高齢者についての看護師国家試験の過去問を集めました。同じようなパターンの問題が出題されているため何度も問題を解くとコツを掴めます。
1、老化や加齢に伴う変化
基本的に信頼機能の「低下」「減少」などですが、看護師国家試験では「低下」結果「上昇」「増加」となるものを合わせて出題してくるため注意が必要になります。
低下する機能
- 呼吸機能
- 循環機能
- 消化・吸収機能
- 神経機能
- 感覚機能
- 運動機能
- 排泄機能
- 造血機能
- 免疫機能
- 性機能
2、エイジズム
アメリカの老年学者ロバート・ニール・バトラーが提唱しました。
年齢差別のことで特に高齢者に対する偏見と差別のことになります。
1).定義
- 年をとっているという理由で高齢者たちを組織的に一つの型にはめ差別すること
2).要素
- 老人、老齢、老化についての偏見的な態度
- 老人に対する差別的な習慣的行為
- 老人に対する固定観念を存続させる制度や方針
3、過去の看護師国家試験
老化による免疫機能の変化はどれか。
- 胸腺の肥大
- T細胞の増加
- 獲得免疫の反応の低下
- 炎症性サイトカインの産生の減少
3.獲得免疫の反応の低下
老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。
- 血中蛋白の低下───薬効の減少
- 腎血流量の低下───薬効の減少
- 肝血流量の低下───薬効の増大
- 消化機能の低下───薬効の増大
3.肝血流量の低下───薬効の増大
高齢者の性について正しいのはどれか。
- 女性の性交痛は起こりにくくなる
- 男性は性ホルモンの分泌量が保たれる
- 高齢になると異性に対する羞恥心は減退する
- セクシュアリティの尊重はQOLの維持に影響する
4.セクシュアリティの尊重はQOLの維持に影響する
老化によって減少または低下するのはどれか。
- 重心の動揺
- 糸球体の数
- 嗅覚の閾値
- 前立腺の重量
2.糸球体の数
高齢者のエイジズムについて正しいのはどれか。
- 高齢者の価値を認めるものである
- 高齢者の権利を擁護するものである
- 高齢者を生活環境の違いで区別するものである
- 高齢者という理由で不当な扱いをするものである
4.高齢者という理由で不当な扱いをするものである
高齢者に対するエイジズムの説明で適切なのはどれか。
- 年齢にとらわれないこと
- 加齢に伴う心身機能の変化
- 高齢という理由で不当な扱いをすること
- 老化に関連した遣伝子によって引き起こされる現象
3.高齢という理由で不当な扱いをすること
Aさん(94歳、男性)は、脳卒中の再発作後、肺炎を発症した。Aさんの家族への説明のうち、エイジズム「高齢者差別」にあたるのはどれか。
- 年齢から判断すると、体力が落ちていると思います
- 年齢から判断すると、治療への反応は遅いかもしれません
- 年齢から判断すると、肺活量が落ちている可能性があります
- 年齢から判断すると、何もせず経過をみるのがいいでしょう
4.年齢から判断すると、何もせず経過をみるのがいいでしょう
高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。
- 薬物の吸収の亢進
- 薬物の代謝の亢進
- 薬物の排泄の増加
- 血中濃度の半減期の延長
4.血中濃度の半減期の延長
薬物と特に高齢者で観察すべき内容との組合せで正しいのはどれか。
- ループ利尿薬───出血傾向
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬───血中尿酸値
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬───消化器症状
- β遮断薬───血中カリウム濃度
3.非ステロイド性消炎鎮痛薬───消化器症状
高齢者に投与される薬と副作用の組合せで正しいのはどれか。
- β遮断薬───消化性潰瘍
- 抗パーキンソン薬───徐脈
- 非ステロイド性抗炎症薬───不随意運動
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬───筋弛緩作用
4.ベンゾジアゼピン系睡眠薬───筋弛緩作用
高齢者の体重に占める水分量の割合に最も近いのはどれか。
- 45%
- 55%
- 65%
- 75%
2.55%
高齢者の蛋白質・エネルギー低栄養状態「protein‐energy malnutrition:PEM」について正しいのはどれか。
- 体脂肪の消耗はみられない
- 要介護度が高いほどPEMの発症率は高い
- PEMの発症率は心疾患によるものが最も高い
- 栄養指標は血清アルブミン3.7g/dL以下である
2.要介護度が高いほどPEMの発症率は高い
高齢者の身体機能の変化で正しいのはどれか。
- 視力低下によって触覚が敏感になりやすい
- 筋肉量の低下によって脱水症を起こしやすい
- 大腸の吸収能力の低下によって下痢を起こしやすい
- 聴覚中枢の機能低下によって伝音性難聴を起こしやすい
2.筋肉量の低下によって脱水症を起こしやすい
加齢によって高齢者に脱水が起こりやすくなる理由はどれか。2つ選べ。
- 骨量の減少
- 筋肉量の減少
- 末梢血管抵抗の増強
