たばこを吸うと健康にどんな影響があるのか知っていますか。「身体に良くない」とよく聞きますが、なぜ良くないのでしょうか。
喫煙をする人口は徐々に減っていますが、先進国の中で日本は、まだ喫煙率が高いのが現状です。
たばこは、なぜ健康を害するのでしょうか。
1、化学物質
たばこの煙には約4000以上の化学物質が含まれています。
その中で約200種類の有害物質、約50種類の発癌性物質があります。
代表的な有害物質で知られているのはタールやニコチン、一酸化炭素などです。
タール、ニコチン、一酸化炭素の3つは覚えるのだ
1).タール
たばこのタールは単一性成分ではなく、たばこの煙から一酸化炭素やガス状成分をのぞいた粒子状の成分をまとめてタールと呼びます。
タールは総称なのだ
タールの中にはニコチンも含まれています。
有害物質や発癌性物質が数多く含まれ、強い粘着性の性質を持っています。
2).ニコチン
アルカロイドの1種で神経毒性の強い猛毒です。
神経猛毒なのだ
毒物の化学物質として指定されていて、たばこの葉に含まれています。
依存性が強く血管収縮作用があります。
3).一酸化炭素
炭素が含まれている物質を燃やすと二酸化炭素が発生します。
この時に酸素が不足している状態で不完全燃焼となると一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素中毒となったり、動脈硬化を促進するといわれています。
2、健康に及ぼす影響
1).タール
発癌性物質が多く含まれています。
代表的な発癌性物質はベンゾ[a]ピレンや芳香族アミン類、たばこ特異的ニトロソアミン類などがあります。
他にも約70種類あります。
発癌性物質がたくさんあるのだ
発癌性物質は肺から血液に吸収されて全身を巡ることで、色々な癌のリスクが高くなります。
2).ニコチン
依存性が強くあります。
その仕組みは、中枢神経にあるニコチン性アセチルコリン受容体にニコチンが結合すると神経回路に作用して心地よさをもたらします。
この「心地よさ」が強い薬物依存を引き起こします。
たばこの依存はニコチンによるものなのだ
強い血管収縮作用もあり毛細血管が収縮し血圧が上昇したり糖の運搬を妨げます。
強い中毒性により子どもが誤ってたばこの葉を食べると、中毒で死に至ることがあります。
3).一酸化炭素
酸素と比べて200倍以上ヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。
そのため一酸化炭素があるとヘモグロビンは酸素ではなく一酸化炭素と結びつきます。
ヘモグロビンが一酸化炭素と多く結びつくことで、酸素と結びついたヘモグロビンが少なくなり酸素不足となります。
この状態が一酸化炭素中毒です。
酸素と結びついた赤血球が少なくなるのだ
一酸化炭素はたばこの煙に1〜3%ほど含まれています。
頻繁に喫煙する人は慢性的な酸素欠乏状態となります。
酸素欠乏状態を緩和しようと赤血球が増え、動脈硬化を促進しているといわれています。
4).交感神経の刺激
交感神経系が興奮します。
これにより血圧が上昇したりインスリンの分泌を抑制します。
3、リスク
1).発癌性物質によるリスク
- 鼻腔癌
- 副鼻腔癌
- 口腔癌
- 咽頭癌
- 喉頭癌
- 食道癌
- 肺癌
- 肝臓癌
- 胃癌
- 膵臓癌
- 膀胱癌
- 子宮頸癌
など
2).毒性によるリスク
- ニコチン依存症
- 急性ニコチン中毒
など
3).動脈硬化促進によるリスク
- 脳卒中
- 虚血性心疾患
- 腹部大動脈瘤
- 抹消性の動脈硬化
など
4).粒子状成分によるリスク
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 気管支拡張症
- 呼吸機能低下
- 肺疾患
など
5).粘着性によるリスク
- 歯周病
- 歯の黄ばみ
など
6).交感神経刺激によるリスク
- 高血圧症
- 2型糖尿病
など
7).血管収縮によるリスク
- 高血圧症
- 2型糖尿病
- 胃腸疾患
など
8).酸欠状態によるリスク
- 妊娠中であれば早産
- 出産であれば低出生体重や胎児発育遅延
など
4、禁煙治療
1).健康保険を使う
健康保険を使って治療することができます。
健康保険とは、簡単に説明すると「病院の窓口で支払う金額が3割負担」など支払う金額が定められた割合負担で済む公的医療保険のことです。
保険証を使えるのだ
2).治療機関
病院やクリニックなどです。
禁煙外来をしているか電話で確認してから受診しましょう。
3).治療金額
支払い負担が3割の人で合計13000〜20000円となります。
全期間での合計金額なのだ
4).治療期間
初診日から2週間後、4週間後、8週間後、12週間後、の合計5回の診察があります。
5).治療方法
内服薬(飲み薬)になります。
1〜7日目までは1日1回、8日目からは1日2回内服します。
治療開始の7日目まで喫煙できますが8日目からは禁煙をする必要があります。
禁煙7日目まではたばこ吸えるのだ
6).健康保険が使える条件
次の4つ全てに該当する方が健康保険を使うことができます。
条件1
過去に健康保険を使い治療をしていない人
過去に健康保険を使用した人は前回治療の初診日から1年を超えた日数が経過しないと健康保険は使えません。
条件2
スクリニーニングテストが5点以上
「はい」1点 「いいえ」0点
問1:自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
問2:禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
問3:禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
問4:禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。
「イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加」
問5:「問4」でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
問6:重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
問7:タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
問8:タバコのために自分に精神的問題「注」が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
「注」禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状「いわゆる禁断症状」ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抗うつなどの症状が出現している状態。
問9:自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
問10:タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。
条件3
35 歳以上は「1日の喫煙本数」×「喫煙年数」が200 以上
35歳未満は無条件で該当します。
条件4
禁煙の希望をして治療の同意書にサインできる方
5、私の考え
1).喫煙
たばこ以外の嗜好品に身体に悪いものは沢山あります。
思いつく嗜好品はジャンクフードやお菓子、お酒などでしょうか。
このような嗜好品はやめたくてもやめれないと思います…
たばこも嗜好品であるため、やめたくないと思っている人はやめなくていいと思います。
ただ、喫煙するリスクを知っておくことは大切だと思います。
喫煙するときはマナーを守って喫煙しましょう。
たばこのにおいや煙は自分が思っているより他の人は迷惑に思っているものです。
2).禁煙
たばこをやめたいと思っていたり、やめれる人は禁煙をした方がいいと思います。
禁煙することで健康的な身体を取り戻す以外に、お金の節約、時間の節約になります。
たばこはさまざまなリスクがあります。
そのリスクが無くなるのであればメリットは目に見えて大きいと思います。
たばこは吸わないことを、おすすめするのだ