体温は覚えるポイントが多くあります。正常値だけではなく異常値や熱型などを覚えて確実に点数アップしていきましょう。
体温は問題として良く出題されています。
また、一般や状況設定の問題ではバイタルサインや状態を表すために良く使われています。
1、基本
基本を覚えて状態を覚えます。
特に正常値は年齢により多少の誤差があるため注意が必要です。
1).正常値
- 新生児:36.5〜37.5℃
- 乳児:36.5〜37.5℃
- 幼児:36.5〜37.2℃
- 学童:36.5〜37.2℃
- 成人:36.0〜37.0℃
2).異常値
- 35℃以下
- 37.5℃以上
- 低体温
- 35℃以下
- 軽度:35〜32℃超え
- 中度:32〜28℃超え
- 重度:28℃以下
- 発熱
- 微熱:〜37.4℃
- 中等度の発熱:37.5〜38.4℃
- 高熱:38.5〜
3).外界の影響を受けやすい順番
- 腋窩温
- 口腔温
- 直腸温
4).熱型
- 稽留熱
- 1日の体温差が1℃以内
- 38℃以上の高熱が持続するもの
- 弛張熱
- 1日の体温差が1℃以上の変化
- 37℃以下にまでは下がらないもの
- 間欠熱
- 1日の体温差が1℃以上の変化
- 37℃以下にまで下がるもの
- 波状熱
- 発熱時期と発熱しない時期とが区別されているもの
- 周期熱
- 規則的周期で発熱を引き起こすもの
2、熱生産
1).代謝
糖質、脂質などの栄養素が持つ結合エネルギーにより生産されます。
還元力は解糖系、TCA回路でアデノシン三リン酸「ATP」になります。
アデノシン三リン酸「ATP」に変換される効率は糖質も脂質もほぼ同じで約70%です。
残りの約30%が熱になります。
この熱が代謝による熱産生になります。
2).ふるえ
ふるえは骨格筋の屈筋と伸筋が同時に周期的に反復して不随的に収縮する緊急反応現象のことです。
この現象は外側に対して使うエネルギーがない筋収縮になるため、アデノシン三リン酸「ATP」のエネルギーはすべて熱に変わります。
この熱がふるえによる熱生産になります。
3).非ふるえ
視床下部が「低温」と感知すると褐色脂肪組織や白色脂肪組織にノルアドレナリンが放出されます。
ノルアドレナリンは白色脂肪組織で脂肪分解を起こすと同時に、褐色脂肪組織で熱産生遺伝子を活性化させます。
この代謝亢進による熱産生増加が非ふるえによる熱生産になります。
3、熱放散
1).対流
皮膚の表面には皮膚温とほぼ同じ温度の空気の層があり、この層に近接している空気は伝導により暖められています。
暖められると空気は膨張し軽くなり対流が起こり熱が移動します。
低温環境下では熱が移動しやすく高温環境下では熱が移動しにくいのが特徴です。
熱伝導率の低い空気でも風や衣類などの環境因子により熱の移動に影響します。
2).伝導
熱のエネルギーが分子の熱運動となって伝搬します。
3).輻射
物体は表面から電磁波が放射しています。
電磁波のエネルギーのうち赤外線は熱効果をもち皮膚面から赤外線として熱が常に放散しています。
4).蒸発
水は蒸発する時に1gあたり580calの気化潜熱を奪います。
汗や不感蒸泄により体の表面から水が蒸発すれば熱が放散します。
4、過去問
過去の問題を見てみます。
過去問「必修」
低体温から回復するための生体の反応はどれか。
- 発汗
- ふるえ
- 乳酸の蓄積
- 体表面への血流増加
2.ふるえ
過去問「必修」
深部体温に最も近いのはどれか。
- 腋窩温
- 口腔温
- 鼓膜温
- 直腸温
4.直腸温
過去問「必修」
体温調節中枢があるのはどれか。
- 橋
- 延髄
- 小脳
- 大脳皮質
- 視床下部
5.視床下部
過去問「必修」
体温低下を引き起こすのはどれか。
- カテコラミンの分泌亢進
- 甲状腺ホルモンの分泌低下
- 副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下
- 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進
2.甲状腺ホルモンの分泌低下
過去問「一般」
体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こるのはどれか。
- 立毛
- 発汗
- 代謝抑制
- 皮膚血管拡張
1.立毛
過去問「一般」
体温に影響しないのはどれか。
- 運動
- 食事
- ふるえ
- 不感蒸泄
- 精神性発汗
5.精神性発汗
過去問「状況設定」
在胎39週4日で、正常分娩で出生した児。
出生体重3,000g、身長48.0cm。