- 渇中枢の感受性の低下
- 腎臓のナトリウム保持機能の亢進
2.筋肉量の減少
4.渇中枢の感受性の低下
高齢者に脱水が起こりやすい理由はどれか。2つ選べ。
- 骨密度の低下
- 筋肉量の減少
- 渇中枢機能の低下
- 身体の活動性の低下
- 腎臓のナトリウム保持機能の亢進
2.筋肉量の減少
3.渇中枢機能の低下
加齢による身体機能の変化で上昇・増加するのはどれか。
- 肺活量
- 基礎代謝率
- 収縮期血圧
- 胃液分泌量
3.収縮期血圧
加齢によるホルモンの基礎分泌量の変化で正しいのはどれか。
- メラトニンは増加する
- コルチゾルは変化しない
- 成長ホルモンは変化しない
- 副甲状腺ホルモンは減少する
2.コルチゾルは変化しない
加齢による視覚の変化とその原因の組合せで正しいのはどれか。
- 老視───毛様体筋の萎縮
- 色覚異常───眼圧の亢進
- 視野狭窄───散瞳反応時間の延長
- 明暗順応の低下───水晶体の硬化
1.老視───毛様体筋の萎縮
加齢によって衰えやすい機能はどれか。
- 記銘力
- 洞察力
- 判断力
- 統合力
1.記銘力
加齢の影響を受けにくく、高齢になっても維持されやすい認知機能はどれか。
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 結晶性知能
- 流動性知能
3.結晶性知能
老年期の加齢に伴う記憶の変化で正しいのはどれか。
- 長期記憶から低下する
- 行動上の障害を伴うことが多い
- 物忘れがあることを自覚していない
- 体験そのものではなく体験の一部を忘れる
4.体験そのものではなく体験の一部を忘れる
加齢に伴い老年期に上昇するのはどれか。
- 腎血流量
- 最大換気量
- 空腹時血糖
- 神経伝導速度
3.空腹時血糖
加齢に伴う心血管系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 心拍数の増加
- 左室壁の肥厚
- 収縮期血圧の上昇
- 圧受容機能の亢進
- 刺激伝導系の細胞数の増加
2.左室壁の肥厚
3.収縮期血圧の上昇
加齢による咀嚼・嚥下障害の特徴で正しいのはどれか。
- 咳嗽反射が低下する
- 口腔内の残渣物が減る
- 唾液の粘稠度が低下する
- 食道入口部の開大が円滑になる
1.咳嗽反射が低下する
老年期の加齢に伴う生殖器および生殖機能の変化で正しいのはどれか。
- 卵巣が肥大する
- 膣壁が薄くなる
- 精液中の精子がなくなる
- 男性はテストステロンが増加する
2.膣壁が薄くなる
筋骨格系の加齢に伴う変化が発症の一因となるのはどれか。
- 肺結核
- 骨盤臓器脱
- 前立腺肥大症
- 加齢黄斑変性
- 慢性閉塞性肺疾患「COPD」
2.骨盤臓器脱
加齢に伴う呼吸機能の変化で正しいのはどれか。
- 残気量の低下
- 肺活量の低下
- 1秒率の増加
- 気道クリアランスの向上
2.肺活量の低下
加齢による変化で性差が最も顕著なのはどれか。
- 聴力
- 筋力
- 骨塩量
- 認知機能
3.骨塩量
高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。
- 症状が定型的に出現する
- 薬物副作用が発生しやすい
- 慢性化すると急激な変化は起こりにくい
- 環境の変化があっても症状の変化は起こりにくい
2.薬物副作用が発生しやすい
加齢による薬物動態への影響で正しいのはどれか。
- 半減期が短縮する
- 水溶性薬物の血漿濃度が低下する
- 脂溶性薬物が体内に蓄積しやすくなる
- 血漿蛋白と結合する薬物は薬効が低下する
3.脂溶性薬物が体内に蓄積しやすくなる
免疫機能の加齢変化で正しいのはどれか。
- T細胞数は減少する
- 胸腺組織は肥大する
- ストレス耐性は変化しない
- 副腎皮質刺激ホルモンは低下する
1.T細胞数は減少する
老年期の加齢に伴う聴覚の変化に対するコミュニケーションの工夫で適切なのはどれか。
- 高い声で話しかける
- 子音を特にはっきり発音する
- 居室には反響の強い部屋を選ぶ
- 少し離れて大きな声で話しかける
2.子音を特にはっきり発音する
高齢者が罹患したときの特徴はどれか。
- 薬物の代謝が早まる
- 症状が定型的に現れる
- 意識障害を起こしやすい
- 環境の影響を受けにくい
3.意識障害を起こしやすい
高齢者に現れやすい歩行の特徴はどれか。
- 歩幅が広くなる
- 後傾姿勢になる
- すり足歩行になる
- 上肢の振りが大きくなる
3.すり足歩行になる
高齢者の便失禁の原因で正しいのはどれか。
- 排便反射の低下
- 唾液分泌量の低下
- 腸蠕動運動の低下
- 肛門括約筋の収縮力低下
4.肛門括約筋の収縮力低下
加齢に伴う血管壁の硬化による血圧への影響はどれか。
- 収縮期血圧は上昇し、拡張期血圧は低下する
- 収縮期血圧は低下し、拡張期血圧は上昇する
- 収縮期血圧も拡張期血圧も上昇する
- 収縮期血圧も拡張期血圧も低下する
1.収縮期血圧は上昇し、拡張期血圧は低下する
加齢によって高齢者に便秘が起こりやすくなる原因で適切なのはどれか。
- 経口摂取量の低下
- 味覚の閾値の低下
- 腸管での水分吸収の低下
- 直腸内圧感受性の閾値の低下
1.経口摂取量の低下