経験や先入観での考えてではなく、自分の「考えていること」「感じていること」「身体の状態」など今の自分に意識を向けて心を整える療法です。
楽な姿勢で瞑想して今にあるがままの自分を感じ取ります。
雑念が出てきても「雑念を考えている」「雑念を気にしている」と今の自分のことを感じとります。
5).リラクゼーション
まとめてあるのだ