出生直後、児に付着していた羊水をふき取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。
体温37.5°C、呼吸数56/分、心拍数150/分、呼吸音は異常なし。
看護師は観察を終え、温めておいたベビー服を着衣させ、同様に温めておいた寝具を用いて準備をしたコットに児を寝かせた。
コットは壁際や窓辺を避け、空調の排気口からの風が当たらない場所に配置した。
看護師が児の体温保持のために行ったことと、それにより予防される熱の喪失経路との組合せで正しいのはどれか。
- 羊水をふき取ったこと───蒸散
- 観察をインファントラジアントウォーマーの下で行ったこと───対流
- 温めたベビー服と寝具を用いたこと───輻射
- 風が当たらない場所にコットを配置したこと───伝導
1.羊水をふき取ったこと───蒸散
過去問「状況設定」
Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。
身長155cm、体重57kg。
Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。
乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。
医師から乳癌の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。
Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。
2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。
Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。
身体所見:体温36.8°C、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。
検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、Ht37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP0.3mg/dL。
2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。
- 脈拍数
- 体温
- 血圧
- 体重
2.体温
ポイントは必修と一般の問題になります。
問題として使いやすいため同じ型の問題が出題される可能性があります。
- 体温調節中枢
- 視床下部
- 体温低下を引き起こす
- 甲状腺ホルモンの分泌低下
- 体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こる
- 立毛
- 体温に影響しない
- 精神性発汗
5、まとめ
- 正常値
- 新生児:36.5〜37.5℃
- 乳児:36.5〜37.5℃
- 幼児:36.5〜37.2℃
- 学童:36.5〜37.2℃
- 成人:36.0〜37.0℃
- 異常値
- 35℃以下
- 37.5℃以上
- 低体温
- 35℃以下
- 軽度:35〜32℃超え
- 中度:32〜28℃超え
- 重度:28℃以下
- 発熱
- 微熱:〜37.4℃
- 中等度の発熱:37.5〜38.4℃
- 高熱:38.5〜
- 外界の影響を受けやすい順番
- 腋窩温
- 口腔温
- 直腸温
- 稽留熱
- 1日の体温差が1℃以内
- 38℃以上の高熱が持続するもの
- 弛張熱
- 1日の体温差が1℃以上の変化
- 37℃以下にまでは下がらないもの
- 間欠熱
- 1日の体温差が1℃以上の変化
- 37℃以下にまで下がるもの
- 波状熱
- 発熱時期と発熱しない時期とが区別されているもの
- 周期熱
- 規則的周期で発熱を引き起こすもの
- 熱生産
- 代謝:栄養素が持つ結合エネルギーにより生産
- ふるえ:骨格筋の屈筋と伸筋が同時に周期的に反復して不随的に収縮する緊急反応現象
- 非ふるえ:褐色脂肪組織や白色脂肪組織にノルアドレナリンが放出し代謝亢進
- 熱放散
- 対流
- 伝導
- 輻射
- 蒸発
- 体温調節中枢
- 視床下部
- 体温低下を引き起こす
- 甲状腺ホルモンの分泌低下
- 体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こる
- 立毛
- 体温に影響しない
- 精神性発汗
6、追加問題
112回
体温変化をとらえ、体温調節の指令を出すのはどれか。
- 橋
- 小脳
- 視床下部
- 大脳皮質
3.視床下部
勉強お疲れ様なのだ
休憩も必要なのだ