脱水症は誰でも聞いたことがある病気だと思います。身体の中の水分が足りていないと…。本当にそれだけでしょうか?
実は脱水症は大きく分けて3つの状態に分けることができます。
それは水欠乏性脱水とナトリウム欠乏性脱水と混合性脱水になります。
これらの違いを見ていきましょう。
と、その前に脱水症とはどんな状態なのかを説明します。
1、脱水症
なんらかの原因により体液が失われ、体内の水分が不足している状態のことです。
体液は恒常性を保つために必要で、細胞内液と細胞外液があります。
細胞内液は細胞内を満たす体液で、さまざまな化学反応により細胞が機能しています。
細胞外液は血漿や間質液、リンパ液などで栄養や老廃物などを運搬しています。
恒常性はホメオスタシスとも言うのだ
体液が失われることで恒常性を保てず、体温のコントロールや老廃物の排出ができなくなり、日常生活や生命活動の維持の障害となります。
重篤な場合生命の危機となるリスクが高くなります。
特に子供や高齢者は脱水症に気付かないことが多くあるため注意が必要になります。
2、水欠乏性脱水
一次脱水や高張性脱水のことで、体内の水分量が欠乏している状態になります。
原因としては多汗や尿崩症、食事摂取できない状態などで、水分摂取量より体外に排出される水分が多い状態になります。
水分出納についてまとめてあるのだ
症状として高熱や口渇、皮膚乾燥、乏尿などの身体症状や不安や不眠、興奮、昏睡などの精神症状があります。
症状の出現は浸透圧が関係しています。
細胞外液の水分が失われると体液の濃度が濃くなり、浸透圧により細胞内液の水分が細胞外液に移動するため、細胞内液の水分量が少なくなります。
そのため循環血液量は保たれますが細胞内液が減少して口渇などの症状が出現します。
3、ナトリウム欠乏性脱水
二次脱水や低張性脱水のことで、体内のナトリウムが欠乏している状態になります。
原因としては糖尿病や副腎不全、混合性脱水の状態に水分のみ補給するなどで、体液の水分量は多いですが、ナトリウムが減少している状態になります。
混合性脱水は次で説明するのだ
症状として頭痛や倦怠感、悪心、嘔吐、血圧低下、立ちくらみなどがあります。
症状の出現は浸透圧が関係しています。
ナトリウムが欠乏すると体液の濃度が薄くなり、浸透圧により細胞外液の水分が細胞内液に移動するため、細胞外液の水分量が少なくなります。
そのため循環不全を起こしやすいです。
4、混合性脱水
等張性脱水のことで、体内の水分量とナトリウムがほとんど同じ割合で欠乏している状態になります。
原因としては出血や下痢、嘔吐、熱傷などで細胞外液が失われます。
浸透圧による変化がないため、細胞外液と細胞内液の水分移動はほとんどありません。
細胞外液は減少したままであるため、循環血液量は減収しています。
症状として口渇などがあります。
口渇により水分だけをたくさん摂るとナトリウム欠乏生脱水になりやすいのだ
5、アセスメント
脱水かどうかアセスメントするには、主に次の3つ指標を確認しますが、年齢や性別、筋肉量を含めて総合的に判断することが大切です。
1).血液データ
- ヘマトクリット:高値
- 尿酸値:7mg/dl以上
- BUN/Cr比:20以上
BUN÷Cr=BUN/Cr比
2).ツルゴール
皮膚をつまみ、元に戻る秒数を計測します。
2秒以上かかるようであれば、ツルゴール低下と評価され、脱水の可能性があります。
3).体重減少率
体重の減少率から求めます。
減少率(%)=(普段の体重-原体重)÷普段の体重×100
- 3%未満:軽度
- 3〜9%未満:中等度
- 10%以上:重度