点滴の滴下数の計算は苦手ですか。点滴の滴下計算には簡単に計算できる方法があります。
点滴の計算は看護師国家試験でほぼ出題されます。
また実際の現場では滴下数の計算がわからないと業務に支障がでます。
式を覚えたら簡単なのだ
1、点滴速度が人体に与える影響
点滴の滴下速度により人体に影響を与えるリスクがあります。
1).速く落す時に起こる症状
呼吸器系や心臓、腎臓に負荷がかかるため出現します。
速く落とすと身体の中に入る点滴量が多くなるために起こる症状なのだ
- 尿量の増加
- 動悸
- 呼吸困難
- 血圧低下
- 浮腫
- 心不全
2).遅く落す時に起こる症状
体の中に必要量が達していないため出現します。
遅く落とすと身体の中に入る点滴量が少なくなるために起こる症状なのだ
- 尿量減少
- 口渇
- 脱水症状
- 発熱
- 意識レベルの低下
2、計算方法
計算する方法を順番に説明していきます。
基本は大切なのだ
1).静脈内与薬セットの種類
静脈内与薬セットの種類として2種類あります。
1mlあたり約20滴と約60滴です。
成人は20滴を使用しますが、小児や極端に体重の軽い人、持続点滴をする時は主に60滴が使われます。
2).計算の前に
計算するの前に実際、現場では何で調節しているのか考えましょう。
点滴を合わせる時に見るのは時計(秒針)を見て滴下数を合わせています。
そんなことみんな知ってるのだ
計算した結果は1秒あたり何滴を落とせば良いか知る必要があります。
3).静脈内与薬20滴
500mlの薬剤を4時間で落とす計算です。
500mlを総滴下数に計算します。
500ml×20滴=10000滴
まずは「ml」を「総滴下数」にするのだ
次に1時間あたり何滴になるか計算します。
落とす時間は4時間です。
10000滴÷4時間=2500滴/時間
次は1時間で落とす総滴下数にするのだ
次に1分あたり何滴になるか計算します。
1時間は60分です。
2500滴÷60分=41.6666…滴
割り切れなかったので四捨五入をします。
41.7滴/分
計算手順多いのだ…
次に1秒あたり何滴になるか計算します。
1分は60秒です。
41.7滴÷60秒=0.695滴/秒
四捨五入をします。
0.7/秒
1秒あたりの滴下数が計算できました。
4).静脈内与薬60滴
500mlの薬剤を4時間で落とす計算です。
500mlを総滴下数に計算します。
500ml×60滴=30000滴
次に1時間あたり何滴になるか計算します。
落とす時間は4時間です。
30000滴÷4時間=7500滴/時間
次に1分あたり何滴になるか計算します。
1時間は60分です。
7500滴÷60分=125滴/分
次に1秒あたり何滴になるか計算します。
1分は60秒です。
125滴÷60秒=2.0833…滴
割り切れなかったので四捨五入をします。
2.1滴/秒
1秒あたりの滴下数が計算できました。
3、慣れることが大切
計算と聞くと「できない」「わからない」「苦手」と思う人は多いのではないでしょうか。
点滴の滴下数は順番に計算をすれば意外と慣れるものです。
計算が苦手な人は計算問題を何度もしてみて下さい。
もっと簡単な方法があると良いのだ
4、簡単な式
計算が苦手な人は「簡単だよ」と言われても難しく感じます。
そこで簡単な式を紹介します。
最低限の計算はしないといけないのだ
四捨五入の関係で「簡単な式を使わない場合」と答えは少し違うことはありますが、簡単な式を使用する方がより正確な数字になります。
簡単で正確なのだ
1).静脈内与薬20滴
点滴総量ml÷(総分数×3)=1秒あたりの滴数
ポイントは総分数にするのだ
先ほどと同じ500mlの薬剤を4時間で落とす計算です。
- 点滴総量=500ml
- 総分数×3=4時間×60分×3=720
500ml÷720=0.6944…滴
四捨五入をします。
0.7/秒
1秒あたりの滴下数が計算できました。
2).静脈内与薬60滴
点滴総量ml÷総分数=1秒あたりの滴数
さらに簡単なのだ
500mlの薬剤を4時間で落とす計算です。
- 点滴総量=500ml
- 総分数=4時間×60分=240分
500÷240=2.0833…滴
四捨五入をします。
2.1滴/秒
3).覚え方
【ポイント】
「2).静脈内与薬60滴」の式を覚えます。
点滴総量ml÷総分数=1秒あたりの滴数
静脈内与薬60滴の計算方法を覚えるのだ
「1).静脈内与薬20滴」の式は総分数に「×3」をするだけです。
本当だっ!
静脈内与薬20滴と60滴の式を見ると「×3」があるか、ないかだけなのだ
注意点として「時間」ではなく「分」で割ることに注意しましょう。
5、看護師国家試験の対策
看護師国家試験で対策を考えている場合はこちらで説明する式を覚えるのをおすすめします。
看護師国家試験では「1分間にどれだけ」と問われることがほとんどです。
「ml」で聞かれることもありますが「滴数」で問われることの方が多いのではないでしょうか。
1分間の滴数が簡単に計算できる式になります。
1).静脈内与薬20滴
点滴総量ml÷(総時間×3)=1分間あたりの滴数
500mlの薬剤を4時間で落とす計算です。
500ml÷(4時間×3)=41.67滴/分
2).静脈内与薬60滴
点滴総量ml÷総時間=1分間あたりの滴数
500mlの薬剤を4時間で落とす計算です。
500ml÷4時間=125滴/分
6、式の解説
点滴の滴下では時間や静脈内与薬20or60滴などは数字が決まっています。
決まっている数字を約分して簡単な式にします。
1).1秒あたりの式
点滴総量×静脈内与薬20「or60」滴=総滴下数
総滴下数÷総時間=滴下数/時
滴下数/時÷60分=滴下数/分
滴下数/分÷60秒=滴下数/秒
これらの式を1つにまとめます。
点滴総量×静脈内与薬20「or60」滴÷総時間÷60分÷60秒=滴下数/秒
割り算を全て掛け算にします。
ついでにいらない文字は省略するのだ
点滴総量×(20「or60」)×(1/総時間)×(1/60)×(1/60)=滴下数/秒
黄色と赤色の数字を合わせます。
点滴総量×(1/3「or1」)×(1/総分数)=滴下数/秒
これを並べ替えます。
点滴総量×(1/総分数)×(1/3「or1」)=滴下数/秒
分数にしたものを割り算に戻します。
静脈内与薬20滴
点滴総量÷総分数÷3=滴下数/秒
点滴総量÷(総分数×3)=滴下数/秒
静脈内与薬60滴
点滴総量÷総分数÷1=滴下数/秒
点滴総量÷総分数=滴下数/秒
2).1分あたりの式
点滴総量×静脈内与薬20「or60」滴=総滴下数
総滴下数÷総時間=滴下数/時
滴下数/時÷60分=滴下数/分
これらの式を1つにまとめます。
点滴総量×静脈内与薬20「or60」滴÷総時間÷60分=滴下数/分
割り算を全て掛け算にします。
ついでにいらない文字は省略するのだ
点滴総量×(20「or60」)×(1/総時間)×(1/60)=滴下数/分
黄色の数字を合わせます。
点滴総量×(1/3「or1」)×(1/総時間)=滴下数/分
これを並べ替えます。
点滴総量×(1/総時間)×(1/3「or1」)=滴下数/分
分数にしたものを割り算に戻します。
静脈内与薬20滴
点滴総量÷総時間÷3=滴下数/分
点滴総量÷(総時間×3)=滴下数/分
静脈内与薬60滴
点滴総量÷総時間÷1=滴下数/分
点滴総量÷総時間=滴下数/分
酸素ボンベや薬液希釈の計算もまとめてあるのだ